障害ある子どもに無料でオンライン学習支援 津田塾の学生たちがコーヒーでクラウドファンディング
津田塾大学(小平市)の「Learning Crisis研究会 学びの危機プロジェクト」(通称・まなキキ)は、障害のある子どもたちに大学生をオンラインで無料 “派遣”し、家庭学習を支援する新たな教育事業を立ち上げた。事業を持続的な活動にするため、大学生たちが開発に加わったコーヒーを返礼品とするクラウンドファンディングを12月27日からスタートさせた。(写真は津田塾大学)
まなキキ(代表・柴田邦臣教授)は、新型コロナウイルスの感染拡大による長期休校などで学ぶ意欲や機会を失っている、心身に障害のある児童・生徒を支援しようと2020年4月に発足した。コロナ禍でもオンラインを通じて楽しんで学べる教材や授業を提供する一方、コロナ禍が障害児教育の現場に与える影響を調べる全国調査を実施するなど、さまざまな形で「学びの危機」にアプローチしてきた。
「まなキキ・フォスタープラン」と名付けられた「オンライン家庭学習支援」プロジェクトは、障害の種類や程度が異なる子どもたちに、よりきめ細かな学びを提供するために企画された。2020年8月からリアルタイムの対面授業やサロン形式の英語学習で双方向の学びを先行導入し、子どもたち一人ひとりに寄り添った支援の大切さを確認してきた。
家庭での先生役は、まなキキで活動している大学生と大学院生約20人。事務局スタッフとのオンライン面談を経て受講希望者とのマッチングを行ったうえ、ZOOMなどの遠隔会議システムで、個々の障害や学びにくさに合わせた学びを無料でサポートする。
プロジェクトは、コロナ禍で家庭教師や塾などのアルバイト先を失い、教育経験を積む機会を奪われている大学生たちに「教える場」を用意するという意味も持つ。責任をもって一人ひとりの子どもと継続的に関わる仕事として、ボランティア活動ではあるものの無償ではなく有償とした。
学生たちへの報酬や教材作成費などの運営費は、各種の助成金に加えて、持続可能な形で活動を続けていくために地域の人々や賛同者からの支援金を募るクラウド・ファンディングを活用することにした。
支援者には返礼品として、沖縄県でコーヒーの自家焙煎をしている障害者就労団体「ワーカーズホーム」と学生たちが共同開発したコーヒー「まなキキ・ブレンド」(ドリップバッグ)を届ける。応援購入サービス「Makuake」で12月27日から購入できる。
Learning Crisis研究会事務局長の松崎良美さん(東洋大学助教)は「テストで良い点を取るための暗記中心の勉強ではなく、ワクワクしながら自分の興味や関心を深めていけるような学びを目指します。今は津田塾大の学生が中心ですが、今後、他大学とも連携して開かれた組織と活動にしていきたい」と話している。
(片岡義博)(写真はいずれも津田塾大学・Learning Crisis研究会提供)
【関連情報】
・まなキキ・フォスタープランとは?(学びの危機)
・まなキキ・ブレンド(学びの危機)
・ワーカーズホーム(一般社団法人むら)
・まなキキ・ブレンドの挑戦-コロナで傷ついた「学ぶ勇気」を、コーヒーで支えよう-(Makuake)