街を歩いて防災マップづくり 保谷駅前公民館主催「防災講座」

投稿者: カテゴリー: 環境・災害 オン 2018年3月23日

ひがし保育園前で説明を受ける参加者、右側の建物は武道場

 東日本大震災をきっかけに、防災意識を高めようと各地で防災イベントが実施されるようになりました。保谷駅前公民館主催の「防災講座」もその一つ。3月10日に開かれた第3回「防災マップづくりのための街歩き」に参加した荻本博樹さんの報告です。(「ひばりタイムス主催「市民ライターになる講座」の課題作)(編集部)。

 保谷駅前公民館の防災講座は毎年1回開催され、20名近くが受講している。今回の講座は2月17日から3月24日まで全5回の構成だった。第1回はゲームを通して防災を、第2回は西東京市の防災計画を学ぶ。第3・4回は保谷駅周辺を歩いて防災マップをつくり、最終回の第5回は医療機器AEDの使用や火事などの緊急時の通報訓練だった。

 3月10日の第3回「防災マップづくりのための街歩き」に参加したのは個人とグループ併せて計10人。外国人は2人だった。5人ずつの2グループに分かれて保谷駅前を出発し、「かえで通りルート」と「ひがし保育園ルート」を進み、スポーツセンターが終着点になる。各グループに防災専門家2人が同行し、案内・説明役になった。

 

街歩きに使用した保谷駅南側のハザードマップ(クリックで拡大)

 

 午後2時過ぎ出発。当日は晴れの「街歩き日和」になった。私が参加したグループは、ひがし保育園ルートだった。保谷駅前公民館から西武池袋線に沿って西に進み、武道場を南下する。さらに文理台公園・明保中学校を経由し、スポーツセンターに到着する行程だ。街歩き中に見つけた電線、マンホール、ブロック塀などの危険になる箇所、AED、消火器、消火栓、防火水槽とそれらの設置標識、震災井戸、避難場所などを1つ1つチェックして写真に収めていく。防災マップに落とし込んでいくためだ。

 駅前から南に、かえで通りがある。同行した防災専門家によると、通りを下った付近は白子川の流路で、地下水の通り道がある。このため大雨になると水が集まり、一帯は浸水する場合があると説明があった。この通りは地震対策で電柱が埋設されて見通しがよい。

 

駅前から見たかえで通り、電線が埋設して空がスッキリ見える

 

 福祉避難施設に指定されている「ひがし保育園」前に来た。福祉避難施設は、一般の避難所では生活が困難な障害者や高齢者、妊産婦や乳幼児、病弱などの人が対象となる。施設は耐震、耐火などの安全性を高めるとともに、手すりやスロープなどのバリアフリー化が図られている。西東京市は29カ所を指定している。

 市内に6カ所ある広域避難場所の一つ「文理台公園」に来た。大きな桜の木があり、同行の参加者は「花見の季節には賑わう」などと話していた。公園には防災行政無線や公衆電話ボックスが設置されている。

 

文理台公園の防災行政無線

 

 公園近くの民家に震災用井戸があった。市と井戸の所有者との間で協定が結ばれ、震災時に水道水の補給が困難になった場合、市民に生活用水を提供する。市内に震災用井戸は200カ所ほどある。

 文理台公園の南隣に「明保中学校」がある。ここは「一時的に集合して様子を見る」避難場所であり、「一時的に受け入れ、保護する」避難施設でもある。体育館の一部は避難所備蓄倉庫に利用されている。

 市の危機管理室担当者の説明によると、西東京市の小中学校の多くに避難施設倉庫が設置されているが、明保中にある倉庫は最も大きい。避難者が生活するのに必要な食料品、毛布などのほか、避難運営や救助に必要な用品や工具類がある。東日本大震災の経験を参考にしているという。収容量には限界があるので、基本は家庭での備蓄とのことだった。

 

明保中学校にある備蓄倉庫の内部

 

 終点のスポーツセンターに午後4時前に着いた。次回は、街歩きの経験と成果を基に防災マップを作成することを確認し、解散した。

 「普段何気なく見過ごしていたことを発見できた、何のためにあるか分からなかったものが理解できた」「市が防災に努力していることが分かった」など、今回のまち歩きは参加者に好評だった。公民館の片桐優子さんは「防災の視点から住み慣れた地域を見直す機会になった」と街歩きの効果を評価している。

 街には多くの危険が散在している。災害が発生したら、どう避難したらよいか混乱するかもしれない。だから実際に歩いて体験したことは有益だった。防災の手立てが工夫されていることも知ることができた。若者や家族連れにも防災講座への参加が広がっていけばよいと思うが、5週連続の参加はなかなか難しいかもしれない。
(荻本博樹)

 

【筆者略歴】
荻本博樹(おぎもと・ひろき)
 兵庫県で育ち、大学卒業後東京へ。昨年7月練馬区富士見台より西東京市ひばりが丘に転居。情報システム開発会社、住宅メーカーを経て定年退職。現在、団体職員。中小企業の事業承継を支援する活動を始めたところ。

 

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