座談会「傍聴席から見た議会」 みんなの議会をもっと身近に
予算、決算特別委のネット中継を
仲村 あと本会議と常任委員会の中継や録画はありますが、予算委員会や決算委員会はありません。でも私は予算委員会や決算委員会で本当に個別具体的な質問や回答が聞けたので、それこそ中継とか録画配信をやるべきだと思いますが、いかがですか。
土井 やってほしいね。
小林 やんなきゃダメですよね。
土井 傍聴に行って、2時間も3時間も休憩になったら付き合ってられない。
小林 暫時休憩って何かと思いました(笑)。
仲村 暫時休憩をとって、その後3時から3時半まで午後休憩をしっかり入れるでしょう。会社だとあり得ない。一般常識が、議会では非常識なんでしょうか。逆かな。思うこと、いろいろありますね。
小林 予算と決算の特別委員会だと課長さんが答えますね。具体的な個別の答弁が返ってくるんだけど、本会議になっちゃうと、ずらっと並んでる男性からは、決まりきった答えしか返ってこないっていう感じです。特別委員会のやり取りで、もう少し市民がこう変わって欲しい、ここに予算が欲しいという思いを反映させた答弁が引き出せるんじゃないかなと思うんだけど、なぜかそれは中継されてない。おかしいよね。本会議になっちゃうと、もう決まってるんでしょこれっていう感じがしちゃう。特別委員会のほうがもっと見なきゃいけないし知らなきゃいけない。中継しないのっておかしいって毎回 思います。
仲村 決算特別委員会も大事ですよね。終わったことなのかもしれないけど、どういうふうに予算を使ったのか、どこまでやれたか。 なるほどと思ったこともあるし、えっと思ったこともあるし、議場に行けない人もたくさんいらっしゃると思うから、中継と録画で配信して欲しいと思います。
竹之内 そうなると、子連れにとってもハードルがなくなりますね。
土井 一度決算委員会にお子さんを2人連れたお母さんが見えて、事務局の方が親切に配慮してくれて、2時間位いましたね。お母さんは子どもが音をたてないように対応してて、良かったなーって思いました。 お子さんは2人だったか3人だったか。
竹之内 保育室ができると、いいですね。
仲村 公民館の講座で託児付きも結構あるから、だから議会はやっていいんじゃないかなあと思う。
北嶋 ぼくもその件で、保育のシステムは作れないのかと事務局に聞いてみました。 公民館の託児制度は予めスケジュールが決まっているので保育士さんを事前に依頼できる。傍聴の場合のように、当日預かりだと課題があって難しい、とのことでした。
あと、ママも子どもも居られるような場所を作ったらいいじゃないか、とも聞いてみました 。議場の後に車椅子が入れるスペースがありますが、そこを改修するにはかなりの費用がかかります。すぐ対応するには、なかなか難しい。そういう話でした。事務局だけでは動けない。議会全体の後押しが必要でしょうね。やってやれない話ではありません。前例もあるはずです。 前例がなければ、全国初ですから、議会にとってはやりがいがあるんじゃないでしょうか(笑)。
土井 課長クラスは女性がいるけど、本会議は男性部長ばかし。女性がいない。男社会ですね。
根本 予算特別委員会も決算委員会も中継が必要だと思います。聞いていても、細かくて分からないことが多い。メモをとろうと思っても追い付かない。
一同 うんうん(うなずく)。
根本 傍聴に行く前に、予習というか、誰かが本日のトピックスはこれ、ここは前回から揉めていますとか、そういうことを話してくれたらいいなあと思いますね。
竹之内 おもしろいですね。それぐらい分かりやすくなったらうれしいです。
根本 そもそも、何について話しているのか、それをキャッチするだけで大変です。 私も話は全く分からないわけではないのですけれども、だけど傍聴したことがない人に声を掛けて 行きましょうよと言って来てもらっても、なんか全く分かんなかったって言われると申し訳ない、誘ってと。そこは少し考えないと、掛け声だけになってしまう。
答弁が「つまらない」裏事情
竹之内 議員さん側には思いがあって、その言葉に抑揚がありますが、それに比べると市側の人たちはただ読んでいるような感じがあります。正直に言うとおもしろくはないです(笑)。そこへ元々関心のない人を誘うのは難しいと感じます。
根本 議員さんに思いがあって、行政側にここを聞きたいというのは伝わりますけど、それに対しての行政側の返答は多分、半分もない。都合の悪いことやそもそもの話とか、この市をどうしていきたいのかということは完全にスキップしちゃう。それで例えばこの制度の利用者は何人ですかと尋ねると、すぐに50人ですと答える。だけどもっと重要な本質を突く質問は全部とは言わなくても、多くがスキップされる。そういうことは課長クラスには答えられない。部長もしくは市長が答えるしかないんですよね。それで市長に聞いても、ぼくが知る限り喋ることはほとんどないから、通常のコミュニケーションにならないというか、ちぐはぐというか、聞いてるほうとしてはすごくストレスに感じになります。会社であんなことだったら、「話がかみあっていない」として、どやしつけるかどやされるか、どっちかですね(笑)。
北嶋 みなさんの意見が揃うところはできるだけ、私が、いやそうでもないと言って議論をかき回してみましょうか(笑)。
事実関係から言うと、現在議会で理事者席と呼ばれる、いわゆる「ひな壇」には部長級が並びます。本会議の質疑応答は、基本的には市長、教育長、ときに副市長のほか、部長クラスは補足して答弁します。本会議で課長クラスが答弁したのは記憶にないですね。
それに本会議場での質問に対する答弁は、ほとんどが、いわゆる「調整」ができているはずです。再質問まで「調整」できているケースもある。つまり、やり取りが固まってるので、最初の答弁は(答弁書を) 読み上げることになるのかもしれません。再質問からは、一問一答になったりしますね。いきなりすべてにその場で答えよ、というやり方は実務的には大変なので、都議会でも国会でもある程度事前に質問を聞き取った上で答弁します。
しかし、そういうところに僕らが行って傍聴すると、違和感だらけになってしまう。そういう事情も違和感の一因だと思っています。
ネット中継、投票率
北嶋 それからもう一つ。 予算、決算特別委員会をネット中継したらどうかという意見は議員の中にも随分あります。それ以上に、中継しないほうがいいという会派の意見が強いので実現していない。それでも運営委員会を含めて、全議会まるごとネット中継している自治体議会は少なくありません。多摩地域では、多摩市議会、小金井市議会は本会議も委員会も全部中継し、YouTube にそのまま載っています。
先に二元代表制という自治体のチェック構造に触れましたが、現実的には、市長(執行部)+市長支持会派 vs.反・非市長会派・議員という対立構造になりがちですね。
土井 小金井市議会は意外に、それががっちりしてないんじゃないですか。いろいろあるようですけど。
北嶋 ネット中継は自治体ごとにさまざまです。西東京市議会は予算特別委員会、決算特別委員会、議会運営委員会を除いて中継してますけど 、本会議しかネット中継してないところもまだあります。デジタルやネットワークがこれほど重要になってきた時代ですから、 議会をオープンにして、市民も議論できるように、ネット中継をすべての委員会に広げたほうがいいと思っています。
(注:東久留米市議会では今年(2021年)から、予算・決算特別委員会の録画映像のネット配信が始まることになった⇒)
あと情報公開と投票率ですね。特に投票率に関して言うと、都内の市長選、市議選は30% から40%がほとんどではないでしょうか。あれだけ盛り上がった2月の西東京市長選も42.2%です。前回より10ポイント上がりました。しかし5割には届かない。半分に達しないわけです。 若い20代30代の投票率はもっと低い。西東京市も例外ではなく、今回の市長選挙の20代の投票率は20%台です。あまり元気が出なくなのでこの辺にしますが、西東京市だけでなく、全国の自治体絡みの選挙は押し並べてほぼ同じ傾向です。議員に立候補する人がいない状況も出ていますよね。
ちなみに都議会議員、都知事選挙の投票率は40~50%、衆議院、参議院議員選挙は50~60%が最近の傾向です。 投票率の問題も、出来るところから少しずつ積み上げていくしかありませんね。
議員がひんぱんに出入りするわけ
土井 私たちの「みんなの会」メンバーの横井さんから意見を預かっています。いいですか。
仲村 4点ほど書かれています。答弁する職員が大変低姿勢で、これが市民から見ると一部議員さんの横柄だとすら思われる態度を助長しているのではないか、という素直な感想ですね。本会議や委員会が始まるとすぐ離席する議員がいて、終わる数分前に戻ってきて着席する。議員報酬はいくらかわかりませんけれども、報酬は税金ですよね。 議場での議員の態度についてです。
次は、三多摩の格差をしみじみ感じた、ということです。区部ではすでになされている施策が、西東京市ではそのような内容がなかなか見つからない、というようなことが書かれています。
あとは、議場の有効活用を図ってほしいという要望です。いまコロナ禍だから中止になっているのでしょうか。以前、議場コンサートを開いてました。そのほか例えば、期日前投票所にするとか生徒たちの学習の場を設けるとか、議場の有効活用をもっと図れるんじゃないかということが書かれています。
最後は、フードパントリーとか子ども食堂への支援問題です。6月までは 都の補助金で出来ていたということですが、それが打ち切られて、その後ほぼボランティアで、経済的にも苦しい中で活動してる人たちにとっては、そこで打ち切られて活動が難しくなってる団体もあるそうです。 市の政策として取り組めなかったんだろうかと書かれています。以上、追加します。
北嶋 いまのご指摘の件、ぼくが言うのもヘンですが、いくつか誤解あると思うので、知っている限り説明してみます。
まず議会が始まるとすぐ議員が離席するという件は、コロナ対応の特別措置なんです。密を避けるということで、交代で控室にいてもいいとの申し合わせでした。発言席も別に、離れたところに設けましたね。採決の時は議会事務局の職員が声をかけ、議席に戻ってもらうようにしてました。
あとフードパトリーの件で、6月で補助金打ち切られたというのはおそらく食料支援の都の補助金が3月で終わったことを指していると思います。田無駅の南口で「わいわいネット」のみなさんがフードパントリーを続けたのは、年度限りの補助金が終わっても、自力であと3カ月間は何とか頑張ろうと話し合って6月までやりきったと聞いてます。市が打ち切ったわけではなく、東京都の単年度の補助金が終わり、今年度は別形態になって、食料支援から感染防止対策が主になった、と聞きました。
皮肉ですが、あの中傷ポスターが皆さんに市政への関心を高めたのですね。
ハハマナブの候補者一人一人のインタビューは、とても衝撃でした。新しい方たちによる新しい動きがとても新鮮で好感持てました。あのインタビューを聞いて、あぁ、政治家は、ビジョンを語り、実務家は、そつないけど自分からは何もしないということなのだなぁと良く分かりました。もちろん、ビジョンを描いても、実現してくれるかどうかは、別ですが。
座談会の中にありましたように、中継でも、子連れでも、何か一つ実績を上げて、新しい風を呼び起こして下さい(^^♪ 私は、国が決めるのをこなすのに精いっぱいの地方行政には、少しうんざりしています。でも、市民や議員や行政人がこのまちをどうしたいのか、ビジョンを持ち、議論しあい、何か一歩でも進められれば、違った姿が見えてくるように思います。若い息吹に期待します。
「決算論議で足りなかったこと」の節で、北嶋発言に誤りがありました。決算特別委員会の委員長は大竹敦子議員(共産)でした。納田里織議員は9月27日開催の予算特別委員会の委員長でした。お二人を始め関係者のみなさまにご迷惑をおかけいたしました。関係箇所を削除し、お詫びします。(北嶋)