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第5回 頼りになる地域包括支援センター


 三輪隆子(みわ内科クリニック)


 

 前回は、当院では認知症の方の診療に専門職でない受付担当の事務職員が大活躍していることをお知らせしました。認知症診療は、多くの人々の連携で成り立っています。当然当院だけでは対応することは困難で、他の医療機関や介護や福祉の専門職との連携が必要になります。その中でも私がとても頼りにしているのが地域包括支援センターの皆様です。今回は地域包括支援センターに、どの様に助けていただいているかを述べたいと思います。

 

困りごとの相談に乗る

 

 地域包括支援センターは、介護保険法で定められた、地域の高齢者の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関です。各区市町村に設置されてしますが、西東京市では8か所の地域包括支援センターがあり、お住まいの地域によって担当が決まっています。

 介護保険について知りたい・足腰が弱って生活に不安がある・入院中で、もうすぐ退院と言われているが、家に帰ってからの生活が心配・近所の一人暮らしの高齢者のことが心配・親の物忘れが進んでいてお金の管理が不安だ・振り込め詐欺にあった、などなど、ご本人でも御家族でも近隣の方でも、高齢の方の様々な相談に乗ってくれるところ、それが地域包括支援センターです。地域包括支援センターですべての問題が解決するわけではありませんので、必要に応じで、医療機関や介護施設、行政などと連携をとっています。

 

市内8施設の一つ、栄町地域包括支援センター(西東京市栄町3丁目)

支援センターの職員は、保健師、社会福祉士、ケアマネジャーら専門職集団だ

 

 このように地域包括支援センターは、高齢者が地域で暮らしていくためになくてはならない存在になっています。相談は無料で、必要な場合にはご自宅に訪問もしていただけます。皆様自分の地域の地域包括支援センターがどこかを知って困った時には相談してください。

 さて、最初に述べたとおり、私も地域包括支援センターに色々な相談事を持ちかけています。患者さんのお住まいの地域のセンターに連絡するので、西東京市だけでなく、他の市区町村のセンターに連絡することも多々あります。やはり、日頃からお付き合いがあり顔を知っているセンターの皆様との方が話が通じやすいので、細かなお願いもしやすくなります。具体的にはどんな相談をしているのかというと-。

 

ためらう場合の対処法

 

 通院しているご高齢の方の生活に支障がではじめると介護保険サービスを使ってはどうかと提案します。提案するとすぐに申請する方もいれば、なかなか利用に至らない方もいます。そんな時には、なぜ申請しないのか理由をお聞きするのですが、介護保険と言われてもよくわからなかった、家族が忙しくて日中手続に行けないなどの理由で申請できていない方が多くいます。そんな時には、地域包括支援センターのご案内をします。担当のセンターのご案内をして、まずは電話で相談してください。とお話しします。ほとんどの方は、これでうまくいくのですが、これでも自分からは動かない方がいます。その場合には、本人やご家族の了解を取って当院から地域包括支援センターに支援の依頼をします。

 このように、なかなかサービスにつながらない方ほど、早期に介入してサービスを利用する必要があるのです。それならば、最初からセンターに連絡すればいいのでは、と思われるかもしれません。しかし、ご高齢でたとえ認知症があったとしても、本人や家族の意思を尊重することと、自発的にできることはしていただくことが大切であるとおもっています。それで急を要する時以外は、まずは自発的に動いていけるように説明し援助しています。

 

虐待や急病のときも

 

 急を要するときは、 本人や家族の了解なしに地域包括支援センターに相談することもあります。その第一は、虐待が疑われる場合です。受診した時に不自然なけがの跡がある。急に痩せてきている。毎月定期的に通っていたのに受診しなくなった。自宅に電話してもつながらない。などのときには、家庭内暴力や介護放棄などの可能性を考えなければなりません。医療機関では家庭の状況は見えません。虐待の可能性がある時には、できるだけ早く地域包括支援センターに連絡して、家庭訪問をするなどして状況を把握していただきます。その時には虐待ではないと判断された場合でも、認知症や介護負担がある場合には、連携を密にして見守りを続けていきます。

 急に対応をお願いする第二は急病が疑われるときです。
 例えば、当院に通院している患者さんが、体調が悪くなり検査をしました。検査結果が出て緊急に病院での治療が必要と思われるので自宅に連絡しましたが何度かけてもつながりません。カルテを確認すると、『デイサービス』に通っているとの記載がありました。介護保険サービスを利用しているのであれば、地域包括支援センターがケアマネージャーを把握しているはずと思い連絡を取りました。ケアマネさんと連絡を取ることができ、ご家族の連絡先を確認、御家族と連絡取ったのち、ケアマネさんに病院受診に付き添っていただくことができました。

 このように、私の毎日の診療で地域包括支援センターは欠かすことのできない存在です。
これからもまずます連携を密にして、より良い診療につなげていきたいと思っています。
(了)

 

©ks_skylark

 
 
【筆者略歴】
 三輪隆子(みわ・たかこ)
 認定内科医、神経内科専門医、身体障害指定医(肢体不自由、音声言語、平衡機能障害)。西東京市医師会理事。
 静岡県清水市(現静岡市清水区)出身。信州大学卒業後、信州大学第3内科入局。佐久総合病院で地域医療を研修後、東京都立神経病院、狭山神経内科病院で神経疾患、難病の診療に従事。1995年(平成7年)国立身体障害者リハビリテーション病院神経内科医長。リハビリテーションのほか社会復帰、療養・介護など福祉的な問題にも取り組む。2007年(平成19年)1月「みわ内科クリニック」院長。2013年(平成25年)6月医療法人社団エキップ理事長兼務。2017年(平成29年)4月から理事長。