まちおもい帖 第42回 自分らしく生きるママさん起業家たち
2.やさしい整体「茊絆」を経営する藤居仁子さん
藤居仁子さん(50)は、長男は社会人、長女は高校生のシングルマザー。整体院の屋号「茊絆」は、「草が茂るように絆が広がるように・痛みのない世界が広がるように」とつけた。お嬢さんが付けてくれた漢字の「茊」は、「草がおいしげる」という意味の古い漢字。漢字変換で出てこないという問題があるものの、自分がやりたい整体院のイメージにぴったりだったのでそのまま使っている。
彼女は、高校を出てから、仕事をいろいろとしていたが、これからは手に職があった方が良いと思い、ホームヘルパー2級取得後、訪問介護の仕事についた。介護職もいろいろあり、特養・有料老人ホームなども経験した。運動主体のデイサービスで働いていた時に、介護職は運動を教える事は出来るが、要介護者の足がつった場合、足を軽く伸ばすことも出来ない。そんな悔しい思いから、自分の手で辛い人を楽に出来るようにしたいと、整体を学び、しばらく整体の会社で働いていた。
デイサービスで働いていた時に、脳を活性化させるプログラム、シナプソロジーのアドバンスインストラクターの資格をとり、シナプソロジー普及員の養成講座も行っている。将来は、整体とシナプソロジーを取り入れた健康イベントもやりたいとの夢も持つ。
実は、藤居さん自身、交通事故の後遺症で頭痛やめまいがした。医師から「一生付き合わなきゃいけない」と言われていた。自分の知っている方法では何も変わらなかったが、きっと何処かに治す方法があると探していた時に「緩消法」に出合った。初めてやってみると、めまいが起こらなくなり、次第に頭痛も出なくなっていた。
「緩消法」は、現在、生理学(筋肉)博士の坂戸孝志氏によって2007年に開発された。坂戸氏は、自身が14年間腰痛に苦しみ、寝たきりになったなかで、独自にこの方法を編み出した。指1本で筋肉を無緊張にすることができる全く新しい方法で、Youtubeに公開されている。誰でも自分で出来てしまうので、痛みを取りたいとあちこちに通っても痛みが取れないでいる通称「整体難民」も、緩消法に出会い、日常生活を取り戻している。彼女は、認定技術者を目指して勉強中だ。
現在、住宅型有料老人ホームで登録ヘルパーの仕事と、整体院「茊絆」を経営している。茊絆では、緩消法に基づいたオリジナルの手技で、寝たまま受けられる施術を行っている。痛みを消すという意味で、自らの肩書をeraserとつけた。これまでは、「リップル西東京」を拠点としていたが、12月末からは、「どんぐり」2階が拠点となる。「困った時にここに来ればいい」という場所を作りたいと言う。
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