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谷隆一著『議会は踊る、されど進む』

By in 市政・議会, 書評 on 2015年7月2日

会議は踊る01

【書評】「どうすべきか」「どう考えるべきか」が浮かび上がる
 師岡武男(評論家)

 東久留米、小平、狛江という近隣の自治体の最近の出来事で、人々の関心を引いたはずのものを取り上げ、「何が」「なぜ」起こったかを書いた本。東久留米は前馬場市長とイオン誘致問題、小平は都道建設計画と住民投票、狛江は共産党市長の長期政権などについて「何が、なぜ」を中心に、自治体運営の問題点を追求している。

 言うまでもあるまいが、本の表題は、ナポレオン戦争後のウィーン会議の『会議は踊る されど進まず』のもじりだ。その表題にこだわれば、「市議会は騒いでいるだけだが、官僚行政は粛々と進められている」ということになろうか。でも、それほど単純な話だけではではなく、有益な情報と評論がこの本には詰まっている。

 「何が、なぜ」を正しく調べて書かれれば、おのずから「どうすべきか」「どう考えるべきか」の方向が浮かび上がってくるだろう。この本が取り上げた出来事の記述を読んで、強く印象に残ったのは、自治体運営に際しての「情報公開」の徹底と「住民参加」による政策決定、つまりは民主主義政治の重要性ということである。同時に、それを具体的に実行して住民のための自治体を実現するのは大変だな、ということを痛感させられる。そう要約してしまえば、多分、全国の自治体に共通の課題だろう。この本の副題も「民主主義の崩壊と再生」である。

 東久留米のイオン誘致問題は、情報公開と市民参加が徹底できれば、もっと分かりやすい常識的な決着ができたのではないか。それにつけても、イオン開店後の実情はどうなっているのかが知りたいものだ。ルポライターの綿密な報告を待ちたい。

 小平の住民投票は、条例で高い投票率のハードルを設けて妨害した挙句、失敗させて開票さえもしないとは、あまりにも反民主主義ではないか。これも続報を聞きたい。狛江の共産党市長は折角の4期16年の実績の後に、後継の候補者がなぜ落選してしまったのだろうか、などさまざまなことを考えさせられる。

 なお、著者は西東京市を拠点とする、北多摩エリア向けの情報紙『タウン通信』の発行人である。同紙の成功発展を祈りたい。(了)

 

【筆者略歴】
師岡武男(もろおか・たけお)
 1926年、千葉県生まれ。評論家。東大法学部卒。共同通信社入社後、社会部、経済部を経て編集委員、論説委員を歴任。元新聞労連書記長。主な著書に『証言構成戦後労働運動史』(共著)などがある。

 

【書籍情報】
書名 『議会は踊る、されど進む 民主主義の崩壊と再生
著者 谷隆一
出版社 ころから株式会社
定価 ¥ 1,600+税
ISBN 978-4-907239-12-1
四六判 256ページ 並製

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