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健康・福祉

全国初の「終活互助」にチャレンジ 「人生100年時代」の終の棲家を考える

2020年2月15日 川村匡由
シンポジウムのちらし

高齢化が進むと、地域で暮らしをどう支え、終の棲家をどこにするか。本人も家族も悩むケースが少なくありません。そんな状況を踏まえ、「終活互助」を提起するシンポジウムが3月14日、西東京市向台町3丁目の武蔵野徳州会病院講堂で開かれます。シニア社会学会の研究会座長を務め、この日の基調講演も行う川村匡由(まさよし)武蔵野大学名誉教授の寄稿です。(編集部)
*シンポジウムは順延となりました。開催は時期未定です。

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「人生100年時代」といわれるなか、限りある生をいかに全うできるか、大きな関心を呼んでいますが、果たしてその場合の終の棲家をどこにすべきか。長生きできる世の中になったのは結構なことですが、それもいつまでも健康であること、また、仲睦まじい家族や友人、知人に囲まれ、年金の心配もないことにあります。

 

武蔵野徳洲会病院(筆者撮影)

 

特養は待機者が多く、有料ホームは「終身介護」に不安

そこで、注目されているのが介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)ですが、都市部はどこも入所希望の待機者が多く、入所がきわめて困難です。なぜなら、この施設は介護保険で「要介護3以上」と認定されても、要介護高齢者の急増で都市部の施設はどこも入居希望者が数十人から数百人も殺到、入居できるのは数年先だからです。このため、あるレポートでは「都市部の高齢者は地方へ転居して地元の施設に入居しては」などと乱暴な声が聞かれています。

一方、民間の有料老人ホームは「終身介護」やホテル並みの生活を謳っているものの、いざ、要介護度が重度化したら看取りまで行われるのか、また、身寄りがない場合、墓守はどうか、何千万円もの入居金を負担していても不安です。なぜなら、私はこれまで各地の有料老人ホームに体験入居し、職員だけでなく、入居者はもとより、地元の自治体の職員やケアマネジャーなどにそのサービスの評判を伺ったり、入居者がオープン後、数年経っても満室にならず閉鎖し、残った一部の入居者が行き場を失い、事態を憂慮した厚生労働省(当時、厚生省)が業界団体に対し、加盟する有料老人ホームに対し、行くあてのない高齢者を分散、転居を引き受けさせて収束を図るとともに、以後、同様のトラブルが生じた際、入居金の未償却金のうち、500万円を返金するよう保全措置が講じ、現在に至っているからです。

 

「サ高住」は急増したけれど…

一方、ここ数年、雨後の竹の子のように急増しているのはサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)です。なぜなら、サ高住は有料老人ホームと異なり、入居金が不要なものの、多くのところは介護職員は日中しかおらず、夜間は事務職員や警備員だけのため、重度化した入居者との間で各地でトラブルを招いているからです。事実、私の30年来の友人で元区の介護職員だった80歳代の女性は入居後、5年経った昨年、サービスをめぐって同居する知人ら数人と事業者に対し、その改善を申し入れたものの、事態収拾とならなかったため、弁護士に仲介を依頼して1年越しに折衝した結果、やっとサービスの改善が図られました。

 

住み慣れた自宅や地域が一番

 

地域開放候補の一つの自宅(西東京市向台町、筆者撮影)

 

このように考えると、終の棲家はやはり“自分の城”である我が家に落ち着きますが、今後30年以内にマグニチュード7クラスの発生の可能性が70%といわれている首都直下地震を考えれば、心配のタネは尽きません。なぜなら、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災などを思いおこせば、古い木造住宅の耐震性やマンションなど集合住宅でのエレベーターの緊急停止による閉じ込め、周囲のブロック塀や自販機の倒壊、マイカーの避難による渋滞などでの逃げ遅れ、避難所でのエコノミークラス症候群による災害関連死や未治療死によって多数の犠牲者が出ているからです。

とりわけ、都市部では共同体の機能がなくなっているため、いざというとき、自助や互助によって救助や救護、避難生活を少しでも快適に送ることができる友人や知人がいるか、不安だからです。私はこれらの被災地に学生を引率して災害ボランティアに行きましたし、長年、スウェーデンやデンマーク、イギリス、ドイツ、スイスなどのナーシングホームや災害対策を調査、国際比較もしていますが、住み慣れた自宅で家族や友人、知人と終活や防災・減災の互助に努めるのが一番との結論に達しました。

 

シェハウスでの「終活互助」を提案

 

地域開放候補の一つの賃貸マンション1~2階(武蔵野市境、筆者撮影)

 

これを受け、私は30年以上住んでいる西東京市の自宅、または14年前から賃貸に出している武蔵野市の私有の3階建てマンションの1階のリビングルーム(現地域サロン「ぷらっと」)と2階の2部屋を地域に開放、仲間との交流を図る一方、要介護状態になったら有志3人が同居して介助し合う。その後、重度化しても地元の病院と連携、訪問診療や訪問介護を受けながら看取りをし合う。また、災害時は在宅避難、あるいは避難所で互助もする。このため、健康なうちから地域サロン「ぷらっと」で交流し、重度化する前に仲間と同じ屋根の下で同居して絆を一層深め、生活費や介護費用、遺言書の作成、生前贈与、遺産相続などの体験や知恵を絞り合ってシェアしようと、全国初の「終活互助」にチャレンジすることになりました。

ちらし裏

その提案が3月14日(土)13:30~16:50、自宅近くの西東京市向台町3丁目の武蔵野徳洲会病院4階講堂で開く予定のシンポジムです。私が理事をしている一般社団法人シニア社会学会(袖井孝子会長)と地域サロン「ぷらっと」の共催で、ほかに有馬将由(のぶゆき)・NPO終活支援センター代表、石井三智子・日本社会事業大学講師、大賀晴江・西東京市社会福祉協議会地域福祉コーディネータ-の3人がシンポジストとして登壇し、互いの老親の介護や看取りの経験を通じて得た教訓を披露していただく予定です。

参加費は資料代として1人500円(学生300円)です。あなたと気軽に意見交換できることを楽しみしています。
(川村匡由)

*シンポジウムは順延となりました。開催時期が決まればシニア社会学会HPに掲載予定です。

 

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川村匡由

かわむら・まさよし

 1969年、立命館大学文学部卒。1999年、早稲田大学大学院人間科学研究科博士学位取得、博士(人間科学) 現在、社会保障・社会福祉学者・武蔵野大学名誉教授、行政書士有資格。シニア社会学会、世田谷区社会福祉事業団各理事、武蔵野徳洲会病院倫理委員、福祉デザイン研究所所長、地域サロン「ぷらっと」主宰、山岳紀行家。
 主著 『入門 社会保障』(編著)、『介護保険再点検―制度実施10年の評価と2050年のグランドデザイン―』、『入門 保健医療と福祉』(同)、『入門 社会福祉の原理と政策』(同)、『入門 地域福祉と包括的支援体制』(同)、『入門 高齢者福祉』(同)、『入門 保健医療と福祉』(同)以上、ミネルヴァ書房、『改訂 社会保障―福祉ライブラリ―』(同)建帛社、『老活・終活のウソ、ホント70―データや研究実践、経験からみた実像―』大学教育出版、『人生100年時代のニュー・ライフスタイル―『新しい生活様式』を超えた医(移)・職・住―』あけび書房、『地域福祉とソーシャルガバナンス―新しい地域福祉計画論―』中央法規出版ほか。
*「川村匡由のホームページ」(https://kawamura0515.sakura.ne.jp/)

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