認知症を知り納得して良いケアを 西東京市が認知症講演会

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙暮らし健康・福祉 オン 2017年11月3日

社会福祉法人東京聖新会理事の尾林和子さんの講演

 西東京市は10月31日、市が実施する認知症を知る1か月キャンペーンの一環として、「認知症講演会」をコール田無多目的ホールで開いた。社会福祉法人東京聖新会の理事で東京都認知症介護指導者の尾林和子さんが、「認知症とともに暮らす~認知症介護の最前線から『心のレポート』をお伝えします~」をテーマに講演した。会場を埋める聴衆は真剣な表情で話に耳を傾けていた。

 同市は、毎年10月を同キャンペーン期間と位置づけ、認知症の人が地域で安心して暮らせるよう、認知症への理解を市民に広める活動をしている。

 講演会に先立ち、同市高齢者支援課の横山桂樹課長は、「今年は複数の専門職による個別の訪問支援をする『認知症初期集中支援チーム』を設置しました。他にも地域包括支援センターや高齢者支援課には専門職のスタッフがいるので、周りにちょっと心配な方がいらしたらご相談ください」と挨拶した。

 続いて、地域包括支援センターの職員が、認知症の人とその家族に扮して、認知症患者を抱える家族の心の変化などを描いた朗読劇を披露した。

 

演目「かめ造さん」朗読劇

 

 講師の尾林さんは、同法人の特別養護老人ホーム「フローラ田無」の施設長や老人保健施設「ハートフル田無」の副施設長を務めるなど、豊富な現場経験を生かし、国内外で、認知症ケアや介護に関する実践研究を行い、論文等の発表を行っている。

 講演会で尾林さんは、フローラ田無の日常を写したビデオ映像を見せながら、現場の認知症ケアの現状などを紹介した。

 その上で、なぜ認知症への理解が必要なのか、また認知症発症の原因や症状などを解説して、認知症に伴う行動障害と心理症状について説明。朗読劇の例を挙げながら、環境の変化などにより、不安が高じてストレスをため、暴言、暴行、徘徊、物盗られ妄想、ふさぎ込みなどの症状(BPSD)を引き起こすという、患者の心理過程を説いた。

 

講演する尾林さん

 

 認知症の介護で必要なことは、「認知症の人がどのような気持ちで行動しているかを想像して介護に勤しむこと。相手を見つめて相手を知ろうと心配りすると、認知症の方も安心して暮らせます。認知症を正確に理解して、人から言われるのではなく、自分で納得すると良いケアができます」と尾林さんは力を込めた。

 その他、認知症治療薬や食事や運動、脳の活性化など認知症予防の考え方などについても説明があった。

 参加した女性は、「家に帰ったら娘や息子に今日のお話を聞かせて、お母さんがもし認知症になったら上手く対応してね、と伝えます」「認知症の予防のお話は参考になりました。サークルの仲間に資料を見せてみんなで試してみます」などと話していた。
(柿本珠枝)

 

【関連リンク】
・西東京市の地域包括支援センター(西東京市Web
・社会福祉法人東京聖新会(フローラ田無、ハートフル田無

 

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

 

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