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第3回 保谷北町緑地保全地域、下保谷四丁目特別緑地保全地区(高橋家の屋敷林)


  萩原 恵子(屋敷林の会、下保谷の自然と文化を記録する会)


 

保谷北町緑地保全地域(1.058ha)

散歩MAP

【イラストをクリックすると拡大します】

 西東京市の最北にある緑地。コナラやクヌギ、エゴノキなどの落葉樹が主の雑木林。
 昭和の初期までこの一帯は山と呼ばれていた。その後変電所ができ、戦時中はその中に陸軍の補給廠も。中島飛行機工場のエンジン運転試験用と思われるガソリンも林の土中に隠してあったという。

 緑地のすぐ北側が、東京電力の武蔵野変電所。銀林みのる著『鉄塔 武蔵野線』で鉄塔ファンの聖地となったが、埼玉県日高市から続く送電線の終点。高い鉄塔が林立する。

 ここは鉄塔だけでなく、知る人ぞ知るサクラの名所でもある。

 以前緑地に沿った鉄塔の高所で鳴くカッコウを見たことがあったが、猛きん類もここから緑地をながめるのが好きかもしれない。上方斜めから林に飛び込んできてカラ群を襲う狩りを、見たことがある。

 林は落葉樹で構成されているため、冬になると裸になるが、南側にシラカシ、ヤブツバキなど常緑の中木が並んで、畑との境を縁どっている。

 少し離れて林の外からながめると、畑も見え、いろいろな鳥の出入りがよくわかる。

 この緑地は踏みつけられて土が固くなっているので、自然の回復を待つため人が入れない場所が多い。そのせいか植物の種類が多い。傷んだ木も多いが、鳥や昆虫の集まる要素ではある。

 夏には、人がカブトムシを探してクヌギの根元を無残に掘り返した跡がそこここに見られる。そっと見守りたいものだ。 

 

  • 1 保谷北町緑地保全地域。南からのながめ

 

下保谷四丁目特別緑地保全地区(1.1ha)(高橋家の屋敷林)

 2012(平成24)年に特別緑地保全地区に指定されたばかりの高橋家の屋敷林。
 現在は母屋・駐車場ゾーンはまだ高橋家所有なので、常時公開はされていない。

 江戸時代から武蔵野の農家は、冬の強い北西風から藁屋根を守るため、ケヤキやシラカシのような高い樹木で家を囲った。垣根を他所との境にし、生活に必要な竹やクヌギやスギも配置して、屋敷林を構えて樹木と共生した。

 高橋家は典型的な屋敷林の形を残している。現在、市の整備の途中ではあるが、植樹をしすぎているように思える。

 ただ高木ゾーンは、いじらなくなったことと、数年前にスギが1本強風で裂けて取り除かれたことで陽光が入り、実生からの発芽や鳥のふん由来の新しい草や木が生えてきて、それは自然で面白い。意外なのはキウイフルーツ。鳥のふんからだろうがあちこちに生えて繁殖力旺盛。

 ここは昔スギ林で、1938(昭和13)年に火事で焼けた第一小学校再建のために伐採、苗が植えられた。戦後放っておいたらヤマザクラやムクノキが生え、スギを押しのけて大きくなった。林の成り立ちがよくわかる。

 野草園は、春は花が一斉に咲くので見ごたえがある。他の季節は日陰になり花数が少ない。駐車場の南の植栽の下や東側の土手の草花のほうが日当たりがよくいい花をつける。ここでは、花に集まる昆虫が見られる。

 しかし屋敷林の見どころは、やはり木の花や紅葉。ハクモクレン、ミズキ、モミジ、ヤブツバキ、サクラ……。木が高く大きいので林の外からでも十分楽しめる。

 鳥も、東側の草地や低木のあるほうが観察しやすい。毎夏飛来するアオバズクは、夜樹液に集まる昆虫を食べる。耳をすませば、「ホホー、ホホー」という声が……。

 野草園は金曜午前9時30分~正午、ボランティアが公開。
 今年は5月と10月の第三土曜日の午前に、みどり公園課が屋敷林の一般公開をする予定。

下保谷四丁目特別緑地保全地区マップ

 

【筆者略歴】
 萩原恵子(はぎわら・けいこ)
 宮城県石巻市出身。校正者。屋敷林の会代表。下保谷の自然と文化を記録する会会員。かつて保谷に渋沢敬三や高橋文太郎がつくった日本初の民族学博物館の歴史を掘り起こし、広報活動を継続中。ブログ「西東京市・高橋家の屋敷林」その他。著書『タヌキの伝言』(けやき出版)。

【関連リンク】
・連載 西東京市の散歩道>>目次
西東京市・高橋家の屋敷林

 

 

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