◎「ありのまま」を見せる教育実践 車いすの先生と生徒の交流  長瀬千雅(ライター/編集者)

 私(評者)は、小・中・高、大学まで含めた16年で、車いすを使っていたり、視覚障害や聴覚障害があったりする先生には一人も出会わなかった。先生に障害があって、助けが必要だなんてことは思ってもみなかった。

◎勤続20年でも見えない壁 配慮の裏側に何が
 長瀬千雅(ライター/編集者)

 本書の主人公、三戸学さんは「車いすの先生」だ。生まれつきの脳性まひで四肢に不自由がある。2000年に秋田県の教員採用試験に合格。中学校で数学を教える。受け持ったクラスの成績は悪くない。卓球部の監督として女子団体チームを地区優勝へ導いたこともある。「(障害があるのに)すごいですね」「がんばっていますね」と言われる。なのに22年間、どれほど希望しても担任にはなれない。毎年毎年、期待してはがっかりするの繰り返し。それでも諦めない三戸さんの行動は、わたしたちに問いを差し出す。その問いが、本書のタイトルになっている。

 谷戸公民館主催の教育講座「ハートにプラス! 子どもの力を引き出す関わり方」が9月11日から全4回の予定で開かれる。課題を抱えた子どもや保護者らと付き合いの深い講師2人とともに、問題行動のメカニズムを知り、子どもが話したくなるおとなになれるよう考えます。申し込みは8月9日(月)から。