【編集後記】
将棋棋士の羽生善治さんが竜王位を獲得し、史上初の「永世7冠」を達成した。凄いとは思うけれど、どれぐらい凄いかは専門棋士でないと本当は分からないのだろう。
その昔、まだ20代の羽生さんにインタビューしたことがある。エリートサラリーマンか白皙の研究者のイメージだった。新潟で棋王戦のタイトルを防衛し東京に戻ってきたとき、東京駅のステーションホテルで待ち合わせた。インタビューで将棋の話も聞いたが、オフはどうしているのかと尋ねたら、対局の合間にプールで泳ぎながら身体を鍛えていると語った。水泳か。想定外の答に戸惑っていると、「将棋は体力が続かないと指していけませんので」と話した。心身は相互に影響を与え合う。納得してしまった。そのときの、あっさりと、淡々とした口調がいまも印象に残っている。
喪中なので年始の挨拶を遠慮します。そんなはがきがひっきりなしに届く時期になった。亡くなった人、はがきの差出人をしばし思い浮かべる。師走到来を否応なく教える出来事だ。
(北嶋)