下宿地区会館で「ささやかなクリスマスのつどい」 コロナ禍の日常に遊びをつくる努力

投稿者: カテゴリー: 新型コロナウイルス オン 2020年12月8日

出来上がったペン立てを手に嬉しそうな参加者

 西東京市南町5丁目の下宿地区会館で11月末、「ささやかなクリスマスのつどい」が開かれました。新型コロナウイルス対策に万全を期しながら、「日常に遊びをつくる」地域の試みです。下宿地区会館管理運営協議会代表であり、ひばりタイムスの「まち思い帖」を連載している富沢このみさんの報告です。(編集部)

 

 12月に入り、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい始めた。テレビでは連日、新たな感染者が急増するグラフの映像が流れ、危機感をあおっている。これまでは、都心の繁華街での感染という認識だったが、身近な人々にも感染者や濃厚接触者が出るなど、日常生活にもヒタヒタと感染が押し寄せていると肌で感じる毎日だ。

 

 一方で、「ひきこもりがちな方が増えていて心配だ」「住んでいる近くで楽しみがあったら良いのに」などの声も聞かれる。新型コロナとの闘いは長期戦だ。「新しい日常」に対応しながらも、息抜きや楽しみがなくなると、人間は、参ってしまうのも確かだ。

 

 そこで、下宿地区会館では、思い切って、感染症対策に万全を期しつつ、11月29日(日)に「ささやかなクリスマスのつどい」を開催した。主催者としては、終了するまで内心ハラハラしていたが、結果は、やはり実施してよかったというのが感想だ。それは、参加して下さった方々の笑顔に触れられたからだ。

 

 下宿地区会館では、例年7月に「七夕のつどい」を実施しており、子供たちが願い事を書いた笹飾りをするほか、1階ホールでは、利用サークルの音楽や踊りの披露、輪投げやペットボトルボーリングのゲームを楽しみ、2階和室では、紙紐によるてづくりを行っており、高齢者、子供、親子が大勢押し寄せる。

 

願い事を書いたオーナメントをここに貼ってもらいたいと注文

 

 しかし、7月のイベントは流れ、11月に小規模なイベントの実施となった。
 1階ホールでは、壁に大きなツリーを貼っておき、子供たちに、5種類のオーナメント(星、長靴、雪だるまなどの形をした飾り付け)から1つ選んで願い事を書いてもらい、ツリーに取り付ける。そのあと、サイコロを振って出た目の番号のお菓子を貰うというささやかな催し(ツリーの広場)とした。2階和室では、例年と同じ紙紐によるペン立てづくりを、大人のみの予約制、人数を限って2回実施した(てづくりの広場)。

 

 飾りには「サッカーが上手くなりますように」「お金が欲しい」「100点が取れますように」「コロナが収まりますように」などなど…さまざまな願い事が書かれている。参加してくれたお子さん達は、ささやかな催しながら、楽しそうにしていた。子供たちは、飾り付けをツリーに貼ってくれたボランティアさんに「このような遊べることがもっとあったら良いのに」と囁いていたそうだ。

 

 実施にあたっては、市役所から予めイベント用のチェックシートを渡され、新型コロナウイルス感染症対策には、万全を期した。マスク着用、入口での検温、手指の消毒、名簿作成などはもちろんのこと、特に、1階では、子供たちの動線を考え1m間隔になるよう床に足跡をマーキングしたほか、入口と出口を別にし、出口では、「イベント後に体調が悪くなった場合に連絡をくれるように」などと書いた紙を親御さんに渡してもらうように配慮した。また、願い事を書くペンや、サイコロは、その都度、除菌タオルで消毒した。2階で講師やその補助をする人たちは、マスクに加え、フェースガードも着用した。

 

完成したツリー(当日参加者に加え、書道教室など利用サークルの子供たちにも追加してもらった)

 

 ポスターやチラシ配布などの告知を少なめにしたこともあり、参加者64人、うちスタッフやボランティア16人を除き、来場者は48人に留まった(子供23人つきそい10人/てづくり参加者15人)。銘打ったとおり「ささやか」なイベントとなったが、終了してからの感染者の報告は今のところ無く、胸をなでおろしている。

 

 新型コロナウイルス感染症は、実際怖い。特に高齢者たちにとっては、命取りになりかねない。そうかといって、息抜きや楽しみを失くし、息苦しい毎日がずっと続くと精神が参ってしまう怖さもある。人間は、「ホモ・ルーデンス=遊ぶ人」である。感染症対策を怠ることは論外だが、日常に遊びをつくる努力は、続ける必要があるのではないだろうか。
 ツリーは、クリスマスまで飾られる予定だ。
(富沢このみ)

 

【関連情報】
・下宿地区会館(西東京市Web
・下宿自治会(HP

 

【筆者略歴】
 富沢このみ(とみさわ・このみ)
 1947年東京都北多摩郡田無町に生まれる。本名は「木實」。2012年より田無スマイル大学実行委員会代表。2016年より下宿自治会広報担当。2020年度より下宿地区会館管理運営協議会代表。

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