北多摩の住民でも、東村山市に東京都内で唯一の国宝建造物があるのを知る人は少ないのではないか。西武新宿線東村山駅の西口から歩いて10分余り。家並みを抜けると正福寺が現れる。禅宗の古刹で臨済宗建長寺派の寺だ。境内に建つ地蔵堂は戦前から国宝だったが、戦後1952年に文化財保護法の国宝に再指定された。今も地元の誇りとして手厚く保護されるとともに、親しまれ、地域の絆としての役割を果たしている。

 早稲田大学の卒業生の親睦組織、西東京稲門会がボランティアで取り組んでいる小中学生向けの無料の学習塾はユニークだ。経済的な理由などで、学習塾に通ったり家庭教師を頼んだりしていない公立学校に通う小学5年生から中学3年生の子どもたちに会社員やリタイアした人、主婦、大学教授経験者などが無報酬で授業を行っている。進学塾ではないので受験対策ではなく、学校の授業の補習が主な目的で、学習の遅れを補い、家庭学習、自ら問題解決する力を育成している。週に2科目受講でき、教師1人に生徒2人。対話しながら90分の授業を進める。学校の授業とはひと味違う、丁寧でゆったりした手づくりの学びの場である。

 戦前、戦後、そして未来に向けて「結核病院街」とも「結核の聖地」とも称される歴史を刻んできた清瀬市。そこで治療や療養をしていた人々は実にさまざまだ。境遇も職業も生い立ちも異なる老若男女が、かつては「不治の病」と言われた結核と向き合って懸命に生きてきた。治療もむなしく逝った人たちも数多い。この回ではあまたいる患者の中から清瀬での療養で自らの内面を耕して優れた作品を残した文学者の足跡を振り返りたい。それは結核の治療、闘病の歴史を彩るサイドストーリーでもある。