線路際のバラ

私たちの「コロナ禍」【特集】

投稿者: カテゴリー: 新型コロナウイルス連載・特集・企画 オン 2020年6月27日

 緊急事態宣言解除から1カ月余り。世の中は警戒心が緩くなったのでしょうか。東京の新型コロナウイルス感染症患者は連日50人を超えるようになりました。そこであらためて、2月後半からの4ヵ月間、コロナ禍の火の粉を浴びた期間を振り返ってみたいと思います。家庭や子ども、仕事や街はどう変わったか? 「外」と「内」の風景、事象を報告します。(編集部)(写真は、ひばりヶ丘駅西側の線路際に咲く赤いバラ)

 

 

賑わいが戻りはじめたひばりヶ丘駅前(南口)(6月27日)

 

ピカピカの一年生は、黄色のカバーと新しい制服

 6月1日から小中学校が再開すると聞いて、谷戸小校区の、青少年育成会メタセコイアが関係者に配布している「谷戸小子ども見守り隊」のロゴのエコバッグを片手に登校の見守りをしました。

 

谷戸小子ども見守り隊のロゴが入ったエコバッグ

 

 市内公立小の1年生はランドセルに黄色のカバーをしているのですぐわかります。娘の小さい頃にそっくりな、内弁慶の子が通りました。口を真一文字にしているのは緊張している証拠。6月だけど、登校2日目ですしね。「先生が言ったこと、わからなかったら、首を傾げるといいよ」と言ってみました。

 

登校する1年生

 

 中学1年生は制服にまだ慣れていないし、こちらも見慣れていません。中には、自分の制服姿に気がつかない私に、マスクをずらして顔を見せてくれた女子がいました。「あっ、ごめん。制服なんで気がつかなかった」と言うと、「もう、他人みたいな顔するんだから」と返されました。心の中で「他人だけど」とツッコミながら、嬉しくてたまらない朝になりました。

 子ども達の学校生活が復活して、本当に良かったと思っています。これからのふれあいが楽しみです。あっ、まだふれあっちゃダメですね。「エアふれあい」で頑張ります。
(石田裕子)

 

 

「何が大切なのか」 見つめ続けたコロナ渦中

 6月が終わろうとしている。3月中旬から在宅勤務になって3カ月が過ぎた。片付くと思っていた家の中は未だに散乱しており、運動不足も否めない。日々の楽しみであり苦しみでもある料理に精を出し、味噌を仕込み、梅酒を漬け、塩麴を作り、ドクダミチンキにも挑戦した。

 そんな中、一歩を踏み出した。大げさだがなんてことはない、長く放置していたエンディングノートの記入を始めたのだ。自らが受ける医療行為についての判断が出来なくなった時のために、前もって何を希望するのかを書面に残したものをリビング・ウィルと言う。何を大切にして、どのように生きたいか、どのような最期を迎えたいのか…。終末期医療についての意思表示だ。

 

2冊のエディングノート

 

 エンディング・ノートは既に2冊入手していたが、書き込みができないまま数年経っていた。考えたくない、面倒くさい、そして “もしも” の時はまだまだ先という気持ちもあったからだろう。

 重い気持ちを払拭してくれたのは、先月参加したオンラインワークショップだった。WSでは、延命治療の複数のケースとその具体的な方法について聞き、自分はどういった人間で「もしもの時に何を大切にしたいか」について考える時間を持った。参加者の経験や思いを聞くことで新たな気づきが得られ、今の自分の気持ちがまとまった。

 誰にとっても自分の最期を考えることは簡単ではない。もしもの時にどのような選択をするかはわからない。考え方が変わることもあるだろう。ノートは何度書き直してもいい。そう教わった。

 世の中はポスト・コロナ禍へと動き出したようだが、私自身はまだコロナ禍真っ最中にいると感じている。何が大切なのかを改めて考えさせられた時間。誰しも死から逃れることはできない。折りに触れてノートを見直し、生と、終末と、死に向き合う。どう死ぬかはどう生きるかということでもあるのだから。
(卯野右子)

 

【参考リンク】
・こころのひと休み保健室(HPfacebook

 

すべては今のうち

 

 時々自分時間を、カフェで過ごすことが好きだ。JAZZやクラシック音楽を聴きながら、自分の好きな時を過ごす。慌ただしい日常の中で、なくてはならない時間だ。

 コロナが落ちついて、カフェ再開。心配はありながらも、やはり再開は嬉しい。行ってみると、利用禁止の張り紙、席は一つ置きに。60分以内の時間制限。消毒液はもちろん、スタッフもマスク、手袋着用、席が空いたらテーブルを消毒する、などの対策を行っている。以前は賑やかな話し声が当たり前だった店内だが、今は「できるだけ会話は避けてください」の表示も。静かなカフェになっている。

 

店内に張り出された感染防止のメッセージ

 

 実は1人利用の時は、この静かな空間がありがたい。より、のんびりした時間が過ごせるのだ。本や新聞を読む人、パソコンや勉強をする人、仕事の打ち合わせ。みんながそれぞれにこの空間を過ごしている。それを見るのも楽しい。活気のある以前の店内に戻るのが一番だ、と思いながらも、私は「ポスト・コロナのカフェ」を、今十分楽しんでいる。

 しかしこれも、コロナの第二波がくるまでの束の間のことなのか。嵐の前の静けさかもしれない。どうか、そうでありませんようにと願いながら、今日もほんの少しばかりの時間を楽しんでいる。誰にとっても、この”今”が大切なのだから。
(梶山るみ)

 

ポストって本当か?

 

 ◇久しぶりに電車に乗ってみたが

昼頃の電車内。「アラート解除」は大丈夫か?

 

 自粛宣言以降、外に出るのは徒歩か自転車。人混みは避けてきた。生活範囲が田無駅とひばりヶ丘駅周辺になっていた。

 久しぶりに「リアルな会議」をやるというので、バスに乗り、武蔵境駅からJRに乗って出かけた。すこし緊張したが、バスも電車も先頭より後方のほうが風の流れがあるとTV番組でやっていたので、後方のドアの近くに立った。東京アラートがゆるんだせいか、昼頃でもけっこう通勤客が乗っていた。座席はソーシャルディスタンスにはならないようだ。マスクをつけてない人もちらほら。感染者はまだ増えているようだが、大丈夫か?

 

 ◇学校が始まっても「こどもは急に戻れない」

すこし肩を落として登校する

 

 長い休みにあきあきしていた孫たちも、朝8時過ぎには登校するようになった。学校が始まって3週間が過ぎた。やっと普通の時間割に戻ったが、遊び癖(ゲームが多い)がぬけない。で、宿題は毎日夜になる。大人はやきもき、子どもは「つかれた」のくりかえし。でも7月末には「期末試験」がくる。勉強ほとんどしていないのに、大丈夫か? こっちまで不安になる。
(川地素睿)

 

 

何となくソーシャルディスタンシング

 

 4月、5月は殆ど電車、バスに乗らなかった。移動手段は徒歩かタクシー。他人を気にせず移動していた。6月になって、仕事や習い事が再開し、都心へ出る事が増えてきた。

 6月26日の車内。見事に一席ずつ空いている。座席に「×」もついていないのに、間に座る人は少ない。新たに乗ってくる人も、ちょっと見回して、ドア付近に立つ。

 

地下鉄南北線

西武池袋線

 

 今までなら空いている席には座ったはずなのに、何となく座りにくい雰囲気が漂っている。筆者の隣の空席に座った男性は、座ってから気づいたのか、立って、シルバーシートに移動した。「隣に来ないで」というオーラを出したつもりはないが、ほっとしたのは事実だ。

 以前なら乗継を調べ、最短時間で行ける経路で移動した。「コロナ後」はいかに空いた電車で行くか、を考えている。

 各駅停車、最後部、地下鉄乗り入れ、など考えて、空いた電車に乗れると「やったー!」という気分。おかげで、移動時間の見積もりは長くなった。

 コロナ前の7割くらいの動き方かと思う。オンラインでの活動で十分用が足りる事もあることがわかった。今まで仕方ないと思い、我慢していた移動のストレスが少なくなって快適だ。

 もう元には戻れない気がしてきた。
(渡邉篤子)

 

 

地域メディアのネットワーク

 

 コミュニティーラジオ局や地域情報紙とこの間、しばしば行き来した。
 FM西東京との付き合いは長い。ひばりタイムスに多くの記事を寄稿してくれた柿本珠枝さんがディレクター時代、情報番組「ウイークエンドボイス」に折々ゲスト出演した。6月半ばにも「公開取材」という名目で出演の機会があった。

 同局が運営する情報発信拠点「まちテナ」の活動を取り上げ、臨時休校中の小学校の先生たちが子どもたちに声の便りを届ける特別番組「西東京市ラジオ小学校」も紹介した。スタッフとの付き合いもある。

番組のロゴ(FM西東京提供)

 

 FMひがしくるめは5月後半、ひばりタイムスのコロナ関連ニュースを番組でほぼ毎日取り上げ発信した。招かれて番組に出演したこともある。

 ひばりタイムスにもFMひがしくるめの活動や番組が再三登場した。小平市と清瀬市を中心とした情報発信番組「ほくほくラジオ」を紹介したり、学校の先生たちが休校中の子どもたちとラジオを通じて交流する連続番組を取り上げたりした。

 

特別番組「先生から児童へ応援メッセージ♡ ~元気にSTAY HOME in ひがしくるめ~」

 

 西東京市・東久留米市・小平市・東村山市・清瀬市の地域情報紙「タウン通信」社長の谷さんとも地域メディアのあり方について何度か話し合っている。

 それぞれ特色あるメディアが地域の出来事や活動、課題に、共同で取り組めないだろうか。コロナ禍を契機に、前にも増してそう考えるようになった。

 昨年3月、特集「6人の新人議員たち」(全6回)を掲載した。FMに出演した西東京市の新人議員6人の話をまとめた「FM西東京・ひばりタイムス共同企画」だった。これ1回限りでは寂しいし、もったいない。コロナ禍が結んだ縁もある。時間がかかっても協力形態を見つけたい。
(北嶋孝)

 

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