第39回 現代版駆け込み寺―生活サポート相談窓口

 

3.日本における「貧困」の再発見

 

 第二次世界大戦からの復興を果たし、経済成長を遂げた日本では、さまざまな社会保障制度を充実させ「貧困」の排除に努めてきた。一見豊かに見える日本社会において、「貧困」が改めて認識されるようになったのは、OECDによる2006年の対日本経済審査報告書がきっかけのようだ(注2)。

 

 「就業者に占める非正規雇用の比率が10 年前の 19%から 30%以上にまで上昇し、パートタイム労働者の時間当たりの所得はフルタイム労働者の 40%程度で、賃金の格差は生産性の差で説明できないほど大きい。相対的貧困率については、日本は OECD の中で最も高い国のひとつとなっている」と、労働市場の二極化を改善するよう勧告された。

(注2)外務省経済局政策課調査室『OECD 対日経済審査報告書の概要』2006年7月19日

 しかしながら、2008年のリーマンショックによる景気後退もあり、非正規雇用の比率は、高まり続けた(図4)。近年では、40%近い水準となっている。なかでも、女性の非正規雇用の比率は、56%と非常に高い水準である。

 

非正規雇用者の割合の推移

図4 非正規雇用者の割合の推移
(出所)厚生労働省『厚生労働白書』令和2年度版

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【目次】
1. 西東京市の福祉丸ごと相談窓口とは
2. コロナ禍で急増した相談件数
3. 日本における「貧困」の再発見
4. 絶対的貧困と相対的貧困
5. 弱いところへの打撃が大きい
6.コロナ後の暮らし

 

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