第5回 遊休不動産のリノベーションとまちの再生

 

3. 西東京でも遊休不動産活用で魅力アップを

 

 中央線の高架化に伴う再開発で吉祥寺や武蔵境の魅力が増し、西武池袋線のスピードアップにより、池袋-所沢間が新宿-田無間と同じ時間となって所沢が拠点化されつつある。西東京市には、5つの駅があるものの、商業地としての地位が相対的に低下している。交通網が発達し、すでに一等地ではないのに高い賃貸料のままで衰退してしまった小倉の例は、西東京にとっても他人ごとではない。

 それぞれの駅(まち)がそれぞれ魅力的になるためには、再開発だけでなく、遊休不動産のリノベーションも選択肢の一つだ。そのためには、不動産オーナーの意識改革がポイントだが、意識改革には、北九州家守舎やまちづクリエイティブのような仕掛け人の存在が大きい。前者は、行政が声掛けをしてはじまり、後者は、民間の動きに行政が協働した。前者は、都市型産業の集積を目指し、後者は、アートを核にしている。

 小倉や松戸と西東京とでは、まちの規模も歴史も違うので、事例がそのまま当てはまるわけではないにせよ、西東京でも、遊休不動産を面白く活用することによって、エリア全体の価値を高めるような試みが生まれたら楽しいのにと思う。わが町で、最初に動きはじめるのは、どのセクターだろうか。また、どんなコンセプトなら可能だろうか。

 

 

05FBこのみ【著者略歴】
 富沢このみ(とみさわ・このみ)
 1947年東京都北多摩郡田無町に生まれる。本名は「木實」。大手銀行で産業調査を手掛ける。1987年から2年間、通信自由化後の郵政省電気通信局(現総務省)で課長補佐。パソコン通信の普及に努める。2001年~2010年には、電気通信事業紛争処理委員会委員として通信事業の競争環境整備に携わる。
 2001年から道都大学経営学部教授(北海道)。文科省の知的クラスター創成事業「札幌ITカロッツエリア」に参画。5年で25億円が雲散霧消するのを目の当たりにする。
 2006年、母の介護で東京に戻り、法政大学地域研究センター客員教授に就任。大学院政策創造研究科で「地域イノベーション論」の兼任講師、現在に至る。2012年より田無スマイル大学実行委員会代表。2016年より下宿自治会広報担当。
 主な著書は、『「新・職人」の時代』』(NTT出版)、『新しい時代の儲け方』(NTT出版)。『マルチメディア都市の戦略』(共著、東洋経済新報社)、『モノづくりと日本産業の未来』(共編、新評論)、『モバイルビジネス白書2002年』(編著、モバイルコンテンツフォーラム監修、翔泳社)など。

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