完璧なプラトニック・ラブストーリー by 墨威宏

 恋愛小説限定で読書会を開いているという友人から「お勧めの恋愛小説、ないですか」と聞かれたことがある。私は浅田次郎の『ラブ・レター』と即答した。浅田次郎がいけなかったのか、「どんな話?」とも「面白いの?」とも聞かれず、「へえ」とだけ。本当は聞いてほしかったのだけれど。今でも恋愛小説の「推し」は『ラブ・レター』だと思っている。この文章を書くために再読したら、また涙腺が緩んでしまった。(写真は、『ラブ・レター』収録の『鉄道員』。右はCDブック)

 この時期、常緑色の草がマンションの出入り口や側道にしっかり根付き、その玉竜(タマリュウ)の表面には、山法師より一寸小さいけれど、可愛い白い花が咲いている。その花言葉は「白い追憶」と「野生」。外出・帰宅の際に、その緑色と白色には大いに癒される。

 雨が降りしきる5月27日午前、カメラを抱えて西武池袋線ひばりヶ丘駅に向かった。駅西側、東久留米駅寄り約100メートルほどの線路脇に深紅のバラが咲いている。雨に打たれて花々も痛みが目立ち、行き交う電車の風圧に枝ごと揺れていた。

杉山尚次(編集者)

 前回、「地形」が一種のブームになっていることを書いた。その盛り上がりは2013年あたりから確かなものになったと考えられる。というのもこの年、『日本史の謎は「地形」で解ける』(竹村公太郎、PHP文庫)というそのものずばりの書名をもつ本がベストセラーになっているからだ。この文庫は同著者が書いた『土地の文明』(2005年)と『幸運な文明』(2007年、両書ともPHP研究所刊)という本を再編集してなった、と記されている。つまり、「地形ブーム」という時流を読んだ著者もしくは編集者(たぶん後者)が、編集技術で見事にベストセラーをつくりあげた、ということになる。(写真は、新座市を流れる黒目川。古代の渡来人はこういう水路をさかのぼって来た?)

 山法師はハナミズキ科で、同じように白とピンクの花(総苞片)が咲く。白はスッキリと、淡いピンクは優しい雰囲気を漂わせる。これからの時期には充分癒されそう。 (写真と文 三角善四郎  5月19日撮影)

 ~さらば谷戸育成場、されど紫草は死なず~

 2017年2月、わたしたちは西東京紫草友の会を発足させ、谷戸公民館の前庭裏手に育成場を設け、絶滅危惧種・紫草栽培をスタートした。栽培を始めてから生育環境があまり恵まれていないことに気づいた。隣接する高層の都営住宅が朝日を遮った。好天の時は頭上から日が射したけれど、午後には西日があたる立地だった。高層ビルと生垣に囲われた谷底のような育成場で4年間、「間借り」なりにも仲間とがんばった。気候不順も影響し、紫草栽培の目標である紫根は太く育たず、背丈も伸びず、ひょろひょろの痩せた姿だった。それでも毎年、愛くるしい発芽を迎えると一同よろこびの声を上げ、数か月後、純白の花が咲くと心が和んだ。(写真は、谷戸公民館前で陽射を浴びるムラサキ)

 

 梅雨入りの時期、地方によっては豪雨、雷雨に見舞われ災害が多発している。そんな中、墨絵のような富士山が久し振りに現れた。長梅雨も予想されていて、富士山とは暫くお別れかもしれない。残念至極!

 5月に入って、緑の葉と対照的な白い沢山の花(総苞片)が咲いた。「友情」の花言葉を持つ「山法師」。牡丹や薔薇のように鮮やかな、深みのある色とは異なるが、スッキリした白がこの時期、目をひく。

80年代、クールな衝撃 by 杉山尚次

 『1973年のピンボール』(以下『ピンボール』)は、『風の歌を聴け』(以下『風の歌』)に続く村上春樹の2作目の作品、1980年に刊行されている。前年の『風の歌』はデビュー作でもあり、間違いなく村上春樹の代表作として言及されることが多いが、『ピンボール』はそれに比べると少しばかり影が薄い。村上と同じころデビューしたサザンオールスターズ(78年デビュー)でいうと、「いとしのエリー」(79年)に対する「思い過ごしも恋のうち」(79年)みたいな位置づけといったらいいだろうか。どちらも衝撃作のあとの次作で、佳作なのに代表作にはなれない。どういうわけか私は、そういう作品をひいきにしてしまう性癖がある。

 西武池袋線のひばりヶ丘駅近くの線路沿いに、赤いバラが咲いている。大型連休も残り少ない5月4日の午後、カメラをぶら下げて撮影に出掛けた。4月末から3回目。もちろんマスクに野球帽、サンダル履き。普段なら不審に見られる風体なのに、緊急事態宣言下のいまは珍しくもない。周辺の人出は普段の休みとそう変わらない。

100winds_banner01 第24回 師岡武男(評論家)

 
 

 日本の国民生活は、いま非常事態にある。コロナ禍による健康・経済不安と、デフレ絡みの経済崩壊の危機が深刻化しているためだ。政府がそれを認識しているなら、非常時対策を緊急にとらなければならない。その要になるのが、政府のカネ、つまり財政資金を大量に使うことだ。

 今年もまたモッコウバラの季節が巡ってきた。昨年と同じく緊急事態宣言が発動された春の大型連休。多摩湖自転車歩行者道を五日市街道の起点から2キロほど進んだ左側、子どもの遊具がいくつか設置されたあたりに、まっすぐに立つモッコウバラが見える。(写真は、多摩自転車歩行者道の脇にあるモッコウバラ。筆者撮影)

 都立小金井公園の藤が満開を迎えた。公園内には筆者が知る限り3ヵ所に藤棚がある。そのうちの一つ、公園西側、たてもの園広場と宿根草園の間に建つ藤棚は、藤紫色と白紫色の2本の木が棚にそって枝を伸ばしている。ふくよかな花房がこぼれんばかりに垂れ下がり風に揺れていた。(写真は、見頃を迎えた藤紫色と白紫色の藤=筆者撮影)

杉山尚次(編集者)

 もしも「ブラタモリ」がひばりが丘に来たら、という設定でこの回をスタートしようと思ったら、すでに同じ狙いの企画が「ひばりタイムス」に掲載されていた。それも3回。キーワードは「スリバチ(地形)」、つまり窪地。ひばりヶ丘駅周辺から東久留米を流れる黒目川、その支流の落合川、立野川などを経巡り、高低差のある地形とか暗渠といった特徴的なポイントを探る、研究者の解説付きの散歩イベント。タイトルは以下のとおり。どの回もきれいな写真が多数掲載されているので、ぜひ参照を。

子どもに関わるときに誰でもやさしい大人になれる by 石田裕子

 何年か前に、生協の申し込みリストで見つけた児童精神科医、佐々木正美先生の本。 子育て真っただ中の時に、『子どもへのまなざし』という本を読んでいたことを思い出した。自分の子どもたちは、もうすっかり大人になってしまったけれど、「人を信じ、自分を信じる子どもに」という副題に、目が離せなくなり、思わず申し込みをした。