柳沢など南部地域で住民説明会 市民らと移動支援を探る勉強会も

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙暮らし オン 2018年2月1日

初日29日の参加者は24人。熱心な質疑が続いた(柳沢中学校視聴覚室)

 西東京市の柳沢、南町、向台町などの南部地域で実施された「外出の際の移動手段についてのアンケート調査」集計結果の住民説明会が1月29日と30日、柳沢中学校視聴覚室で開かれた。市は併せて、今後の移動支援のあり方を検討する勉強会の開催を提起し、参加市民メンバーの募集を始めた。説明会は2月6日も開かれる。

 この調査は昨年7月から8月にかけて、公共交通空白地域・不便地域とされる柳沢2~5丁目、南町2丁目、向台町1丁目地域で実施された。主に自治会を通じて用紙を配布し、自治会のない地区は個別に配布した計2065世帯のうち、回答は617件、回収率は29.9%だった。このうち自治会を通して配布した850世帯の回収数は435件となり、回収率は51.2%と高かった。アンケートは「世帯で最も困っている人の回答と意見を」と明記し、リアルなニーズを探った。

 市の交通計画(2014年)によると、公共交通空白地域は「公共交通が利用できない」と判断する地域で、バス停から 300m圏外、駅から 1km 圏外。「不便地域」は公共交通が「利用しづらい」と判断する地域で、鉄道駅、バス停からともに 300m圏外の地域を指している。

 回答のうち65歳以上がいる世帯は68.0%。世帯構成別では2人世帯が41.8%と最も多く、そのなかで65歳以上がいる割合は77.3%に上った。

 主な移動手段を三つまで回答してもらうと、徒歩61.2%、自転車57.7%、路線バス40.1%、自家用車・バイク28.1%の順だった。車の免許を持っているのは46.7%、自家用車があるのは43.7%だが、自転車は70.9%と高率。バイクは6.6%にとどまった。

 外出の際に困ることが「ある」との回答は53.6%と過半数を占め、60歳以上では73.9%に上った。内訳を三つまであげてもらうと、「坂道が多い」29.1%、「バス停が遠い」28.1%、「バスの本数が少ない」6.1%、「歩道が狭い、ない」が15.8%となった。

 買い物の行き先を尋ねると、田無駅周辺が最も多くて54.8%と半数を超え、吉祥寺駅周辺19.7%、自宅周辺15.8%など。頻度は週3~4回が多くて28.9%だった。

 通院では田無駅周辺37.5%、自宅周辺34.2%、西武柳沢駅周辺8.7%などとなり、集計結果は「近隣への通院が特徴」と分析している。

 説明会で配布されたのは概要版だが、市のWebサイトに掲載された集計結果の全体版(36ページ)によると、回答の「その他」欄や欄外に書かれた自由意見で「近所にお店がない」「よく利用していたコンビニが最近閉店してしまったので困っている」など移動手段だけでなく、暮らしの不便を訴える声が少なくない。このほか「本当は車を運転したくないが他に手段がない」「駐輪所で自転車の出し入れが大変になった」など、高齢の悩みが目に付いた。

 

「はなバス」第3ルート(出所:西東京市Web)

 

 交通空白地域、不便地域を解消するため、コミュニティバス「はなバス」があり、第3ルート(田無駅北口~東伏見駅)は現在、この地域の外周を走っている。アンケートで「はなバス」の利用頻度を尋ねたら「利用しない、ほぼ利用しない」が全体の73.8%を占めた。理由は「バス停までの距離が遠い」26.5%、「ほかの交通手段で足りている」24.3%、「本数が少ない、目的の時間にバスがない」22.9%などだった。

 どうしてはなバスは「遠い」のか。このあと、はなバスがこの地域内を通り抜けられない事情が説明された。

 はなバスが通るには、法令で道路幅が4.66m以上必要になる。しかしこの地域は、それより狭い道路が多かった。広い道路があっても、出入り口付近が狭くて通り抜けられない。バス事業は警察の審査が必要となり、この地域のはなバス運行が難しい、との説明だった。

 最後に「移動支援のあり方を考える勉強会」の設置と、市民委員募集の呼び掛けがあった。勉強会は2018年度末(来年3月末)まで1,2ヵ月に1回のペースで開催。この地域に住む18歳以上の市民9人を募集し、市の関係者やタクシー、バス事業者のほか、地域包括支援センターのスタッフらの参加も予定している。

 説明会には29日と30日で計33人が参加した。
 29日は「道路が狭ければ、一方通行にしたら道路幅は狭くていいから、バスが通れるようになるのではないか」との発言があった。市側は「沿道住民の同意など手続きが整えば一方通行は可能になるかもしれないが、勉強会で検討したい」と述べた。ほかの参加者からは「都内で時間帯によって一方通行にしている地区もある。事例を調べて検討してほしい」「新しい移動手段、例えばアメリカのウーバー(アプリを利用した配車サービス)などを、実験的にでも活用できないか」などの意見も出た。

 会場は柳沢中3階の視聴覚室だった。29日に参加した「80歳を超える」という男性は「3階まで上って来るのが大変だった。これからは会場を考えてほしい」と要望した。市の担当者は「寒さが厳しいので、暖房設備が整った部屋にしたが、勉強会の会場はご指摘の件も含めて検討したい」と答えた。会が終わったあと、南町から来た参加者は「本当に移動手段が必要な人は、この説明会に出席できなかったかもしれない」と話していた。

 

住民説明会に都市整備部と健康福祉部のが出席した

 

 高齢化の進む地域では特に、外出支援と生活支援は密接に結びついている。今回対象になった地域の状況が今後、市内に広がらないとも限らない。

 当日の説明会には市側から都市整備部の担当部長や都市計画課長らのほか、健康福祉部からも担当部長、関係課長らが出席していた。昨年発足した「公共交通空白地域等における移動支援のあり方検討庁内プロジェクトチーム」はさらに企画政策課、財政課、産業振興課、協働コミュニティ課なども加わえた関係部課総掛かりのシフト。「市民参加の勉強会」方式を公共交通関連分野で初めて打ち出した。

 都市計画課の松本貞雄課長は「高齢になっても健康で元気な生活が送れるようにするために、移動手段の確保は欠かせない。今後、市民の方々も交えて検討したい」と話している。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・外出の際の移動手段についてのアンケート 集計結果(全体版、PDF:2,276KB)(西東京市Web
・同(概要版、PDF:223KB)(西東京市Web
・移動支援のあり方を考える勉強会市民委員を募集します(西東京市Web
・はなバスが通行可能な車道の幅員について(当日配付資料、PDF:256KB

 

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