100winds_banner01 第5回

師岡武男 (評論家)
 
 

 [2015年]5月の消費関連経済指標(速報値)を、前年同期と比べて点検してみよう。名目賃金は0.6%増加、消費者物価は0.5%上昇、実質賃金は0.1%減少、実質家計消費支出は4.8%増加となった。この読み方はちょっとややこしい。実質賃金がマイナスになるのは、厚生労働省が物価で割り引く際の物価指数が「総合指数」よりも高い0.7%上昇だからだ。この状況はほぼ4月並みだが、消費は4月よりも大幅に増えた。これは、昨年5月が8%の激減だったためで、消費水準自体は低いままだ。

会議は踊る01

【書評】「どうすべきか」「どう考えるべきか」が浮かび上がる  師岡武男(評論家)

 東久留米、小平、狛江という近隣の自治体の最近の出来事で、人々の関心を引いたはずのものを取り上げ、「何が」「なぜ」起こったかを書いた本。東久留米は前馬場市長とイオン誘致問題、小平は都道建設計画と住民投票、狛江は共産党市長の長期政権などについて「何が、なぜ」を中心に、自治体運営の問題点を追求している。

100winds_banner01 第4回

師岡武男(評論家)
 
 

  [2015年]4月以降の物価、賃金の数字が要注目だ。なぜかというと、1年前と比べて、物価では消費税による値上がり分が共通となり、賃金はアベノミクスによる増額分が上乗せされるからだ。つまり消費生活面からのアベノミクスの素顔が見えやすくなるのである。

「武力信仰」表紙

【書評】美しい言葉に騙されるな  師岡武男(評論家)

 戦後労働法を学んだ陸軍将校生徒の米寿の記、という副題のついたこの本の著者は、少年時代に「神国」「皇国」「世界平和」「植民地解放」「大東亜共栄圏」等々の美しい言葉を信じ込んで、軍国主義国家の幹部への道を歩んだ人生を後悔し、戦後の民主主義・平和主義の憲法下で、労働法の大学教授・弁護士として活躍してきた。

100winds_banner01 第3回

師岡武男 (評論家)
 
 

  2015年度に入った。国民の生活にとって、アベノミクスの行方は大きな関心事の一つだが、もっと直接的に医療、介護などの社会保障の悪化の心配がある。国民全体に、安心・安全への不安感が広くただよっているのではないか。しかもその悪化のしわよせが自治体に押しつけられそうである。

100winds_banner01 第2回

師岡武男 (評論家)
 
 

  地方自治という言葉は誰でも知っているだろうが、「労使自治」は一般にはあまり聞きなれない言葉かもしれない。昨年の春闘で安倍政権が賃金引き上げの勧奨を強めてから、労使関係者がよく使う言葉なのだ。「賃金の在り方は労使間の交渉で決めるべきもので、政府が介入すべきではない」というときに使われる。この主張は特に財界側が近年強調してきたが、労働側でも連合系の組合がよく使う。

『国策通信社「同盟」の興亡』表紙【書評】 国策通信社と国策新聞・国策放送について

師岡武男(評論家)

 世の中の出来事を人々に伝える新聞、通信、放送、出版などの情報活動は、本当のこと(真実)を正確・公正に知らせるのがその社会的責任である。間違った嘘の情報には誤報、虚報、捏造(偽報)などいろいろあり、それぞれ性質に違いがあるが、真実に反することは共通だ。