市民団体の機関紙を配架制限 西東京市公民館が選挙期間中

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2016年10月13日

 

選挙期間中の政治活動はできない
(大橋一浩西東京市公民館館長インタビュー)

 

柳沢公民館の配架棚には、いまは「憲法かわら版」が置かれている(2016年10月7日撮影)

柳沢公民館の配架棚にいまは、「憲法かわら版」が配架されている(2016年10月7日撮影)

 

-まず事実関係を確かめたいと思います。「SAVE ザ 9条・SAVE ザ 憲法 西東京市民の会」の方が機関紙「憲法かわら版」第34号を柳沢公民館に持参したのが7月1日でしたか。

大橋一浩館長 そうです。配架してほしいとのことなので、「内容を確認させていただいてから」ということで預かりました。内容を見て、その日のうちに連絡しました。

 

-随分早く決断したと感じますが。

大橋 選挙管理委員会に対して、こういう内容の機関紙の配架は公職選挙法に照らしてどう判断されるかと問い合わせ、「公選法に抵触する可能性がある」との意見をいただいたので、選挙期間中は配架できないと判断しました。

 

-これまで公民館で、選挙期間中に配架を制限したことはありますか。

大橋 いろんな団体の方々が機関紙やチラシを作って持って来ますが、今回のような内容の文書はなかったと聞いています。今回はあまりにも直接的な表現があったので、ご遠慮願いたいとお伝えしました。

 

-選挙がないときに配架制限した例はありますか。

大橋 それはありません。

 

-教育委員会には報告していますか。

大橋 機関紙を持参された7月1日は金曜日でしたので、教育委員会と調整したのは週明けです。

 

-では具体的に、公職選挙法のどこに抵触するのでしょう。

大橋 公職選挙法(第201条の6)では、政治活動を行う団体は選挙期間、街頭演説会やポスターの掲示のほか、ビラの頒布などの政治活動は出来ないことになっています。
 東京都選挙管理委員会のホームページに「政治活動と選挙運動はどのように違いますか」という「Q&A」があり、そのなかでこう書いています。

 「政治活動とは、『政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補を支持し、若しくは反対することを目的として行う直接間接の一切の行為』を指しています」

 今回の「憲法かわら版」には、「安保法制の廃止と集団自衛権の行使容認の閣議決定の撤回、安倍政権の打倒、国政選挙で与党その他の補完勢力を少数に追い込む」など、特定の政党に対する批判が載っています。西東京市の選挙管理委員会もここの部分は、「西東京市民の会」のみなさんの政治活動に当たると理解されてしまう可能性があるので、期間中は遠慮願った方がいいのではないか、とのことでした。

 

-参議院選挙は6月22日公示なので、7月1日は選挙期間中です。いつまで配架制限したのでしょう。

大橋 選挙が終わる10日まで。翌11日から配架しました。でもすぐに14日から東京都知事選挙になったので、また引き揚げました。選挙が終わった8月1日から元に戻しました。

 

-西東京市以外の公民館で、今回の選挙中に機関紙やビラなどが制限された例を聞いていますか。

大橋 多摩地域で何市かであったと聞いていますが、確認していません。

 

-選挙関連の問題を、公民館が判断する根拠はどこにありますか。

大橋館長 公職選挙法201条の13項で、政党その他の政治活動を行う団体は選挙期間中、「政治活動のため次の各号に掲げる行為をすることができない」として、「国又は地方公共団体が所有し又は管理する建物において文書図画の頒布をすること」を挙げています。

 

-「市民の会」は、前回の衆議院選挙や市長選挙のときも同じように機関紙を作って公民館に置いてもらったと言ってます。特に市長選のときは候補者アンケートを載せたりしたそうです。

大橋 そのときの具体的な内容を知らないのでなんとも言えませんが、取り上げるのがあくまでも政策論争なら、それは政治学習の一つになりますから、おそらく政治活動に当たらないだろうと思います。

 

-東京都選管のホームページに載っていた「Q&A」は、タイトルが「政治団体の手引き」という分厚い文書の一部で、政治団体の設立や届け出の手続きなどが解説されていました。「市民の会」は自分たちは「市民団体」であって、「政党」や「政治団体」ではないと言っています。

大橋 ただその文書の中では、政治活動が定義され、選挙期間中は出来ないことが定められています。そこが大事なところではないでしょうか。

 

-「市民の会」の話を聞くと、社会教育施設としての公民館が率先して、市民活動や表現の自由を制限するような措置は止めてほしいと強く思っているようです。その点はどうでしょう。

大橋 選挙期間でなければ、一般的な政治学習はまったく問題ありません。おおいに進めてもらっていいわけです。ただ選挙に関しては、公職選挙法や社会教育法で「してはならない」と定められたことがあり、それは遠慮していただきたいのです。政治活動と政治学習は微妙に似ている部分もありますが、そこは十分に議論していただいて、政治学習活動を展開していただきたいと思います。
(聞き手:北嶋孝)

(注)社会教育法第23条(公民館の運営方針)
公民館は、次の行為を行つてはならない。
一  もつぱら営利を目的として事業を行い、特定の営利事務に公民館の名称を利用させその他営利事業を援助すること。
二  特定の政党の利害に関する事業を行い、又は公私の選挙に関し、特定の候補者を支持すること。
2  市町村の設置する公民館は、特定の宗教を支持し、又は特定の教派、宗派若しくは教団を支援してはならない。

 

北嶋孝
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