何が変わったか-緊急事態宣言から2週間【特集】

投稿者: カテゴリー: 新型コロナウイルス連載・特集・企画 オン 2020年4月23日

 緊急事態宣言から2週間余りが過ぎました。外出自粛が続き、まちはほとんど終日店じまいです。図書館・公民館をはじめ公共施設も軒並み閉鎖。市の主催行事も中止となりました。地域の賑わいや市民活動がほぼ壊滅したと言えるでしょう。
 そういう状況下で、私たちの身辺にどんな変化が起きたのか。仕事だけでなく、社会参加や市民活動はどうなったのか。常連執筆メンバーの声を聞きました。(編集部)(写真「花の主役は桜からツツジになった。遊具も使用禁止に」2020年4月19日、西東京いこいの森公園)

 

 

春に集中する定期総会。今年はどうする

 

総会、会わずにできるんか

 新型コロナウイルス感染予防のために、活動自粛の嵐が吹き荒れている。そして、ステイホーム。カツドーもしちゃいかんし、家からでたらあかんのよ。お仕事だけでなく、自治会や市民活動も例外ではなくてね。でも春は、1年に一度の定期総会のシーズン。わたしが参加しているいくつもの会でも、バタバタと未曾有の定期総会準備が始まった。

 会議やるんか、やめるんか。総会、会わずにできるんか。
 そんなことを相手を変えて何度メールしただろう。早めの日程で普通に行った一つの会を抜かして、ほとんどが「書面審査」。あとは、延期にしたままだ。

 

書面審査の情報があった

 いざ、総会を書面審査で行うと決めると、次は書類の作成である。例年通りのことは、粛々と進めることができるが、「例外」には、なかなか苦戦する。私が参加している会の一つの代表の女性から「市のホームページにひな形があったので作ってみました」と連絡が来た。

 確認すると、協働コミニティ課の所管のホームページに
「新型コロナウィルス感染症に関する自治会・町内会における定期総会等の対応について(情報提供)」があった。協働コミニティ課に確認したところ、「ホームページに載せる前に、何件か問い合わせが来たので、掲載しました」とのことだった。総会がこれからのところは、参考にされたらどうだろうか。

・新型コロナウィルス感染症に関する自治会・町内会等における定期総会等の対応について(情報提供)(西東京市Web

 

思い知ったコロナの春

 年に一度、会員が顔を合わせて、質問や意見を交わし議案を検討し決算を承認して、方針等を決定して行く定期総会。わざわざ、会わなくてもできるんだね、と言うのが正直な感想である。でも、選べるとしたらどちらを選ぶ? と聞かれたら、やっぱり皆が一堂に会する総会だ。

 文章ではなかなか伝えきれない説明や意見、質問などを懇切丁寧に行うのは大変骨の折れることで、書面審査で行う総会が普通の総会より中身が濃い、とは決してならない。「お久しぶりです」と言いながらでも、一年に一度は、顔を見ながら話しをするのはとても良いことだったのだ、と思い知ったコロナの春である。
(石田裕子)

 

 

自宅でオンラインヨガ

 

 打ち合わせ、取材、懇親会、勉強会、ボランティア、マンションのサークル……自分が関わる活動は軒並み延期か中止になった。ここは7年ほど前から通い始めた近所のヨガ教室「terra yoga」(小平市)の変化を報告しよう。

 講師の実家と自宅の一室で数人が受けるアットホームなレッスンだから、密閉・密集・密接の3密に近い環境になる。感染拡大の当初から黄信号が灯って3月下旬、ついに休止が決まった。

 代わって4月3日から始まったのが、ウェブ会議ソフト「Zoom」を使ったオンライン・レッスンだ。初の試みとあって、前日の予行練習に臨んだ先生と参加者数人のIT弱者たちが「映像が映らないよ」「音声が聞こえません」と各自宅で試行錯誤を重ねた。

 思えばビデオ通話「Skype」を初導入した「ひばりタイムス」の例会でも同じようなやりとりがあった。使いこなせたとは到底言えないが、なんとかクリアして時代に追いついた気分になった。おかげでオンライン取材の打診があった時も「ZoomとSkypeなら大丈夫ですよ」とちょっと余裕を見せることができた。

 

自宅で無料オンラインヨガ。寺﨑礁先生はお腹の愛猫に構わずレッスンを続ける(筆者撮影)

 

 さて、事前に登録すれば毎日朝から晩まで1時間半か30分のレッスンのどこにでも参加できる。先生の映像と同時に自分の映像も見ることができるのがいい。

 初回は参加者の親類が奈良県から参加した。「はじめまして」。おお、世界のどこからでも一緒に参加できるんだ。当然なんだろうけど、実際体験すると少々テンションが上がる。以前、世田谷で開いていたクラスの参加者にも久々に“再会”できたそうだ。

 オンラインでの仕事、授業、診療、面接、飲み会……コロナ後、私たちの生活はごろんと変わるかもしれない。

 1週間ほどして先生は何を思ったか、今度はYou Tubeで毎日午後3時から30分、初心者向けに無料のライブレッスンを始めた。こちらは一方通行だが、運動不足の解消になりそうだ。5月6日まで毎日続けるという。できるだけ参加してみよう。もしかしたら外出自粛の前よりも健康になるかもしれない。
(片岡義博)

 

【関連情報】ブログ「terra

 

 

オンラインミーティングに必要なのは

 

 2020年4月から東京都美術館のアート・コミュニケータとなった。オリエンテーションからZOOM(オンラインミーティングサービス)で行われている。対面で一度も挨拶をしていない方と、オンラインで意見を交わす。1回あたりの会議は、休憩を入れつつ2~3時間に及ぶ。私が参加するのは今年度から。これまでとの比較は出来ないが、戸惑いを感じる部分もある。

 

自宅でオンラインミーティングに参加する筆者

 

 ZOOMを活用したオンラインミーティングには、良い面がある。参加者が質問や意見を表明しやすい点だ。ZOOMには、チャットと呼ばれるメッセージ送信機能がある。ミーティング中、好きなタイミングで誰でも書き込むことができる。メインで話している人の流れを妨げず、質問が可能だ。実際、多くの人が質問していた。リアルの場で、手をあげることを躊躇う人もいることを考えると良い面と言える。

 数時間家の中で会議を行うとなると、家族の協力が必要だ。子供は、6歳と1歳の2人。じっとはしていない。オンラインミーティングを行う前に、何時から何時まで会議なのか、食事はどうするのか、といったことを事前に伝えておくことが家族円満の秘訣だ。
(道下良司)

 

 

スポーツクラブの対応と今

 

 新型肺炎が流行りはじめた2月、所属しているスポーツクラブの対応が変わりはじめた。入り口やスタジオ内に消毒液、インストラクターもレッスン前に予防についてのアナウンス。3月になるとスタジオレッスンはすべて休講、ジムエリアのみの利用となった。

 4月、レッスン再開のお知らせメールが会員に。読むとかなり徹底したウイルス対応だ。消毒液、マシンの消毒、スタジオのドアを開放したままレッスン。人数の制限等。会員が安心して利用できるようにとの計らいだ。やっと始められるかも、と期待したのも束の間、緊急事態宣言が出され、当面の間は臨時休業になった。

 

西東京いこいの森公園 (4月21日午後3時50分、筆者撮影)

 

 そういうわけで今は、運動不足解消に毎日ウォーキングをしている。雨の日も自宅周り、日曜は公園を何周かし、そのあと買い物の目的地まで。今ある健康アプリは、毎日の歩数、週や月の平均歩数も確認できて張り合いになる。ついでに一言、よけいなアドバイスまでも。それを見ながら一喜一憂し、8000歩以上を目標にとりあえず歩く毎日だ。加えて毎晩お風呂上がりにストレッチや腹筋。この少し丸くなったからだを何とか元に戻すべく、無理のない努力を重ねている。
(梶山るみ)

 

 

窓越しで孫の顔みた。農作業で元気に

 

 夫婦二人で家に閉じこもっているのも飽いた。だから、1日1回の散歩だけは続けている。

 5人いる孫たちともしばらく会っていない。つい、孫がいる娘夫婦の自宅周辺を散歩コースにいれた。
 「近くへ行くから、顔を見せて」と携帯電話で連絡して、孫たちが窓を開けて手を振るというのを繰り返している。孫たちは、だんだんめんどくさくなったのか、手の振り方もおざなりになった。

 職場会議もテレ会議に変わった。パソコン操作に弱いことを自覚していたので今までは「これどうやるんだ? 操作やっといて」と、若い職員に依頼していた。今回は自分で設定することになった。で、当日のテレビ会議では向こうの声はしても、こっちの顔が映らないし、声も聞こえないらしい。結局、メールで意見を書いて送信するはめになった。新しいことをやるのには、遅すぎることはないと気持ちは前向きだが。

 4月22日朝、久しぶりに農業塾で作業をした。新型コロナ感染拡大の中で畑の作業も延びていたが、2つのグループに分けて、マスク着用が条件に。参加したのは6人。広い畑の中で、それぞれ間隔をあけてネギの定植作業を始めた。

 

溝を掘る

間隔を空けて、ネギに土寄せ(ともに筆者撮影)

 

 畑に溝をつけ、ネギを植え、土寄せをする。かがみながら土を寄せるので、足は痛いし、背中が痛い。でも「労働」は気持ちを豊かにする。こういう中でも、野菜はしっかりと育ってくれる。

 「高齢者もいる。新型ウイルスに罹病するとコロリと逝くからね。グループも2つに分けた。つぎは土曜日に」とリーダーの金子さん。「コロナでコロリだな」と誰かがポツリ。

 ひと汗かいた後の「お茶」もできるだけ避けて、昼前には作業を終えた。
(川地素睿)

 

 

「コロナ見舞い」を出してみた!

 

 個人レッスンでピアノを教えている。生徒さんとはいえ、半分以上は年上。90歳に手が届く方もいる。4月のレッスンは全て休講とした。

 日頃のレッスンは1回が30分。みなさん少しおしゃれをしていらっしゃる。演奏とお話が半分ずつくらいのゆったりとした時間を過ごす。短い方でも10年以上、最長の方は30年くらいのお付き合いだ。時々親戚のように感じる時がある。

 最後のレッスンがあってからほぼ1ヶ月が経つ。こんなに間が空くことは初めてだ。

 何かしていても顔が浮かんだり、声を思い出したり。「どうしていらっしゃるかな」と気になってきた。ピアノの腕前が上がったとか下がったとか、そんなことは露ほども考えない。インターネットでレッスンしているという同業の友人も多数いるが、いたずらに疲れさせてしまいそうで行う気になれない。

 メールはやらない方が大半。電話はお邪魔かもしれない。考えているうちに思い立ったのが「コロナ見舞い」だ。「暑中見舞い」と同じ。今の気持ちにぴったりだと思い作成した。

 

ひばりが丘団地内に咲く「サトザクラ」。4月初め(写真は筆者撮影)

 

 散歩中に撮影したひばりが丘団地内のヤマザクラの写真。夫が写したスナップ写真をレイアウトして葉書に印刷。「コロナお見舞申し上げます」とは入れなかったが、納得のお見舞状ができた。

 宛名を書き、切手を貼り、ポストまで外出。一つ一つが楽しい時間だった。

 日頃の暮らしのペースだったら、「早くやらなくては」と追われる感覚になることが、自粛生活では丁寧に、楽しんでできる。

 気がつくと、部屋は片付き、ベランダの花は生き生きと咲き揃い(いつもは水やりが足りなくてごめんね)、レシピを検索して料理したりしている。

 それでも、そんなことを心から喜べない、どこかに枷をはめられている気分になる。その背後に「死」の影がちらつく災害。誰の上にも平等に影を落とす事象。
 こんなに疲れるとは思わなかった。
(渡邉篤子)

 

 

アクセスは平時の10倍超も

 

 新型コロナウイルス感染が明らかになってから、ひばりタイムスの関連記事が増えた。連日4~5本を数える日も珍しくない。それまでの1週間分を1日で掲載し始めたのだから、内部の修羅場が想像出来るのではないだろうか。しかも休みなし。目は回らないけれども、瞼が閉じ加減。ときどき、デスクで頭を垂れている、かも。

 とはいえ、小さなメディアとしては健闘している部類に入るのではないだろうか。公立昭和病院の動きをいち早く察知して、少なくとも関係地域の住民に知らせることができた。地元の動きもフォローして、食べる人と作る人を「持ち帰り」メニューでつなぐ「西東京まちめし」プロジェクトを取り上げた。商店街の困窮、田無神社の社務所・授与所の閉鎖や狛犬のマスク姿も伝えてきた。透明な間仕切りが業種を超えて出現したことも明らかにできた。特集を組み、都心よりも郊外のあちこちに人出が目立つ状況を指摘。地域で暮らす私たちのリアルに沿った街場の風景を伝えてきた。

 メンバーの努力で、アクセスは跳ね上がった。それまでの月間平均の軽く数倍を記録している。最近は10倍を超えることもある。

 

この1カ月、アクセスは急上昇した

 

 そのせいか、サーバーに異常が現れた。ページが白紙になったり、ファイルをアップしてもエラーになったり、挙動不審の現象が何度か起きた。相当ヤバいので、契約をグレードアップした。料金倍増は痛いけれど、背に腹はかえられない。いまはなんとか落ち着いている。

 もっともアクセス増は、ひばりタイムスの頑張りだけで達成できたわけではない。外出自粛、在宅勤務のおかげで、自宅からネット探索に時間を費やす人が多くなったからかもしれない。「やることがなくて退屈なんだよ」と洩らす自宅勤務の友人もいた。そうかもしれないと思う。それに地域の状況を日々伝えるメディアがそう多くないため、たまたまひばりタイムスが重宝された事情もあるはずだ。

 それやこれやで、あちこちに影響、というよりゆがみ、ひずみも生まれている。
 それまでストレートニュースでも、間違いを防ぐために、ほとんどは一晩おいてから掲載していた。それが当日、書き上げたそばから掲載するようになった。それだけ生ニュースの鮮度が問われるようになったからだった。そのせいか、ややミスが多くなった気がする。facebookやtwitterも1日か2日遅れで投稿していた。それが当日のお知らせになった。無理を承知の上でこの間、当日周知を通してきた。

 

シャボン玉、飛んだ(4月19日、西東京いこいの森公園)(写真は筆者撮影)

 

 社会が大きく動き始めると、ぼくらは好奇心に後押しされ、職業的な「圧」が働いてしまうのではないかと感じる。「ビョーキ」の面があるという自覚は忘れない方がいいと思うけれど、多面的に広がる人びとのありようは、いつでも関心を引き付けて止まない。

 市民ライターのみなさんには、現場取材のために外を出歩かないよう強くお願いしている。警告を発したこともある。

 まずはリスクを回避し、そのうえで起きていることを伝えたい。できることは限られていても、その限られたなかで、一日一日を淡々と、しっかりと記録したい。そう願っている。
(北嶋孝)(写真は筆者撮影)

 

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何が変わったか-緊急事態宣言から2週間【特集】」への1件のフィードバック

  1. 1

    緊急事態宣言が出てから「3週間余り」と見出し、リードにありましたが、「2週間余り」の誤りです。お詫び、訂正しました。宣言は4月7日に東京など7都府県に出たあと、16日に全国に拡大しました。(北嶋)

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