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希少種の鳥を襲う野生ネコ対策「小笠原ネコプロジェクト」

By in みどり-環境 on 2018年10月10日

説明する東京都獣医師会理事の中川清志さん

 西東京市獣医師会は10月2日、講演会「希少種を守る地域協働の取組 小笠原ネコプロジェクト」を同市のコール田無で開いた。小笠原諸島では土着の希少な鳥が、野生化したネコに捕食され絶滅の危機にさらされている。この対策の一つとして、環境省や東京都獣医師会、小笠原村などが連携して、本土で小笠原の野良ネコの里親を募る事業を実施している。講演会では約30人の来場者が、ネコと鳥両方を生かす取り組みに関心を寄せていた。

 小笠原諸島は、東京都心から約1000km南に点在する約30の島々で構成されている。人が住むのは父島(約2000人)、母島(約500人)の2島だけ。亜熱帯に位置し年間の平均気温が23度程度と温暖な気候。 陸続きになったことがない海洋島で独自の進化の過程が評価され2011年、ユネスコの世界自然遺産に登録されている。

 2日当日、東京都獣医師会業務執行理事で小笠原担当の中川清志さんが同プロジェクトについて説明した。

 母島で散乱した海鳥の死骸が発見されたのは2005年。南端にはカツオドリが繁殖する有人島最後の営巣地があり、この鳥をくわえたネコが確認された。 さらに、希少なアカガシラカラスバトの重要な繁殖地である父島東平でも、野生化したネコが度々目撃された。

 中川さんによると、カツオドリの天敵は鷹の一種ノスリだけで、地上では警戒心が薄いためネコに襲われやすい、という。

 現地ではネコの捕獲が始まり、地元行政から安楽死の方法を相談された東京都獣医師会がネコの受け入れを提案し、譲渡活動が始まった。2005年、環境省小笠原自然保護官事務所を始めとする関係機関から成る「小笠原ネコに関する連絡会議」が結成され、「人とペットと野生動物が共に暮らせる島」をめざして活動している。

 この10年間で約750頭の野良ネコが都獣医師会に搬送され、西東京市内で動物病院を営む中川さんによると、この内約200頭が同市周辺の人が飼育しているそうだ。

 一方、島内ではネコを増やさない取り組みが行われている。1998年には個体識別するマイクロチップの装着や適正な飼育などを定めた小笠原村の条例が制定された。取り組み意識醸成の一環として、2008年から、毎年都内の獣医師が小笠原に派遣診療を行い、地元の飼い主との会話の中でネコの自宅飼育などを提唱した。現在では、希少なハトを再びみることができるようになったという。

 

報告する小笠原自然文化研究所副理事長の鈴木創さん

 

 NPO法人小笠原自然文化研究所副理事長の鈴木創さんは、現場からの報告の中で、「山の希少なハトが戻ってきた嬉しい話に加え、都の獣医師会医師が約10年間毎年サポートしてくださり、ネコを飼う人の暮らしを変えられたことは、野良猫を減らす大きな成果に繋がった」と話し、「捕獲できない野生化したネコが繁殖しているのも事実。活動の正念場を迎えている」と付け加えた。
(柿本珠枝)

 

【関連リンク】
・小笠原ネコプロジェクト(HP

 

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

 

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