5人

まちおもい帖 第42回 自分らしく生きるママさん起業家たち

投稿者: カテゴリー: 暮らし連載・特集・企画 オン 2022年1月6日

 

6.しなやかな働き方

 

 以上紹介した5人の方々は、たまたま「どんぐり」という場を設けたことによって最近知り合った人たちだ。それぞれ、置かれている環境も、これまでの経歴も、やっていることも皆違う。しかし、共通して言えることは、彼女たちがとても「しなやか」なことだ。確かに、皆さん育ち盛りのお子さんを抱えており、収入があった方が良いに違いない。

 しかし、生活するためにわざわざ起業したわけではない。収入を得るだけなら、パートの仕事を増やした方が安定して稼げるはずだ。そうではなく、「自分らしく生きるため」「自分の想いを実現するため」に、起業という形で踏み出した。だが、上場しようとか、日本一の企業にしようといった野望や肩肘張った姿は、感じられない。「もっと草花を気軽に楽しんで欲しい」「痛みを無くして普通の日常を取り戻して欲しい」「子どもたちの創造性を刺激したい」「美味しいジェラートを楽しんでもらいたい」「1%でも日本の食料自給率を上げたい」「1%でもプラゴミを無くしたい」…そうした想いをかなえたいと願ってのことだ。

 「会社勤めをして、会社の方針に従う、時には自分の時間と健康を犠牲にしてまで働く」のではなく、「自分が主体となって自分の想いのために働く」。だから、多少大変なことがあっても、それは自分の肥やしになるので辛くはない。確かに、ご主人の給与や自らのパートでの収入があってのことではあるが、こうした働き方こそ、本来の働き方ではないだろうか。

 女性の場合、〇〇さんの奥さん、〇〇ちゃんのお母さん、パートのおばさん…といった具合に、社会的には、ある意味「のっぺらぼう」のような扱いをされる。自分の名前で堂々と社会と向き合いたい。彼女たちの生き方には、そんな想いも秘められているように感じる。この連載の第一部第10回に、女性がキラキラ輝く「鶴岡ナリワイプロジェクト」について紹介したが、それと通じるように思われる。(了)

1.「小さな小さな花屋さん」を始めた内藤阿珠佐さん
2.やさしい整体「茊絆」を経営する藤居仁子さん
3.小学生にロボットプログラミングを教える高田しのぶさん
4.ゼロ歳児を育てながらジェラート屋「mucu(ムク)」を始めた大谷里菜さん
5.SDGsに特化した営業支援、商品開発事業「KANKIKU」を立ち上げた木村きく子さん
6.しなやかな働き方

 

 

05FBこのみ【著者略歴】
 富沢このみ(とみさわ・このみ)
 1947年東京都北多摩郡田無町に生まれる。本名は「木實」。退職、母の介護を経て、まちづくりに関わる。2012年より田無スマイル大学実行委員会代表。2016年より下宿自治会広報担当。2019年より、多世代交流・地域の居場所「どんぐり」オーナー。2020年にフェイスブック仲間と「西東京市カルタ」完成。2020年より下宿地区会館管理運営協議会代表。

 

 

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