母校の味を、食卓に 自由学園卒業生が「お食事」本を出版
東久留米市にある自由学園の女子部(中等科・高等部)は1921年(大正10年)の創立以来、生徒たちが昼食を作り、食堂で一緒に食べている。「おいしかった料理を多くの人たちに知ってもらいたい」と願う卒業生4人が協力し、『自由学園 最高の「お食事」 95年間の伝統レシピ』(新潮社)を出版した。発売間もない4月初めに増刷が決まるなど、売れ行きは上々という。
企画・執筆したのは料理家、写真家、ライター、スタイリストの卒業生4人が結成したユニット「JIYU5074Labo」。同級生が集まると、学生時代に作って食べた料理の話題で盛り上がり、本書の企画につながった。卒業生、在校生のアンケート調査などをもとに、掲載するレシピ82を選んだ。
全体は7部に分かれ、最初は「人気ベスト5+1」。好きな料理No.1 は、マッシュポテトとミートソースをオーブンで焼いた「シェパーズパイ」だった。2位は「チキンピラフのホワイトソースがけ」、3位はネーミングが凝っている「希望満充」。サクサクの皮に包まれたなかに、さつまいものあんがたっぷり入っている。1935年(昭和10年)の誕生会のとき、1つで10人分の饅頭を作ったのが始まり。三角の小旗が立っているのもほほえましい。
「学年の献立」は中等科1年から高等科3年まで、学年によって学ぶテーマに沿った料理が並ぶ。そのほか「主菜」「副菜」「ご飯・パン」「お汁・スープ」「デザート」の下に、ロールキャベツや炒り豆腐、ホワイトシチュウー、白菜の辛子じょう油がけ、筍ご飯、けんちん汁、ピーチババロアなどが紹介されている。材料や作り方に併せて載った、色鮮やかな写真も食欲をそそる。
女子部だけではない。男子部も高等科2年になると週1回、昼食づくりを担当する。本書に挟み込まれた「コラム」記事に「特別なお食事」が出る「クリスマス午餐会」の話が載っている。「2016年のクリスマス午餐会は…女子部高等科3年生がお料理を、2年生がケーキを、そして男子部高等科2年生がスープ作りを担当しました」。
学園広報本部次長の椚田結子さんは「女子部の食事つくりは単なる調理実習ではなく、自分たちの生活のために、生徒が責任を持って300人分の食事を作っている点が特徴です。段取りを組み、皆で協力して仕上げる中で、総合的な力も養われます。こうして生徒たちは自然に食事に関心を持ち、感謝する心も育まれていると思います。女子部の食事のレシピは初公開です。ぜひご家庭であじわっていただきたい」と話している。
5月14日(日)に、学園を会場にして開かれる「南沢フェスティバル」に執筆者らが参加。本書に載せた料理の中から提供する予定だ。
(北嶋孝)
【関連リンク】
・「自由学園 最高の『お食事』~95年間の伝統レシピ~」が刊行(自由学園)
・母校の味を、食卓に~『『自由学園最高の「お食事」』制作秘話~(Webマガジン「CheRish」)
・料理ユニットJIYU5074Laboオフィシャルサイト(JIYU5074Labo)
・女子部中等科・高等科「ランチ」(自由学園)
・自由学園 インタビュー 第一回【自由の意味と食事作りの歩み】(RiceBall. Network)
・自由学園 インタビュー 第二回【食糧部の成り立ちと、食事作りからの学び】(RiceBall. Network)
・自由学園 インタビュー第三回【食事作りが育くむ親子愛、自由学園の食の学びとは】(RiceBall. Network)
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