西東京市議会

西東京市が指名停止業者と随意契約方針 4回目のワクチン接種券などの印刷、発送業務 一般会計補正予算案の議会審議で明らかに

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙新型コロナウイルス オン 2022年4月26日

 西東京市議会(保谷七緒美議長)の第2回臨時会が4月25日に開かれ、新型コロナウイルスの4回目接種の準備作業に伴う経費2900万円を追加する一般会計補正予算(第2号)を賛成多数で可決した。審議の中で、接種券や予診票などの印刷、発送業務を、現在指名停止中の業者と随意契約する方針が明らかにされた。市側は国の指示する短期間で業務を任せられる事業者がいないなどから「やむを得ない」としている。(写真は、賛成多数で一般会計補正予算案を可決した西東京市議会)

 

 接種券印刷は14万部想定

 市内のワクチン接種状況は、市が4月22日現在の国の速報値として説明したデータによると、1回目接種は12歳以上の16万4120人で接種率は88.31%、2回目は16万3383人で87.92%、3回目は国と都の平均を上回っているものの、10万7335人、57.76%だった。これらから市側は4回目接種率を1回目の85%と見込み、接種券の印刷は14万部を想定している。

 4回目接種の具体的内容は、市側の説明によると、4月27日開催予定の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で固まり、翌28日の自治体向け説明会で明らかになるという。しかし厚生労働省は3月25日付けの「事務連絡」で事前の準備体制確保を自治体側に要請し、完了時期を「現時点(3月25日)から2ヵ月程度」、接種対象は「3回目接種を受けたすべての住民」と想定した。

 

池澤市長

提案理由を説明する池澤市長

 

 委託業者が独禁法違反、指名停止

 これに先立って公正取引委員会は3月3日、日本年金機構が発注する「ねんきん定期便」などの作成・発送業務で入札に参加した東洋紙業(本社大阪市)など26社が独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)に違反したと認定。談合行為の排除措置命令を出すとともに、24社に対しては計17億4161万円の課徴金納付を命じた。

 このうちの1社がワクチン接種業務を委託していたことを受けて、西東京市は翌3月4日、副市長や関連部長で組織する「指定業者選定委員会」を開き、この社の一般競争入札を3ヵ月間、指名停止すると決めた。

 厚労省の事務連絡で、5月25日ごろまでの準備態勢確保を迫られた市は、接種券などの印刷、発送業務が期限までに出来るかどうか、他の「20社ほど」の業者に照会した。その結果、「接種券の印刷は技術的に困難」「受注が集中していて期限内は難しい」「(14万部と)大量なので完成まで3~4ヵ月、早くても2ヵ月かかる」などの状況が明らかになった。指名停止業者は、従来の印刷原版を修正するなどで、期限内に準備できることも分かった。このため市は随意契約で、この社に業務を委託する方針を決めた。

 西東京市の「指名停止基準」は「第8」で指名停止期間中の相手との随意契約を禁じているが、「やむを得ない事由があるときは、この限りでない」との但し書きを適用。予算特別委員会で市契約課の清水誠課長は「他社に代えられるか、契約しないと市民益を損なわないか、などを総合的に判断した」と答えた。

 

 採決結果とそれぞれの意見

 補正予算案の本会議での採決結果は、賛成が自民(9人)、公明(5人)、立憲(2人)、共産(4人)、無所属の2人(小峰和美、田村広行の各氏)の計22人、反対は生活者ネット(2人)、無所属の森輝雄氏、納田里織さおり氏の計4人だった。

 

加藤涼子議員

反対意見を述べる加藤涼子議員

 

 反対討論で生活者ネットの加藤涼子氏は、「報道によると、2016年から課徴金の対象となった談合は112件あり、発注総額は183億円超に上った」と述べて、事件が悪質、常習的だったと説明した。しかも西東京市が発注予定の業者は「主導的な役割を果たした6社のうちの1社」と指摘。「市が指名停止しているのに、その相手と随意契約するとなると、指名停止は何だったのかということになる」とも述べた。そのうえで加藤氏は「あと2日待てば(分科会が開かれて)対象者が変更、限定される可能性があるのに、3月25日付けの事務連絡ありきで発注先を限定してしまっていいのか。医療従事者、高齢者などに対象をまず絞りクーポン券(接種券)を発送するやり方なら、他の業者でも対応できるのではないか」などと述べて、市側の14万部一括発注の姿勢を批判した。納田氏、森氏も市側の「14万人ありき」などを指摘して反対した

 賛成の立場から討論に参加したのは小峰和美氏一人だった。小峰氏は「指名停止中の業者に頼むのは本来ならおかしい、反対です。しかし私は泣く泣く、医療従事者や高齢者ら市民の生命を守るという市の姿勢が緩んではならないと考えて賛成する」と話した。

 補正予算案を審議した予算特別委員会で、最初に質問に立った山田忠良氏(自民)は指名停止中の業者と契約する問題を取り上げた。山田氏は市側とのやり取りのあと「市側の事情も理解できる」としながらも、「指名停止中の業者と契約すると相手方に利益をもたらす側面もあり、心情的には納得できない部分もある」などと述べた。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・新型コロナワクチン追加接種(4回目接種)の体制確保について(厚生労働省、PDF:349KB
・(令和4年3月3日)日本年金機構が発注するデータプリントサービスの入札等の参加業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について(公正取引委員会
・西東京市指名停止基準(西東京市Web、PDF:154KB

 

北嶋孝
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西東京市が指名停止業者と随意契約方針 4回目のワクチン接種券などの印刷、発送業務 一般会計補正予算案の議会審議で明らかに」への1件のフィードバック

  1. 1

    採決前の討論の部分で、論旨を明確にするため加藤議員と小峰議員の発言を補足、整理しました。(北嶋)

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