「『パパ』と話しかけてくれた」 西東京市の「イクメン」職員に聞く

投稿者: カテゴリー: 子育て・教育 オン 2016年9月1日
職場の淺水崇博さん

職場の淺水崇博さん

 喫緊の課題である少子化対策の一つとして、国が進めている男性の育児休業。全国平均取得率は3%弱と極めて低いが、西東京市では、昨年度、約5倍の12.5%取得している。中でも昨年10月から8か月間、育児休暇を取った同市企画政策課の淺水崇博さん(30)は「育児はとても楽しい」と語る。体験談などをうかがった。

 淺水さんが育児休業を取ったのは、昨年8月10日から今年4月22日まで。妻の体調不良で昨年の11月まで3か月間、育児休業を取る予定だった。その間、市内外の保育園など探したが年度途中では空がなく、今年4月末まで育児休業を延長することにした。

 淺水さんは、夜中3時間おきにミルクをあげ、お風呂に入れ、離乳食はアレルギー反応を確認しながら、月齢ごとに食材を1種類ずつ増やして、栄養バランスを考えたメニューにした。「離乳食前期は、かぼちゃやジャガイモをゆでてペースト状にして与えたり、後期は、ひじきの煮物などを作り、みじん切りにして食べさせました。つぶしたバナナをデザートに添えるときもありましたよ。できるものはまとめて冷凍保存して育児の効率性を考えました。イクメンパパの友人もでき、離乳食メニューの情報交換などもしていました。楽しかったですね」と笑顔を見せた。

自宅の淺水崇博さん

自宅の淺水崇博さん。食事する奏多(かなた)ちゃん

 初めての育児、不安はなかったのかと聞くと、「何も分からなかったので、手探りで進めました。育児本を読んだり、市の検診や子育て相談窓口で話を聞いたり、友人の話を参考にしながらやりました」。

 「育児をして一番うれしかったことは、一番はじめに子どもが話してくれた言葉が『パパ』だったことです。子どもの面倒をみている時間が長かったので、たくさん話しかけていました」と幸せそうな笑みを浮かべた。

 「育児休業を取るために必要なことは職場の理解だ」という淺水さん。「職場のみなさんにお世話になって育児休業をとれた、と思っています」

 「これまではお母さんが子育てする、という文化でしたが、女性の社会進出が進む中で、男性も育児参加する機会が増えていると思います。育児休業をとることで、そこでしかできない経験に感動することも多いです。育児休業を取る制度が普及していけばいいと思います」と淺水さんは話していた。

 厚生労働省の2015年度「雇用均等基本調査」によると、2013年10月1日から翌年9月30日までの1年間に配偶者が出産して育児休業を取った男性の割合は2.65%。西東京市では、昨年4月1日から今年3月31日までの1年間、育児休業を取った女性職員は17人、男性は2人。男性の育児休業取得率は12.5%。取得期間の半数は1~2週間だという。

 市では、新人職員研修でも育児休業の説明をしているが、職員の出産情報などを得ると、所属長に育児休業制度取得の働きかけをしている。市が目標とする男性職員育児休業取得率は20%だ。

 西東京市職員課の藤澤博美主査によると、育児休業取得に関する計画には、少子化対策、女性の活躍推進、子育て環境を作りながら民間に見本を示すこと、などが目的として掲げられているが、他にも大事な意味があるという。女性も男性も子育てすることで地域と関わり、地域の不便さなどを肌で感じて復帰した後、仕事に生かしてほしい、ということだ。

 田無庁舎には、広めのベビーベット付きの部屋「ベビースペース」が設置されているが、授乳やおむつ変えをしやすいように、という育児休業を取った女性職員の提案だそうだ。
(柿本珠枝)

 

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

 

(Visited 1,709 times, 1 visits today)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA