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10年史 メディア・報道

ひばりタイムス10年私史

2026年10月1日 北嶋孝

◎ 半年がかりのリニューアル 連載を始める前に

「10年私史」は、「ひばりタイムス」立ち上げ前のあれこれから始める予定だった。ところが、というか当然というか、サイトのリニューアル作業が進んでみると、まずはこの過程を報告してから始めるのがいいのではないかと思い始めた。サイト改装の概要はすでにトップページの「お知らせ」に記した。ここでは、その隙間、余白に触れてみたい。連載の本番は次回から、初っ端は「番外」。「逸脱」からのスタートになる。それもこれも「私史」に似つかわしいかもしれない。

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リニューアルは今年初めに計画し、4月には複数の制作会社から改装案を募った。そのうちの1社とすぐ打ち合わせに入り、新サイトの骨格やスタイル、内部構造の作りかえに取り掛かった。ほぼ半年がかり、大わらわの進行となった。
 そのかたわら、西東京市と近隣の10年の出来事をあらためて見直し、掲載した記事を読み直すことができた。と言っても、すべてを読み通したわけではない。幾本かの記事を集めては崩し、手掛かりになる言葉やテーマを拾う、賽の河原のような連続だった。それだけ種々雑多な記事がぎっしりサイト内に詰まっていることでもある。

  検索方法に工夫

最大の目標は、検索の強化と最適化だった。
 サイトのトップページにアクセスしたら、まず大きな検索窓が現れる。PCだけでなく、スマホやタブレットでも表示される。いまは当たり前の光景なのだが、これまでのひばりタイムスは、スマホ画面にニュースは表示されても、検索窓は残念ながら出てこなかった。スマホからのアクセスが70%台だというのに、そのスマホ画面ではニュースを読むだけ。過去の関連記事を読みたくても、逆戻りするしか手立てがない。読者から指摘されながら、手が付けられなかった。今回は周回遅れでも、その情けない状態は解消できた。
 ここらまでは小手調べ。そのあとが本筋になる。
 ニュース更新のないサイトは通常、画面に動きがない。そこをどう変えるか。新サイトの検索方法には、かなりの工夫が必要だった。グーグルなどの大手検索サイトは、キーワードで対象を拾い集めて一覧表示する。必要ならさらに絞り込む。最近はAIと連動して、内容にまで踏み込む説明や解説を開示できるようになった。新サイトでもキーワード検索がメーンになるのは当たり前。その先が思案のしどころになった。
 求める対象を探り当てるため、アーカイブという記事堆積の山に登る、あるいは薮の中に分け入ることになる。そのためいくつもの登山道を用意し、薮の中に標識を立てて、目的地へ案内しなければならない。
 まず、アクセスした当日の日付を手掛かりに、その前後に掲載された記事を10年分のアーカイブから取り出す設定から始めた。あの日、あの時の「地元時間」を思い出す手掛かりになるのではないか。季節の言葉からもアプローチでき、馴染みの公園や遺跡など「場所から選ぶ」枠を設け、さらに年月からも整理、集約できるようにもなった。
 年毎の記事数を棒グラフに仕立て、クリックするとその年の記事群がまとまり、さらに絞り込めるアイデアも導入した。グラフと検索方法の一体化だ。
 「町名マップ」からのアクセスも考えた。バナーをクリックすると、市内22町の地図が現れる。当該の町内エリアを選ぶと、町内関連の記事が一覧表示される仕組みだ。こちらは地図と検索方法の一体化と言っていいだろう。西東京市外の人にはほぼ縁のない仕掛けでも、市内在住者の関心度は高いはず。結果がすぐ分かるネット世界なので、オープン後の動向が楽しみだ。
 執筆者一覧もある。ひばりタイムスの執筆者は10年間で120人に上る。誰がどんな記事を書いたか、筆者名をクリックするとすぐに書いた記事が読めるようにしつらえた。
 著者略歴は、記事執筆時とほとんど同じ内容になった。リニューアルに際して、問い合わせとお願いのメールを送り、要望のあった分は変更した。あとは亡くなった方を含めて当時の内容に手を付けていない。当該記事が、過去に書かれたと同じく、略歴も当時のままが多いことを念頭に置いてほしい。
 そのほか、「推し記事5選」枠で、年月や時々のテーマで、過去記事を展開する仕組みも取り入れた。毎月2~3回、手を変え品を変え、トップページに少しでも「動き」を与えようとする試みでもある。
 意外だったのは、システムが無作為に記事を選ぶ「アーカイブを発掘」欄の選択と組み合わせだった。テーマも掲載年月日もバラバラの記事が6件。アクセスするたびに新たに現れる。トップページの下段に設置されているので、試しに再読み込みしてみると、顔ぶれが一新されることが分かる。意表を突く世界の出現もまた楽しい。

 連載と特集の再構成

新サイトになって、これまで検索の範囲外だった「連載」と「特集」も、キーワードなどで選べるようになった。旧サイトでは、トップページのヘッダー部分からプルダウンメニューで目当ての「連載」を選び、目次メニューから目指す回のページを表示してきた。このやり方だと、内容と構成を知っていないとほぼ選べない。そこで、メニュー経路も確保しつつ、キーワードからも探せるように変更した。
 実はここがリニューアルの難所だった。ひばりタイムスは「ワードプレス」(word press)というシステムを使ってサイトを作ってきた。検索のための手掛かりの多い「投稿」(post)形式で記事を作成、掲載した。「連載」は「固定ページ」(page)で仕立てた。しかも、このページに誘導する案内ページは「投稿」形式だった。
 こんな紛らわしい仕組みを止め、連載ページもすべて投稿形式に一元化することになった。システム的に条件を整備して一括変換しても、元が手作りのため形式の乱れが少なくない。つまり、その場限りの例外も多く、制作サイドとのやり取りも頻繁になった。
 連載の各回から前後のページに行ったり来たりするには、旧サイトではいったん目次画面に戻らなければならなかった。これはちょっと辛い。新サイトは、連載の当該のページ(回)から、直接前後ページに移行できる。これも一括変換では漏れがあり、文字通り手作業のチェックを経なければならなかった。
 特集の整備も同じ苦労を引きずった。「特集」のコラム「百音風発」は従来とほぼ同じスタイルを残しながら「連載」に移し替えたうえ、前後回への移動もページ内のクリックで実現できる。著者の師岡武男さんは残念ながら昨年(2025年)春に亡くなった。著書「『対案力』養成講座」(言視舎)は、ひばりタイムス掲載が元になって出版できた最初の書籍となった。その原形をサイトで容易にアクセス出来るのはうれしく、かつありがたい出来事だった。…と思い出すと止まらなくなるのでここらで切り替えよう。
 いずれにしても、編集の基準が揺れ、その場しのぎが少なくなかった。そのしわ寄せが、リニューアルの作業で表面化した。それらのデコボコを一つひとつクリアして、なんとかオープンにこぎ着けた。制作担当者には感謝しかない。
 それでも見落としは免れない。あれば遠慮なくご指摘いただきたい。

 「全身検索」のその先へ

あの手この手で検索ができる。多種多様な登山道と標識が設けられた。その結果、最後に対象を選ぶのは登る人や探す人、つまりは読者に任される。回答を瞬時に提出できるAIと違って、サイト内の検索はひと手間ふた手間かかるだろう。それでも選ぶのは、山道を歩き、薮を掻き分けてきた探し手本人ー。そんな手作業の世界が、小さな報道アーカイブとはなじみが深く、相性がいい。新サイトのどこをクリックしても、検索ネットワークに絡み付く。「全身検索」のイメージが、地域報道の小さなアーカイブにふさわしいのではないだろうか。
 さてさて、こちらが用意出来るのはここまで。記事にたどり付き、中身を読むのはあなただ。読んだあとの「気付き」や「思い」は、あなたの世界の出来事になる。
 お前はどうか。そう問われそうなので、あらかじめ内幕を明かしておこう。「そうだった」と当時の状況が蘇る。それが第一歩。「なんだったけ?」と、思い出せないことも少なからず。記憶が攪拌されれば、脳内も泡立ち濁ってしまう、と煙幕を張りめぐしたい。
 ひたすら前向き、目標を定めて突き進むスタイルとは昔から縁遠い。一昔前の記事の前で立ち止まり、ときにはしんみり、またあるときはにんまり。それがささやかな楽しみ、遊びのひとときなのかも…。そんな渋めの時間を「光輝く黄金よりも、鈍色のいぶし銀」と言いたいところだが、ホントに「銀」なのかよ、とすぐに突っ込みが入りそう。消え入るようにそっとつぶやいて、今回はひとまず打ち止めにしたい。
(2026年10月1日)

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北嶋孝

きたじま・たかし

 ひばりタイムス編集長。旧保谷市時代から西東京市在住50余年。共同通信社を2004年に離れフリーに。小劇場レビューマガジン「ワンダーランド」編集長、在京テレビ局の情報番組コメンテーター、演劇紹介番組「東京舞台通信」案内役などを経て、2015年2月「ひばりタイムス」創刊。

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