西東京市議選は25歳14.84%、20代は17.42% 全体投票率36.84%は東京26市の最下位

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2019年4月25日

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 昨2018年末に実施された西東京市議会議員選挙の詳細記録をまとめた冊子が3月に発行され、市の情報公開コーナーや各市立図書館で4月から公開されている。それによると、年齢別投票率は25歳が14.84%で最低、年代別でも20代が最も低く17.42%だった。全体の投票率36.84%は西東京市の市議選で過去最低。この4月の統一地方選挙の結果、東京26市の市議選でも最下位となった。

 

年齢別高低差は43.60ポイントも

 

 西東京市選挙管理委員会が発行した「選挙の記録(19)」によると、年齢別投票率は25歳が14.84%で最低、最高は77歳の58.44%となり、その差は43.60ポイントもあった。年代別では20代が最も低く17.42%、70歳以上が51.06%となり、33.64ポイントの差だった。高齢者が高いと言うより、若年層の低投票率が際立っている。18歳、19歳の10代は28.82%、30代は25.22%。40代も32.68%と全体の投票率36.84%を下回り、しかも3分の1を割る。関心が極めて低い現状が浮き彫りになった。

 

 

 これまでの市議選も、2013年2月の補欠選挙の36.91%を除けば、4回とも40%台を記録した。ところが2018年12月の5回目は補選にも届かなかった。他市の状況と比べると、低い投票率がさらに際立ってくる。

 

ダントツ低い西東京市

 

 今回の統一地方選で都内26市のうち、20市の市議選が実施された。各市選挙管理委員会の投票結果を調べると、すべての市議選投票率は40%を超え、単純平均は47.06%だった。市長選と抱き合わせ実施の清瀬市は52.46%とトップ。同じく市長選と同時の稲城市50.90%、三鷹市48.61%、東大和市48.09%などと続く。市議選単独でも40%台を超え、隣接の東久留米市は44.70%、小平市44.20%などとなっている。

 統一地方選の市議選は投票率が高くなる傾向がある。西東京市は、統一地方選とは別の単独選挙だった。西東京市と同じケースはどうか。

 2017年6月のあきる野市議選の投票率は52.26%、2018年2月の町田市42.35%、日野市41.64%と続き、同年6月の立川市は43.54%だった。2017年3月の小金井市議選は39.54%となり、40%にわずかに届かなかった。それでも36.84%の西東京市議選投票率より2.7ポイント高かった。

 統一地方選の結果、東京26市の市議会議員選の投票率は40%台を確保した。しかし逆に言うと、有権者の過半数が棄権したまま議員が選出されたことになる。家族、地域、職場などで構成員の半数以上が欠席した会合は、きちんと成立したとみなされにくいのではないだろうか。無投票当選や立候補者不足、少ない女性候補問題とともに、投票率半数割れの続く低投票率の現状がもっと深刻に議論されていいのかもしれない。

 

国政、都政の関心高い

 

 西東京市のあらゆる選挙が低投票率かというと、そんなことはない。直近の国政、都政選挙は平均的な水準をむしろ上回っている。東京都選挙管理委員会のデータも参照しながら見てみよう。

 

 2017年10月の衆議院議員選挙(東京都第19区)の投票率は54.75%(東京都53.64%、26市54.92%)、2016年7月の参議院(東京都選出)議員選挙は60.06%(東京都57.50%、26市58.58%)。どちらの国政選挙も東京都全体や26市平均の投票率と比べても遜色ないどころか、参院選は26市平均を超えている。

 小池知事が誕生した2016年7月の東京都知事選は61.77%(東京都59.73%、26市60.58%)も26市を上回り、桐山ひとみ、石毛茂の両氏が当選した2017年7月の東京都議選は49.18%(東京都51.28%、26市51.54%)となり、やや低いだけ。西東京市民は政治的関心が低いわけではない。

 ところが2017年2月の西東京市長選挙は32.90%、2018年12月の市議選が36.84%と落ち込んでしまった(市長選の分析は>>別稿「西東京市長選投票率の余滴 当日有権者の3分の2余りが棄権」参照)。

 もう一度繰り返す。西東京市議選の投票率は36.84%。見逃してならないのは、63.16%の市民が棄権した事実なのだ。

 

4分の1が期日前投票

 

 西東京市議選の期日前投票・不在者投票は告示の翌日12月17日から投票前日の22日までの6日間実施された。このうち期日前投票は1万5234人。総投票者6万1,138人の24.92%、ほぼ4分の1を占めた。前回2016年の1万2,665人より2,569人増えた。

 選管は手をこまねいているわけではない。現在保谷庁舎と田無庁舎の2カ所で実施している期日前投票を、7月予定の参院選に向けてひばりが丘図書館でも3日間、試行実施すると発表、手を打った。しかし選管の対策だけで十分と見る人は少ないのではないだろうか。

 

期日前投票所になるひばりが丘図書館

 

 投票率を左右する要素は複雑に絡み合っている。当日の天候から始まって、選挙の争点や課題、立候補者の数や倍率、知名度や政策、日ごろの市政と議会活動、選挙啓発対策のほか、地方自治体の予算を含む実質的な権限など地方自治の仕組みと制度の問題…。なかでも市政や市議会のあり方や市民の実質的な市政参加と協働、市政に関心を高める行政手法、開かれた議会活動が課題だと従来から指摘されてきた。

 統一地方選の投票率は1946年(昭和26年)の第2回をピークに、首長選も議員選も低落の一途を辿ってきた。総務省のデータを見る限り、低投票率が個別自治体だけの問題とは思えない。

 

 

 最近は若年層の投票率向上が学会の関心を呼んだ。日本学術会議の第一部政治学委員会政治過程分科会が各大学の研究者を集め、公開シンポジウムを開くなどして若者の投票率向上に取り組み、2017年2月に報告をまとめている。結論は「アプローチがなければ若者は投票に行かない」。そのなかで、模擬投票などの方策を提起している。

 

ひばりが丘北児童センターの投票所(西東京市ひばりが丘北1丁目)

 

 選挙だから当落が焦点になり、政党会派の多数、少数が取り上げられる。政治の現実から言って無理もないけれど、選挙の結果はそれだけではない。陰に隠れた課題は、数字が剥き出しにしている。どう取り組むのか。妙案をひねり出すのか、日常の活動に目を向けるのか。そんなあれこれが多くの住民、団体、行政、議会に問いかけられているように思えてならない。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・過去の選挙の結果(西東京市Web
・統一地方選挙として執行される区市町村の選挙一覧(行政順)(東京都選挙管理委員会
・第19回統一地方選挙(総務省
・「若年層の投票率を向上させるための方策」(日本学術会議第一部政治学委員会政治過程分科会、平成29年2月28日、PDF:1.8MB

 

北嶋孝
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西東京市議選は25歳14.84%、20代は17.42% 全体投票率36.84%は東京26市の最下位」への2件のフィードバック

  1. 1

    統一地方選の投票率の推移を表した総務省のグラフを掲載しました。関連する説明も加えました。(北嶋孝)

  2. 瀧島喜重
    2

    やはり、そういうことでしたね!
    貴重な記事、ありがとうございました。

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