2013(平成25)年、小平市で東京都初の住民の直接請求による住民投票が実施された。問われたのは、国指定史跡の玉川上水を分断する半世紀前の都道整備計画を住民参加によって見直すべきかどうか。住民投票は投票率が成立要件の50%に達しなかったために不成立となり、投票用紙は開票されることなく廃棄された。全国的に注目された住民投票は民主主義のあり方をめぐる議論を巻き起こした。

 2003(平成15)年、武蔵野の台地を流れる玉川上水が国の史跡に指定された。江戸初期から人々に飲み水を届けるとともに武蔵野の開発を促した玉川上水は戦後、空堀や道路、暗渠になるなど時代の変化に合わせてその姿を変えてきた。近年は人々に憩いを与える自然環境の保全、江戸と東京の発展を支えた歴史文化資産としての整備が進むとともに、豊かな水流復活に向けた活動が熱を帯びている。

杉山尚次(編集者)

 「書物でめぐる」というわりには、新しい本を取り上げていないな、と思っていたところ、東京新聞の書評で『武蔵野マイウェイ』(冬青社)を見つけた(とはいっても4月のことだけど)。著者は『モダン都市東京 日本の一九二〇年代』など、ユニークな都市文化論で知られる海野弘。この連載8回で取り上げた陣内秀信が時を経て、郊外論を加え『東京の空間人類学』の続編を書いたように、海野弘も〝郊外〟なのかしらんと思いながら、読んでみた。(写真は「境浄水場」の隣を流れる玉川上水。隣にあるからといって、現在の玉川上水の水がここで浄化されているわけではない)

「小平グリーンロード&オープンガーデンマップ」英語、中国語、韓国語版

 2月4日は立春。これから梅がちらほらと開花して日ごとに春めいてくる。こだいら観光まちづくり協会はこのほど、水と緑が豊かな小平市を案内する「小平グリーンロード&オープンガーデンマップ」を改訂し、新たに外国人観光客向けに英語・中国語・韓国語版を発行した。マップを手に市内の緑道を散策してみてはどうだろう。