池沢隆史

前副市長の池沢隆史氏3万4299票で初当選 前逗子市長の平井竜一氏を1514票差で破る 西東京市長選挙

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2021年2月8日

 西東京市長選挙は2月7日に投票が行われた。即日開票の結果、立候補した無所属新人3人のうち、前副市長の池沢隆史氏(61)(自民・公明推薦)が3万4299票を獲得し、3万2785票の前逗子市長、平井竜一氏(54)(立憲・共産・生活者ネット推薦)との接戦を制して初当選した。票差は1514票だった。大手スーパー勤務の保谷美智夫氏(62)(無)は3256票。投票率は42.23%となって前回より9.33ポイント高くなった。(写真は、万歳する池沢隆史氏、右から3人目)

 

 池沢氏は当選が決まった後、事務所で支持者らを前にあいさつ。「市長選挙に勝つことが目的ではない。勝って、市民に約束したこと、市民のいのちと健康を守り、これからのまちづくりを進めていくことが、市民の貴重な1票に対する答であり、責任だと思う」と述べた。また「大変厳しい選挙だった」と振り返り、「市民の思いと考えが大きく分かれていることを受けとめ、今回の選挙戦を踏まえて一人一人の市民の声を聞き、これからのまちづくりに生かしていけるような姿勢、政治を進めていきたい」と話した。

 

池澤隆史

あいさつする池澤隆史氏

 

 池沢氏は現職の丸山浩一市長からバトンを受け継ぐとして「市政の継続と安定」をアピール。「生まれも育ちも西東京。39年間の行政経験」を強調して、逗子市から飛び込んできた平井氏との違いを明確にした。そのうえで希望者全員のワクチン接種などコロナ対策を訴えた。庁舎統合計画の見直し、国民健康保険料の据え置き、介護保険料の引き下げなども打ち出して、先行する平井氏を追いかけた。

 

 投票日の2~3日前から「逗子での失敗のリベンジは逗子でやってください。ここは西東京市です。」「西東京のまちづくりは、西東京市民の手で! 共産・左翼に市政を渡すな!!」と書いた法定ビラを各戸に配布する「非常手段」に出た。それもあって、最終盤の逆転につながったとの見方が強い。

 

 池沢氏を推薦した自民党と公明党は「これまでにない活動」(選対幹部)を展開。西東京市の議員団だけでなく、多摩地域の各市自民党議員も結集。自民党東京都連や公明党東京都本部が国会議員を動員して強力にてこ入れした。緊急事態宣言下に、国会議員が銀座のクラブを訪れるなど不祥事の影響を抑え、自公の底力を示した。

 

選挙を振り返って話す平井竜一氏(保谷町6丁目の選挙事務所)

 

 平井氏は午後11過ぎに事務所に姿を現し、報道陣に対して「まれにみる接戦だと思う。市政を変えるという思いで全力を尽くした結果なので悔いはない」と述べた。敗因はと聞かれて「時間と、もっと努力が必要だった。外部から来て、そこを乗り越えて活動するには、2カ月では時間が足りなかったかとも思う」と振り返り、「市民のみなさんも身を粉にして本気で応援してくれた。12人の市議の説得力はすばらしいもので、感謝しかない」と話した。

 

法定ビラ2号表

池沢陣営が選挙戦終盤に配布したビラ(表)(クリックで拡大)

 運動を支えてきた人たちからは、「ほんとうに残念。市民としてはありえない結果、残念だ。市民分断の(ネガティブキャンペーンの)やり方はあるべきではない」「残念だが、むだな戦いではなかった。引き続いて市政を変えていく」など今後の活動のあり方にも触れる言葉が相次いだ。

 

 平井氏は「こんなもんじゃないぞ西東京!」をスローガンに、「しがらみのない若い市長」「未来を変えよう」と、市民との対話に集中して活動を展開した。政策面ではPCR検査体制の拡充など新型コロナウイルス対策を緊急提言し、徹底した情報公開と、国民健康保険料の値上げ凍結や介護保険料の値下げを約束。待機児ゼロを掲げて保育の充実を強調。従来の庁舎統合計画も見直すとした。「市政を変えよう。しがらみのない私なら出来る」と前向きのメッセージを発し続けて、若い層にも支持を伸ばした。

 

 池沢陣営が逗子市の財政問題を折に触れ取り上げたのに対して、現職の逗子市長から「平井氏が逗子市の財政再建に手腕を発揮した」との応援メッセージを得て反論。無所属市議3人に加え、推薦した立憲・共産・生活者ネットの計12人の議員が連日市内を回り、協力と連携で平井氏を盛り立てた。しかし対立候補に批判を集中するいわゆる「ネガティブキャンペーン」の影響を少なからず受けたとみられる。

 

法定ビラ2号裏

新聞記事などを抜粋、掲載した裏面。最後に反共・反左翼スローガンが見える(クリックで拡大)

 自公の池沢陣営が展開したこのキャンペーンは今後、議員、会派間の信頼関係に少なからぬ亀裂を生み、議会運営や審議内容にも後々まで尾を引く恐れを指摘する声が少なくない。信頼関係をどう取り戻すか。新市長や陣営側議員に、特にキャンペーンに係わった議員らに問われる課題は大きくて重い。

 

 保谷氏は「全世代が暮らしやすい街!!」をスローガンに、子育て支援の充実、高齢社会に対応する医療と在宅医療の推進、地方改革の3つの柱を訴えた。支持、推薦する団体はなく、独自の方針と運動を貫いた。
(北嶋孝、川地素睿)

 

【関連情報】
・令和3年2月7日執行 西東京市長選挙 投・開票結果(西東京市Web
・池沢たかし公式サイト(HP
・平井竜一公式サイト(HP

 

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前副市長の池沢隆史氏3万4299票で初当選 前逗子市長の平井竜一氏を1514票差で破る 西東京市長選挙」への2件のフィードバック

  1. 1

    平井氏のコメントや写真などを追加。池沢陣営が終盤に配布したビラも掲載しました。(北嶋)

  2. 高嶋典子
    2

    投票2日前に配られたネガティブチラシが、池沢派の法定チラシだと思わずに、大変だと思い込んだ人は多かった様です。土曜日の演説会や、今日、チラシそのままの非難を口にする人達に会いました。池沢さん本人はどんな判断でこのチラシを配ろうとされたのか。事実確認された上での個人攻撃なのか。こんな人に市政を任せられないと本気で信じての信念なのか。
    子ども達には真似して欲しくない事だと思いました。
    今迄のイメージとも違う面をお持ちの様ですが、公平に(投票しなかった人も含めた)一人一人の声を聞く市長として頑張って戴きたいと思います。
    公平な報道有難うございます。
    ワクチン接種等の身近な事は、市のサービスで受けるので期待しております。

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