テキストと会報「友の会通信」

意外にイケる「60の手習い」 手話に挑戦

投稿者: カテゴリー: 健康・福祉 オン 2021年12月7日

「60の手習い」という言葉を真に受けたわけではありませんが、70歳に近いこの私が5月から手話を始めました。補聴器を利用するようになったのがきっかけで、年金生活入りで時間の余裕が出来たこともあります。未知の世界へのチャレンジは意外に面白く、刺激的で毎回楽しんでおります。地元の同年代の方々との交流も生まれ、余生の過ごし方として案外イケるかもしれません。極度の記憶力の低下に抗う老後ライフを皆さまにご紹介致しましょう。(写真は、テキストと会報「友の会通信」)

 

地元の学習会に参加

 

挑戦する気になったのは、難聴の進行を予想したためです。補聴器購入前、関連の書籍に目を通したら「地域には難聴者の団体があり、出入りすると良い情報が得られる」「是非参加を」との著者の助言に納得したこともあります。実際、会の仲間から手話学習の勘所などを思いがけなく教えていただき、外見から難聴には見えない学友が実は“同志”だと知って勇気づけられたこともあります。

出入りしているのは、地元の「江東区中途失聴・難聴者友の会」。学習会は初級と中級以上に分かれ、中身はいずれも先生から指導を受ける手話学習会と自主交流会で構成され、初級に所属しております。中級以上は20人程度。

 

学習風景

学習風景

 

学習会は第1週、交流会は第3週のいずれも木曜日に区役所の障害者福祉センターで開かれます。小学校の教室程度の広さで先生を上座に10人がコの字型に並べたテーブルに座り、講義を受けます。月の会費は500円玉でおつりが来る程度です。

今回の寄稿は、かつての職場のデスク、北嶋編集長がニュースサイトを開設されていることを知り、挨拶状で手話学習会に参加していることをお知らせしたところ、手記の執筆要請をいただきました。拠点は異なりますが、後輩の地域活動への参加や幼い頃に武蔵野に住んでいたことなどに興味と親近感を持っていただいたのではと忖度しております。

 

50代~70代、男1人女性8人

 

聴講者の正確な年齢は分かりませんが、50代から70代。私を除く9人は全員女性。テキストは東京都中途失聴・難聴者協会の発行する『豊かなコミュニケーション 新々改訂版』。午後2時前にスタート、途中の10分の休憩を挟み、同4時前に終了します。

段取りは総選挙や季節の変化など最近の出来事を手話でどう表すかの先生の解説で始まり、一段落するとテキストに沿って手話による文章の作成です。

先の総選挙直後の講義は、投票用紙を投票箱に入れる様子を右手と左手を組み合わせて表現する「投票」のほか、「選挙」「衆議院」「首相」「内閣」など政治関係の手話単語をご教授いただきました。オミクロン株が世界を揺るがしている先日は、両手で表現する「コロナ変異株」や感染者が見つかった「オランダ」「カナダ」「イギリス」などの国の手話単語の紹介でした。

2時間の大半は先生の指導の下、聴講者が手話で文章を順番に作成します。例えば、「あなたの誕生日はいつですか」は、「あなた」「誕生」「日」「いつ」の手話単語を4個並べる。「お仕事忙しそうだね」だと「あなた」「仕事」「忙しい」「感じ」「あなた」です。

上手下手は別にして、先生から「こうした方が分かり易い」などのアドバイスを聞けます。現在進行形などの表現はないようで、北京に3年住んだことのある友人に説明したら「時制のない中国語に似ているね」とのコメントがありました。

手話には「あいうえお」の50音に当たる指文字があります。利き手のこぶしを握り、親指を横へ伸ばせば「あ」。「い」は握ったこぶしのうち小指を立てます。「アンコールワットへ行った」などの表現でカタカナの地名を表す時に使います。学習では必須事項なのですが、記憶力の減退している私は半年経過した今なお完全にマスターできておらず、指文字が必要な文章が出てくるとドキドキ、オロオロするばかり。困ったものです。

 

指文字

 

醍醐味は交流

 

会の醍醐味は聴講者同士の交流です。学習中のやり取りの中で人柄に触れ、人生の機微などを感じます。手話単語の「区役所」を使った課題に「私は保育士として区役所に定年まで勤めました」との回答がありました。歌のとても上手い方で、保育園でお子さんの世話をしていたからなんだろうなあ、と妙に納得しました。「凄いですね」と声を掛けたら、「カラオケよ」「今度一緒に行きましょう」と誘われました。

「耳鳴り」では、「耳鳴りが酷くて鼓膜を手術したら失敗してまったく聞こえなくなった」が回答で、失聴をまったく感じさせない元気一杯の方なのでとても驚きました。「点滴」だと「人工内耳の手術の時に初めて点滴をした」。自主学習の4週目は先生の代わりを聴講者が輪番で務めての2時間です。

編集を会員が務める詩、エッセーなどの掲載された2カ月に1回の会報「友の会通信」も発行されており、一種、同人誌の雰囲気があります。私も「入会の挨拶」などを書きました。

 

年末はクリスマス会も

 

オミクロン株の動向によりますが、12月下旬には会員待望のクリスマス会が予定されています。「きよしこの夜」「赤鼻のトナカイ」などの歌詞を全員が指文字で表して合唱する余興があり、マスターしていない私は一体どうなるか戦々恐々、とても心配です。もっとも、中級以上との合同イベントなので、新しいメンバーとの交流が楽しみです。春には花見の会もあるとか。

先日、分厚い手話辞典を購入しました。来年は英語で言えばリスニング、相手の手話の読み取りに力を入れる積りです。上手になったら、手話通訳士への道が開ける厚生労働省主催の手話通訳技能認定試験へのチャレンジがあります。目標ができるのでこれを受験するのも面白いかなと考えている最近です。
(古賀純一郎 江東区在住)(写真は筆者提供)

 

【筆者略歴】
古賀純一郎(こが・じゅんいちろう)
1953年埼玉県生まれ、清瀬市内に幼い頃在住。大学時代は上石神井、東長崎に住み、東伏見、江古田で家庭教師のバイト。大手マスコミ記者を経て大学教員へ転身。現在、著述業。著書に、『経団連』(新潮選書)、『政治献金』(岩波新書)、『アイダ・ターベル-ロックフェラー帝国を倒した女性ジャーナリスト』(旬報社、近く韓国で出版)、『すべてを疑え!-フェイクニュース時代を生き抜く技術』(旬報社)など多数。

 

【関連情報】
・令和元年度 ミニ手話講座を開催しました!(西東京市
・聴覚障害者へのサービス(西東京市

 

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