「入学準備金の前倒し支給」陳情を趣旨採択 西東京市議会文教厚生委員会

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2017年6月11日

 「小中学校の入学時の準備金を、入学前に支給してほしい」との陳情が、6月9日の西東京市議会の文教厚生委員会(浜中義豊のりかた委員長)で審議され、全員の賛成で趣旨採択された。しかしシステム改修など予算措置を伴うため、今年度中に前倒し支給されるかどうかは決まっていない。

 文部科学省が今年3月、補助金交付要綱を改正し、経済状態が厳しい児童生徒を対象に、これまで入学後だった準備金支給を、今年度から入学前でも国の補助対象とした。今回の「就学援助制度の入学準備に間に合う前倒し支給を求める」陳情はこの改正を受け、新日本婦人の会西東京支部長加藤素子さんらが提出。「入学時には制服や体操着代に数万円もかかり、7月支給の新入学準備金では間に合わない」と訴えた。

 意見を求められた市教育委員会の早川礼成教育企画課は、就学援助前倒し支給の課題として(1)実施初年度に次年度の前倒し経費が重なり一時的に財政負担が生じる(2)在校生や未就学児の保護者への周知(3)システム改修(4)認定基準の設定-などがあると述べた。

 特にシステム改修は240万円程度が見込まれ、事前のテストを行う必要があるため実施までに時間がかかる、などと説明。前倒しの諸経費は試算によると小学生600万円、中学生750万円の計1350万円程度が必要と話した。

 入学準備金が必要なのは2月か3月。この時期に支給するには補正予算を組み、システム改修を終え、支給対象や基準を整備していなければならない。早川課長は「準備金を支給したあと転出するケースへの対応をどうするかなど検討課題がある。速やかに、丁寧に、(対象者を)もれなく制度設計していきたい」と述べたが、実施時期には触れなかった。

 他市の事例について早川課長は「多摩26市中、2市が28年度から実施し、29年度から実施予定が10市程度、それ以外は検討中とのことだった」と説明した。

 各会派とも前倒し支給には異議がなかった。しかし陳情のなかで「新たな予算措置を必要としない制度改善」「すぐにでも実現可能」などの箇所が「事実誤認ではないか」との指摘があった。小林達哉たつや氏(自民)が「趣旨採択にしてはどうか」と提案。各会派が話し合った結果、「願意に添って努力されたい」との意見を付して趣旨採択となった。

 趣旨採択は、請願や陳情を審査して「願意は妥当であるが、実現性の面で確信が持てない場合」(「地方議会運営事典」)に採用されるケースが多い。

 入学準備金の前倒し支給問題はこれまでも議会で取り上げられ、大竹あつ子氏(共産)や後藤優子氏(生活者ネット)らが質問、要望していた。
(北嶋孝)

 

 

【関連リンク】
・平成29年度要保護児童生徒援助費補助金について(通知)(文部科学省、PDF
・就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)(文部科学省

 

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「入学準備金の前倒し支給」陳情を趣旨採択 西東京市議会文教厚生委員会」への1件のフィードバック

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    追記:リードが長くて頭でっかちだった部分を刈り込み、語句修正もしました(6月12日)(北嶋)

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