保谷調布線

車は便利、住民に不満の声も 「西東京下保谷トンネル」開通の影響調査

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2015年5月28日

 東京都は5月14日、西東京都市計画道路3・2・6号調布保谷線のうち、西武池袋線をくぐる「西東京下保谷トンネル」とその周辺約1kmについて、3月19日に開放してから約1週間後の交通状況を発表した。その中で、既設の踏切も撤去され、西東京市役所保谷庁舎付近から下保谷3丁目地先交差点までの所要時間が12分短縮された、としている。(写真は、開通3日後の調布保谷線下保谷トンネル)(2015年3月22日撮影)

 調布保谷線は、稲城市矢野口を起点とし、西東京市北町の埼玉県境までの延長14.2km。下保谷から終点の北町3丁目までは現在工事中で、今年夏に全線開通を予定している。

 調査の対象となった区間は、市内泉町の保谷庁舎付近から、西武池袋線の下をくぐり、保谷第一小学校付近までの約1km。

 

調布保谷線326号影響01

東京都作成

 この調査は、平日の3月24日、午前7時から午後7時までの12時間、調布保谷線と都道233号線が交差する中町1丁目地先交差点(図のNO.1)、西東京3・4・13号線と西東京3・4・15号線の下保谷3丁目地先交差点(同NO.2)、それに、都道234号線の踏切跡地付近など2か所の計4地点で実施された。

 開放区間と並行する都道234号線の交通量は、調布保谷線の開放前に比べ、12時間で約7割にあたる4239台が減少、都道233号線では約2割の2042台が減少した。

 調査地点NO.1からNO.2までの通過所要時間は、既設の都道233号ルートでは約17分だったが、新設の調布保谷線ルートでは約5分となり、約12分短縮された。これにより、西武池袋線で分断されていた南北方向のアクセスが向上した、としている。

 この2地点間を調査ルートに決めたのは、東京都によると、開放前との比較データがある最短ルートだったため。事前の調査データが少ないのは、本来調布保谷線全線開通後に現在工事中の区間である北町の埼玉県境までまとめて調査する予定だったが、この間の工事が遅れ、手前1km区間を先行調査することになったため、事前に十分なデータが取れなかったということだ。また、調査ルートが1つだけになったのは、今回の調査で同時に、調布保谷線全線開通を前に周辺各地で比較データを取るための調査も行っており、「西東京下保谷トンネル」周辺の調査に集中的に人員を割けなかったという事情もあった、と説明している。

 西東京消防署への聞き取り調査では、消防車の到着時間が短縮されるなど、消防活動がスムーズになった。道路の見通しが良くなったという結果が出た。

 

東京都作成

東京都作成

 

 今回の調布保谷線の開放に伴い、「西東京下保谷トンネル」が新設されたのに合わせて、自転車を押して通行できる地下歩道や、エレベーターが併設された「下保谷ふれあい歩道橋」が設置されている。

 保谷駅周辺の商店街に交通開放1ヵ月後に状況を聞いてみると、東町商栄会の大河内一紀会長は、「車や自転車、人で錯そうする、日本で危険な道路として知られる、保谷駅南口駅前通りの車の交通量が減って、お客さまが楽に買い物できるようになった。保谷駅北口商店街、かえで通り商店街、東町商栄会ともに商売の繁盛に繋がりそうだ」と話している。

 一方で、地元住民は、「都道234号線は、踏切待ちする車で渋滞していたので、踏切が撤去されて、遠方からの車の利用は便利になったと思うが、地元は不便になった」と話す。調布保谷線には中央分離帯があるため、脇道から合流し反対車線へ行くには迂回路を使い、遠回りしなければならないからだという。

 

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【エレベーターが併設された歩道橋と、自転車を押して通れる地下道。2015年3月22日撮影】

エレベーターが併設された歩道橋(上)と、自転車を押して通れる地下道(下)(2015年3月22日撮影)

 

 また、線路の下をくぐる地下歩道の中央には、自転車スロープが設置されているが電動式ではない。自転車利用者からは、「高齢になると自転車を押し上げるのがきついし怖い」、「道路に自転車用側道をつけてほしかった」、「エレベーターはあるが、自転車は2台しか入れない。歩行者が優先なので利用しにくい」といった声も聞かれた。
(柿本珠枝)

 

 

柿本珠枝
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車は便利、住民に不満の声も 「西東京下保谷トンネル」開通の影響調査」への5件のフィードバック

  1. やすみつみゆき
    1

    自分はまだ、この新しくなった道を通ったことはないが近所のおばあちゃん達が口々に、厚生病院に行くのにどうやって行ったらいいかわからなくなった!という。いったい、どういうことなのか気になっていたらこの記事を見つけた。これでは高齢者や足を悪くした人は確かに”向こう側”へ行くのは大変だろうと思った。道路を作り変える時は、どの人にも通りやすくする設計が必要だと思う。作ってからでは遅い。やり直しがきかないものほど丁寧にすすめるべきではないかと思う。

  2. 2

    ここ自転車でたまに通るんですが、糞みたいな作りだと思います。地下道を自転車で降りるスロープが急勾配すぎて降りるのも登るのもご婦人にはきつすぎる。エレベーターはあるが狭すぎてクソです。自転車1台がなんとか快適に乗れる広さです。前後は結構ぎりぎり。2人が自転車を押して入ろうとするとスペースがありません。人間3人が真横に並ぶともうそれまでって幅なのです。若者が自転車で既に乗ってるのに、オバタリアンが無理やり自転車ねじこもうとしててめっちゃもたもたしててエレベーターが無駄に足止めされてるのを見かけました。

    清瀬のトンネルは、自転車に乗ったまますーっと南北を移動できます。エレベーターがないのが最低なトンネルですが。清瀬みたいなトンネル+エレベーターが最高の作りです。住民は本当うんざりしてると思います。

  3. 3

    このトンネル開通について調べています。
    この記事に使われている東京都作成の資料はどこから持ってきて使用しているのでしょうか。教えていただけると幸いです。

  4. 4

    問い合わせをいただきました。ありがとうございます。

    記事を執筆した柿本記者はその後、病で倒れ現在療養中。残念ながら連絡がとれません。
    掲載は2015年5月です。8年前なので当時の資料があるかどうかも分かりません。

    東京都のサイトを調べてみました。ところが2017年以前の報道発表資料はデータベースに収録されていません。各種のキーワードで検索しても、該当なしでした。

    西東京都市計画道路3・2・6号調布保谷線の担当は、以下の通りです。
    建設局道路建設部街路課(電話03-5320-5344)、または
    建設局北多摩南部建設事務所工事第一課(電話042-330-1839)

    調査の目的を説明して、該当する資料を調べてもらってはどうでしょう。
    どうしても必要な資料なら、情報公開請求の手続きを取ることもできます。

    「東京都は5月14日、西東京都市計画道路3・2・6号調布保谷線のうち、西武池袋線をくぐる「西東京下保谷トンネル」とその周辺約1kmについて、3月19日に開放してから約1週間後の交通状況を発表した。」
    上記の記事内容を示して、情報窓口で相談してみてください。
    (編集部)

  5. 森 リモ吉
    5

    30キロ制限の原付はものすごく不便になった。
    地下道は高速道路ばりに70キロから80キロ以上で流れているし、歩道橋のエレベーターはバイク禁止。
    役所は自画自賛しているけど、いったい何考えてこの道路を作ったのか。理解力・企画力を疑うような出来。
    これだったら片側1車線幅でもいいから踏切を残すべきだった。

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