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第6回 サービスを利用するための要件


 斎藤澄子(社会福祉士・精神保健福祉士)


 

 介護保険や行政の高齢者サービスは、その費用を社会保険料あるいは税金で賄われています。つまり、「みなさまのお金」が使われているわけですね。そのため、サービスを利用するには、必要な人に必要なサービスが公平かつ効率的に届くよう、さまざまな条件が付けられています。
 今回は、サービスを受けるための要件(資格)について、お話しします

 

 要介護認定を受けなければ、介護保険サービスは利用できません

 

 介護保険のサービスを受けるには、「介護が必要である」という認定を受ける必要があります。これを「要介護認定」と言います。

 基本74項目と特別な事情の有無を本人・家族に調査したうえで(認定調査)、介護認定審査会で個別に判定されて、要介護度が決まります。要支援1~2 ・要介護1~5の7段階に該当すれば、自宅で受けられる居宅サービス、施設に入所して受ける施設サービスなどの介護保険サービスを利用することができます。

 ただし、特別な事情がない限り、車いすや電動ベッドなど一部の福祉用具については要介護2以上、特別養護老人ホームに入所できるのは要介護3以上、と決められています。

 介護保険以外の高齢者サービスにも、介護の状態を要件にしたものが少なくありません。

 たとえば、ねたきりあるいはそれに準ずる状態の方には、自宅に業者が来てくれる「寝具乾燥サービス」、美容師や理容師の訪問による「理・美容券交付サービス」、要介護1以上で入院中の方におむつ代が補助される「高齢者等紙おむつ助成金」などがあります。

 

シニアライフの知恵7

イラスト=©手島加江

 

 また、リフト付き車両を利用できる「高齢者外出支援サービス」や、認知症で迷子になる恐れの高い方のための「認知症高齢者等徘徊位置探索サービス」などは、要支援・要介護認定を受けていれば、利用することができます。あまり知られていませんが、重度の認知症や寝たきり状態にある方は、所得税の障害者控除の対象になることがあります(自治体から「障害者控除対象者認定書」が発行された場合)。

 では、体が弱っていても、要介護認定で「非該当」と言われた方には、利用できるサービスがないのでしょうか。

 65歳以上で、必要性が認められた場合、手すりや段差の解消工事を原則1割負担で行うことができる「自立支援住宅改修費給付」や、週1回1時間の家事援助・見守りを受けられる「自立支援ホームヘルプサービス」などがあります。

 

 年齢によって利用が左右されることも

 

 介護保険は、65歳以上の高齢者を対象にした制度と考えられがちですが、若年性認知症や脳血管障害、関節リウマチなど、加齢に伴う16の疾患(特定疾病)で介護が必要になった場合は、40歳以上であれば利用することができます。末期のがんや、糖尿病に関連した神経障害・腎症なども、特定疾病の対象になっています。

 また、65歳以上でひとり暮らしあるいは高齢者のみで暮らしている方は、「配食サービス」「福祉電話貸与・電話料助成サービス」などの、安否確認も兼ねた高齢者サービスを受けることができます。同じく、65歳以上であれば、介護の有無は問わず、1回千円でハリ・きゅう・マッサージを受けることができる「福祉手技治療割引券支給サービス」の対象になります。

 なお、「高齢者」と一口で言っても、一律に65歳以上というわけではありません。都営交通や都内の民営バスに1年間一定の料金で乗ることができるシルバーパスは満70歳以上、後期高齢者医療制度は75歳以上など、年齢によって、利用できるサービスは異なります。そう言えば、運転免許証更新の際、認知症検査(講習予備検査)が義務づけられるのは75歳、映画館のシルバー割引が受けられるのは60歳以上、などという年齢要件もありますね

 

 誰と暮らしているかが問題になる場合も 

 

 介護保険では、家族形態にかかわらず、ほとんどのサービスを利用することができます。

 ただし、要介護認定を受けていても、同居家族がいる場合、介護保険の訪問介護のうち、「生活援助」(調理、掃除などの家事サービス)は原則、利用できません。

 問題になるのは、同居家族が高齢である、二世帯住宅あるいは同じ敷地に親族が居住している、家族が仕事に出て日中独居になる、同じマンション内の上下階に親族が住んでいる、などの場合です。「同居家族がいる場合の生活援助について」というマニュアルを作成している自治体もあるほどです。

 厚生労働省は、同居家族がいるというだけで一律に生活援助を認めないことは制度の趣旨に反するとして、個別の判断を強調した通知を自治体に出しています。しかし、事情もきかず、紋切り型に「同居家族がいるので、生活援助は利用できません」と言われることも少なくないようで、ご本人やご家族からの苦情が絶えません。私が勤務している某区の窓口でも、「5年間、一切交渉がなく、口をきくこともないのに、二世帯住宅というだけで、サービスが受けられない」という高齢者の嘆きの電話を受けたことがあります。

 なお、同居家族がいても、入浴介助や排せつ介助などの介護(身体介護)を受けることはできます。また、本人の状態によっては、利用者とヘルパーが一緒に行う調理や買い物などが身体介護として認められることもありますので、高齢者支援課や地域包括支援センターに相談することをお勧めします。

 

 十分に説明を受けることが重要です 

 

 なお、ここで紹介したほとんどのサービスは、申請しないと受けることができませんし、事前に調査や審査がある場合も少なくありません。また、一定の利用者負担を求められるものがほとんどです。

 サービスの必要性を感じている方は、高齢者支援課や地域包括支援センターに相談し、十分に説明を受けることをお勧めします。

 

【プロフィール】
 斎藤澄子(さいとう・すみこ)
 福岡県出身。都内某区で高齢者の相談業務に従事。社会福祉士・精神保健福祉士。元看護雑誌編集長。趣味はトランペット演奏、長年の「少年隊」のファン。
 手島加江(てじま・かえ)
 イラストレーター。1980年桑沢デザイン研究所卒業。82年頃よりフリーとして活躍。広告、雑誌、書籍、CDなど。個展、グループ展など多数。

 

 

 

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