新「ウィークエンドボイス」のヒミツ FM西東京の番組公開取材を大公開
FM西東京が毎週土曜日に放送する情報番組「ウィークエンドボイス」が4月から変わったと聞いたのはいつだったろう。それならと番組を聞いてみた。不思議なコンセプトがあふれていた。早速、取材を申し込んだ。ところが取材当日が近づいたとき、番組に出演して公開取材の形にしてもらえないかとの申し入れ。受けて立ったのが以下の報告だ。出演したのは6月13日。だいぶ時間が経った。しかし番組の変化と不思議の秘密は古びない。その一部始終を大公開しよう。
新しい試み-パーソナリティー中村麻美さん
中村(麻) 時刻は11時15分になっています。ここから ゲストコーナーです。今日は「ひばりタイムス」編集長の北嶋孝さんをお迎えしております。 自己紹介をお願いします。
北嶋 ひばりタイムスというインターネットメディア 、いわゆるネット新聞の編集長をして5年になります。西東京の 人たちに読んでもらいたい地元のニュース、それから近隣のニュースを次々に掲載してきました。「ひばりタイムス」で検索するとすぐ出てきますのでぜひ一度ご覧ください。
中村(麻) 北嶋さんが新しい「 ウィークエンドボイス」にお越しいただくのは初めてです。これれまでのウィークエンドボイスでは一昨年の年末、「選挙特集」のコーナーで話していただきました。ところで、いまの取材対象は何でしょう、どのようなところに興味がありますか。
北嶋 実は、この番組を取材させてもらいたいとお願いして、快く OK を出してもらったんです。だんだん当日が近づいてきたら話がぐっと具体化しまして、番組に出演する形で取材をお願いできないかと言う申し出がありました。公開取材という形で、ウィークエンドボイスにゲスト出演してほしいということですね。取材を申し込んだのに、逆に番組にゲスト出演することになる、と気が付いたときはすでに遅し、です。なるほど。さすが。うわさに聞いたに敏腕編集長がよくぞこういう仕掛けを考えたなと思いました。
とまあ、そういう話を出されたら乗らない手はない。ということで、今日は皆さんが番組作りでどんなことをしているか、面白いと思ったこと、これは大変だと思ったことも併せてお話を聞いて、私もしっかり記事にしてみたい。こういうことです。
中村(麻)なんと新しい試みですね(笑)。本来、私がインタビューする側なんですけどちょっと 逆になるかもしれないということで、前半は今この席には 編集長廣田亜希子さん、中村晋也さん。後半はまた違うメンバーの取材をするということでよろしいでしょうか。
北嶋 はい。
中村(麻)さて、どんなことになるか。ぜひ皆さん、一緒に楽しんでください。
もうちょっとおもしろくなるかな- 編集長廣田亜希子さん
北嶋 ウィークエンドボイスが最近ちょっと変わりましたよ、と言う話を聞いて、どう変わったんだろうかと思ったら、編集長が3人になりました、というではないですか。3人編集長でどうするんだろう(笑)。ふつうならそう思いますよ。しかし 編集長になった人たちはこれまで付き合いのある人でもあり、どうしてこの番組に関わりを持つようになったのか。確か 廣田さんは、去年あたりからこの番組に関わっていたと思うんですけど。
廣田 そうですね。去年の6月ぐらいからこのウィークエンドボイスのゲストブッキング担当になりました。このゲストコーナーにお迎えするお客様と、電話インタビューのコーナーの2つがありましたので、そこの取材対象を選定して、取材してお話しいただくまでをコーディネートしていました。
北嶋 なるほど。編集長の話はいつごろ受けましたか。
廣田 FM 西東京がリニューアルする話を聞くちょっと前ぐらい、年末ぐらいですかね。少しこういうことをやってみようという話を、局ディレクターの飯島さんから受けて、この番組がもうちょっとおもしろくなるかなと思ってお願いしました。
北嶋 どういう風にしたいので編集長になってほしいと誘われたのですか。
廣田 番組自体が、地域に対して想いを持っている人、そういう方や活動内容を紹介するのがこの番組なんですね。なのでそれを私だけの視点ではなくて、もっといろんな人の視点で紹介したいと思って、まあメディアミックスとか色々あるので、違う視点で活動している人も紹介したいなと思って、ぜひぜひという感じでした。
メインは「西東京マニアックス」-編集長中村晋也さん
北嶋 隣にはもう一人、中村晋也編集長がいますけど、ラジオとのとの出会いは4月からですか。
中村(晋) そうですね。 FM 西東京に関わるのは4月からです。
北嶋 編集長の話は?
中村(晋) 廣田さんと同じタイミングで昨年の11月ごろです。
北嶋 話がきて、何の迷いもなくよし乗ったと、ということですか。
中村(晋) 迷うというよりも、ラジオの仕事を何もしていない人間に頼んでくるとは勇気があるなと、結構びっくりしました。もともと自分はラジオを聞いているほうではなくて、どちらかと言うと コミュニティーの方に興味があってFM西東京さんと関わってきました。けれども、ラジオにはいろいろやれる可能性はあるとは感じていたので、前のめりで参加しました。
北嶋 新しいアイデアを出して、4月から始めたことがいくつかあると思います。それを紹介してもらえますか。
中村(晋) メインはやっぱり「西東京マニアックス」です。番組編集長が掴んできた、地域の知られざる観光名所を、 Instagram だったり Facebook などの SNS に投稿する企画です。西東京市には知らない部分があるので、それをリスナーの方に興味を持っていただいて、学んでいただけたらという意図で始めました。
北嶋 確か、ホームレスの人のねぐらを紹介したり…。
中村(晋) いやいや、漫画家さんの放浪先の紹介です(笑)。
北嶋 こういう感覚でやるのはすごいなと思いました。
SNS と放送が連動
北嶋 廣田さんの仕事で、うまく実現できたケースはありますか。
廣田 先日、コロナでずっと休館していた多摩六都科学館のプラネタリウムの活動を紹介しました。ラジオを通して生のプラネタリウム解説を放送できましたし、動画も YouTube にアップしていただきました。私も楽しかったし科学館の方もリスナーの方も楽しかった。大きな企画でしたね。
北嶋 廣田さんとはライターとしてお付き合いがありました。扱う対象が文字から音声に代わって、戸惑ったことはありませんでしたか。
廣田 私はもともとラジオに興味があったので、それもあってゲストブッキングの話を頂いた時にお世話になろうと思いました。見えないものをラジオで解説するのは(書くこととは)また違うので、おもしろいと思います。
北嶋 なるほど。中村さんは新しく始めたコーナーはやってみてどうですか。うまく進行してますか。
中村(晋) 試行錯誤ですね。うまくいってると思っていません。最初にリスナーに与えるきっかけが SNSです。SNS で写真を見て、放送に参加してもらう趣向をとっているのですが、そこがうまくつながっているとはまだ思えません。ただこれからコロナ明けで駅前のスタジオ、公開した場が使えるようになれば、外と中の一体感をもってそれが実現できるといいなとは思います。
北嶋 いわゆるメディアミックスで、伝えたいことをさまざまな媒体でさまざまな形で伝える。そういう試みがいよいよ本格的に新しい編集長の下で始まったと感じています。
廣田 放送後記も、FM西東京のホームページに載せていくので、「西東京マニアック」などの記録も残していける。そういう意味では SNS と放送と連動していくのはこれら必須だと思っています。
中村(麻)はい、そんなところで、ひばりタイムスとの関わりが持てたらいいなと思います。ここで一曲、北嶋さんのリクエスト曲をかけましょう。曲はハイドンの弦楽四重奏曲よりハ長調作品9-1の第1楽章です。
北嶋 実はアナログレコードを持ってきて、本命の曲をかけたかったのですが、スタジオでは最新機器のせいか、アナログレコードは再生できませんと言われました(笑)。そこで別の曲になりました。次に流れるのは2番手、第2候補です。
(編注:本命は、シンガーソングライター古家杏子さんのデビューアルバム『冷たい水』から「晴海埠頭」でした。CDが見つからなくて、アナログレコードに…)
スタジアムにまた遊びに来て-スポーツキャスター酒匂匠さん
米山(涼香) 前半は我らが編集長にお話をお伺いしました。後半は何と、取材対象がアシスタントパーソナリティの米山涼香、そして…
酒匂 酒匂です。
米山 そして…
飯島 飯島です。
米山 飯島さんはこの放送局のまとめ役的な存在、いつもは放送には出ていませんが、いつも私たちのことを支えてくださっている方です。この3人で取材を受けたいと思います。
北嶋 実は私は何度かこの番組に出ています。みなさんが番組のいろんなコーナーを担当されていたと聞きました。番組は一人では出来ません。弁も立つやり手の編集長でも一人ではできない。こういうのがラジオの仕事だと思います。お二人はかなり前から番組づくりに参加していたのですか。
酒匂 この番組はマイナーチェンジを重ねながらきてますが、この曜日のこの枠では多分、16年前ぐらいからずっと参加しています。
北嶋 開局してから21年でしたか。
飯島 22年です。
酒匂 局との関わりはもう少し前からですが、この番組ではそのぐらいです。
北嶋 どういうコーナーを担当されているのですか。
酒匂 大まかにいうとスポーツコーナーです。地元関係のスポーツニュースを取り上げます。そもそもFC東京の一選手の取材から始まって、そこからFC東京を応援しています。
北嶋 コロナ禍でスポーツ選手も活動を自粛していました。その間、取材は大変だったのでは。
酒匂 厳しかったですね。でも取材で現場に行けなくても、このご時世、オンラインが活発です。スポーツ関係者がいろんな試みをしているので、それをぼくから改めて説明するだけでも価値があるのかなと思っています。そういうことでJリーグは頑張ってるんだよ、復活したらちゃんとスタジアムに遊びに来てね、というところを繋げて繋げてお伝えしてる感じですかね。
北嶋 これからの Jリーグの試合が始まったら、選手の声もこのスタジオから届けたいですね。
酒匂 ホームゲームの時はいつも足運んで、選手の声を録音してきているので、それをまたお届けしたいと思います。
リポーターとして生の声を届けたい-アシスタントパーソナリティー米山涼香さん
北嶋 米山さんもFM西東京との縁は長いのですか。
米山 学生の時から、もうなくなってしまったんですけど「小平ミックス」という番組でレポートをしておりました。その後ちょっとブランクがあって、1、2年前からまたこのウィークエンドボイスに参加しています。
北嶋 「小平ミックス」のパーソナリティーは小平市の課長さんでしたね。いまの番組では、どんなことを担当していますか。
米山 元々はリポーターとして私は在籍しているという自負があるんです。リスナーの生の声を聞きに行くということですね。ただコロナ禍で職を失った状態です。いまはまあ、便利屋ですね。 Twitter を動かしたり、ちょっと時間が空いたところで話を繋げたりなどしています。
北嶋 いろんな方が番組を支えていくわけですね。飯島さんとの付き合いは長いんですか。
米山 私が学生の頃からいらっしゃってましたよね。覚えていらっしゃいますか。
飯島 「小平ミックス」では、お顔を拝見してましたね。
北嶋 私がこの番組に出演したときのディレクターは柿本珠枝さんでした。ご存じでしたか。
米山 編成が大分変わってしまいましたけど、その前は本当にお世話になりました。
北嶋 酒匂さんも付き合いは長いですよね。
酒匂 柿本さんも飯島さんも、僕が局に関わった時からいらっしゃるのかな。
北嶋 私は柿本さんに声をかけられて出演できました。彼女はひばりタイムスと FM 西東京のコラボ企画をやりたいと、番組に出演した人の話や活動を記事にして、ひばりタイムスに載せる仕事も随分してもらいました。ありがたかったし、感謝しています。体具合が悪くなって闘病生活を送っていますが、ぜひまた戻ってきて、活躍してほしいと思っています。
市民の声をより広く、多くの形で届けたい-FM西東京 飯島千ひろさん
北嶋 さて、先ほどのみなさんの話を聞くと、どうも番組が新しくなったのは飯島さんが仕掛けていたと思えるのですけど、番組編成の時どんな考えがあったのでしょう。
飯島 西東京のこのエリアは市民活動が盛んなところで、他の多摩地域と比べても「なんでこんなことが西東京はできるの」と言われること多いんです。その通り市民のサークルや団体も多くて活動も活発です。
FM 西東京は開局22年ですが、市民が活躍する番組や内容が非常に多かった。この番組も市民のみなさんに、より活躍して頂けるような構成にしていきたいと考えて、編集長をお迎えしました。今日は紹介できなかったんですけど、もうひと方、生田哲也さんが編集長に入っています。駅前情報発信拠点「まちテナ」が4月からオープン予定でしたし、市民の声をより広く、多くの形で届けたいと、関わる方も多くしたいと考えました。
北嶋 番組の編集長をはじめいろんな方が「まちテナ」に参加しています。これも局としてそういう重要な情報発信を任せられる人材ということでもあるんですね。
飯島 駅前情報発信拠点運営を行う中では、市民がどれだけそこで発信していくかということも求められます。この番組がより大きくなるチャンスではないかと思いました。
可能性が溢れる場、自信と誇りを持って発信
米山 まだ私たちも話したいことがありますが、最後に締めで、一人一言ずつで終わりにさせていただきたいと思います。酒匂さんからお願いします。
酒匂 FC東京の試合は平均2万5000人、多くて4万人ぐらいです。まだこれからなので、もっと増やしたい。そのためにも、情報を発信できればと思っています。
米山 コロナ禍が続いていて、私も外に出て行くことができないのですが、これからも、まちの人たちが体を動かしたいと思えるような番組を目指したいと思います。
飯島 FM西東京は、可能性が溢れてる場だと思います。今までのスタッフもそうですし、これからどんどん可能性を見つけていけるような方に集まっていただきたいと思います。公共放送ですから好き勝手ということではないですけれども、それだけに信頼をもっていただける。自信と誇りを持って、FM西東京はこれからも皆さんとともに発信していきたいと思います。
米山 ありがとうございます。ということで今日のゲスト、北嶋さんから最後にお願いします。
北嶋 今日の番組出演を切っ掛けに、これから記事をまとめられるように、追加でいろんな方に話を聞きたいと思います。
米山 ありがとうございます。今日のゲストコーナーそしてインタビュアーは、ひばりタイムスの北嶋孝さんでした。ありがとうございました。
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関係者の話を聞き、何度か書き直した末、文字おこし原稿の形式になった。編集長3人のうち、当日は生田哲也さんの都合が悪くて残念ながら話が聞けなかった。
取材は正味20分余り。制約があっても、スタッフの証言はコンパクトにまとまっていた。ぼくが下手にいじるより、読みやすくて分かりやすい。ゲスト出演の公開取材は、ミイラ取りがミイラになった感がしないでもない。出演報告を読んで、新しい「ウィークエンドボイス」に耳を傾けてもらえたら感謝!
(北嶋孝)(写真はいずれもFM西東京提供)
【関連情報】
・FM西東京(HP)
・ウィークエンドボイス(FM西東京)
・Instagram @西東京マニアックス(Instagram)
・駅前情報発信拠点「まちテナ」(HP)
多摩六都のプラネも取り上げていただき感謝しています。私も聞きながら星座速見盤を手元に置いてみたらいいなと思いました。つまりラジオで星空の可能性を感じました。
廣澤さま、この度はちょっと無謀とも思える?企画にご協力いただきありがとうございました!
イメージは出来上がっていたので、それをたくさんの方に楽しんでいただけて良かったです。科学館としても新たなチャレンジとなったとのことでしたし、これからも新たな可能性を一緒に模索していけたら嬉しいです。
廣澤さん、ステキなコラボでしたね。ありがとうございます。お聞き頂いた方からもたくさんのメッセージを頂きました。