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私の自然食

「わたしの一冊」第11回 リカ・ザライ著、福井美津子訳『私の自然食』

投稿者: カテゴリー: 暮らし連載・特集・企画 オン 2021年7月29日

何を食べ、どう生きるか by 道下舞子

 

 フランスで聖書以来のベストセラーと言われる本書。著者は1960年代にパリで歌手として成功した女性だ。自動車事故で瀕死の重傷を負うが、自然療法で回復に至る。壮絶なストーリーと自然食を実践する上での具体的な方法や効能が書かれている。1980年代発行の書物にも関わらず、古びない内容となっている。知人からの勧めで読んだ本書。何を食べ、どう生きるかをあらためて考えるきっかけとなった。

 

粘土の驚異の効用

 

 冒頭、著者は自動車事故に遭い、もう二度と立てず歌えないのだろうかと絶望を抱くところから始まる。しかし闘っていないのにあきらめてはならない、きっと良くなってみせると自分に言い聞かせ、自然療法の専門家に相談。体に蓄積された毒素を取り除き、水分を出させ、体をつくる要素を全て含む「生命ある食物」を摂取すると6週間で効果が現れ、医師たちも奇跡と声をあげる。その体験をもとに著者は自然療法の効力を確信する。最終的にはステージに立ち、歌を歌い、歩けるようになるまでに至る。

 自然療法の効力もさることながら、著者の意志の強さや努力にも感動を覚える。

 中盤では、自然療法として具体的に何を摂るべきか、その効能が書かれている。症状別に摂るべき食物等が記されている。印象に残ったのは粘土の効能。動物は本能的に粘土が治療に良いことを知っており、病気や負傷をした時に粘土質の土地を探し、病んだり傷ついたりした部分を押し当てる。

 古代より粘土の驚異の効用がうたわれ、腸の炎症、火傷、皮膚の感染、胃腸病等のさまざまな病気を治しており、第一次世界大戦でも赤痢を治すのに使われた実績がある。粘土には高い吸収能力・抗毒力・免疫力があるためだ。本書を読み粘土製品を利用したが、肌に塗ると吸着効果が高く、気持ちよく感じる。人間も自然の一部だと実感できる。

 

今の自分を認める

 

 後半は筆者の過去に経験した心の問題に触れている。大成功を夢見て大規模なツアーを企画するが、多忙を極めて精神的にも追い詰められ、最後のリハーサルで失神。ツアーはキャンセルされ、精神病院に収容される。

 極度のノイローゼ状態を脱したのも自然療法による。冷水座浴(毎朝5分、冷水を張ったたらいに入り鼠蹊部まで浸る)や食事の見直しによって、治療開始から3週間で改善に向かう。大成功を願ったのも今の自分を受け入れられなかったことが原因であり、自分の欠点ではなく長所に注目し、今の自分で十分だという考えに至る。

 今の自分に満足できず大成功を夢見るのは誰にも当てはまることではないだろうか。しかし自分を壊してしまえば何事も成し遂げることはできない。そして自分の長所に光を当てることこそ状況が好転していく秘訣だと著者は言う。ない物ねだりではなく今の自分を見つめ認めていく。その先に進歩があるのではないかと考えさせられた。

 

梅ジュースと紫蘇ジュース

自家製の梅ジュースと紫蘇ジュース

 

 本書を読み、普段の生活の中にこそ病気につながりうる根本的な問題が潜んでいるということをあらためて考えさせられた。2児の母ということもあり、子供たちに何を食べさせるかは私にとって日々懸案事項。子供たちのその日の体調を見極めながら必要なものを選んでいくお医者さんのような役割が求められていると思う。本書を参考にしながら工夫を重ねたい。

 

【書籍情報】
書名:私の自然食
著者:リカ・ザライ
訳者:福井美津子訳
出版社:築地書館
発行年:1987年

 

【筆者略歴】
 道下舞子(みちした・まいこ)
 1984年生まれ。西東京市在住。

 

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