『はじまりは愛着から』

「わたしの一冊」第7回 佐々木正美著『はじまりは愛着から』

投稿者: カテゴリー: 連載・特集・企画 オン 2021年4月8日

子どもに関わるときに誰でもやさしい大人になれる by 石田裕子

 何年か前に、生協の申し込みリストで見つけた児童精神科医、佐々木正美先生の本。 子育て真っただ中の時に、『子どもへのまなざし』という本を読んでいたことを思い出した。自分の子どもたちは、もうすっかり大人になってしまったけれど、「人を信じ、自分を信じる子どもに」という副題に、目が離せなくなり、思わず申し込みをした。

 

母性的にやさしい母親のもとで、子どもは社会性を身につけていく

 

 「保育園や幼稚園の先生方は、よく知っていることですが、園でのルールを守るなど、子ども社会での生活が、幼いなりに年齢相応にできている子どもたちの共通点は、朝晩送り迎えをする母親の様子が母性的にやさしいことです」
との文章を読んだときには、ハタと膝を打ちたい気分になった。一生懸命過ぎて、幼児に厳しすぎる親御さんに出会うことが多くなった今日この頃、しっかりと伝わるように愛してあげたら、あとが楽だよ、と思うのだ。

 

近所の子どもたち

明るく愛らしい近所の子どもたち

 

子育て中のママ・パパたちと音読したい

 

 本を読みすすめていくと、どんどん誰かにこの内容を話したくなる。なんとか誰かに読んでほしくなる。気にかかるママさんやパパさんがいたら、そばに張り付いて、「まずは遊びを、それから勉強を」と、耳もとでこの本を暗唱したいくらいだ。そのくらい、子育て中の親御さんに読んでほしい本である。肩のチカラを抜いて、今、目の前にいる我が子をたくさんたくさん可愛がってあげてほしい。そんな思いが突き上げてくる。

 子育て中の人たちと、みんなで1人1冊この本を持って、ただひたすらに音読をしたい。

 

一家に一冊。大切な一冊

 

 佐々木正美先生の著書は、ただの子育てハウツー本ではない。知性と経験に裏付けされたうえで、何より先生の愛情があふれて止まないメッセージが随所に詰まっている。

 

 「せっかく買ったのだから、誰かに貸してあげたら?」という心の声には、断固NOなのである。誰かに貸していくうちに行方不明になりそうで。そして、校庭開放や、子ども食堂で子どもたちに関わる中、私自身もまだこの本を読んで、初心に帰る必要があるし。

 

 本の帯に、作家の中川李枝子さんが「一家に一冊置きたい本です」との言葉を寄せているが、まさにおっしゃるとおり。子育て中だけでなく、子どもに関わるときに、誰でもやさしい大人になることができる一冊です。人を信じ、自分を信じる子どもに、すべての子どもが育ちますように。

 

【書籍情報】
書名: はじまりは愛着から
著者: 佐々木正美
出版社: 福音館書店
発行年:2017年

 

石田裕子
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「わたしの一冊」第7回 佐々木正美著『はじまりは愛着から』」への2件のフィードバック

  1. 1

    自閉症の長男が子供のころからお世話になったのが正美先生。リーマン時代には先生を無償で担いで「自閉症講演会」を連続開催し、その甲斐あって神奈川県域自閉症児者親の会が誕生しました。されど先生最晩年における「あなたもわたしも自閉症」的なレッテル張りには閉口しました。

  2. 石田裕子
    2

    佐々木様 コメントありがとうございました。正美先生のことを良く知る方に、私の拙い文章を読んでいただき、感謝いたします。子育て中のママには、図書館で予約した本を今読んでいます、と言ってもらいました。また子育てが終わった友人は、以前購入した「子どもへのまなざし」をまだ持っています、と言われました。

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