第40回 「おひとりさま」の老後:入院・手術を受ける時

 

8.身じまいの作法の必要性

 

 一方、家族がいる人であれ、おひとりさまであれ、自分が「ヨタヨタ・ドタリ期」を迎えるにあたって、どうしても、誰かしらの世話にならざるを得ないのであるから、死に至るまでの準備をきちんと整えておく必要がある。春日キスヨさんは、身体自立能力が衰え、下の世話を他人にゆだねざるを得ない状態に陥った時、どこで、誰の世話を受けて生きるつもりなのかを問う作業が必要であるとし、これを「身じまいの作法」と言われている。

 春日さんは、国がフレイル予防を強調し、健康寿命を延ばそうとしていること自体は良いことなのだが、受け止める側が、健康体操などをしていれば、ピン・ピン・コロリとなれるように思ってしまい、「身じまいの作法」を考える方向に向かないようになっているのではないかと懸念している。先に上げた著書では、「ヨタヨタ・ドタリ期」における細部に渡るチェックシートが記載されている。

 今回は、元気でいる場合の入院・手術について取り上げた。それでも、元気でいられるかどうかということ自体が「不確か」なことなので、どうしても、何かあった場合に自分はどうしたいのか、手立てを考え、用意をしておく必要があるようだ。次回は、延命治療、相続、葬儀なども含め、どのような用意が必要なのかをもう少し考え、整理してみたい。

【目次】
1.ヨタヨタ・ドタリ期への備え
2.おひとりさまの備え
3.入院するときに求められる身元保証人
4.病院にとってのリスク
5.身元保証等高齢者サポートサービス
6.介護保険制度と成年後見人制度の利用
7.増加が見込まれる「おひとりさま」
8.身じまいの作法の必要性

 

05FBこのみ【著者略歴】
 富沢このみ(とみさわ・このみ)
 1947年東京都北多摩郡田無町に生まれる。本名は「木實」。退職、母の介護を経て、まちづくりに関わる。2012年より田無スマイル大学実行委員会代表。2016年より下宿自治会広報担当。2019年より、多世代交流・地域の居場所「どんぐり」オーナー。2020年にフェイスブック仲間と「西東京市カルタ」完成。2020年より下宿地区会館管理運営協議会代表。

 

 

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