西東京市議選

FM西東京が「政見動画」配信 YouTube上に西東京市議選立候補者34人分 地域コミュニティー局の新たなチャレンジ

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙 オン 2022年12月20日

 西東京市議会議員選挙が12月18日に告示され、これまでの最多40人が立候補した。FM西東京はこのうち希望した34人の「政見」を収録し、同日午後5時から動画共有サービス「YouTube」(ユーチューブ)上で配信を始めた。公職選挙法で定める「政見放送」ではなく、同局は電子メール以外のネット利用による「政見動画」と位置付け、「地域のコミュニティー局だからこそ出来る新たなチャレンジ」と話している。(写真は、市議選のポスター掲示場=ひばりヶ丘駅南口。12月21日午後4時50分)

 FM西東京ホームページ上の「動画配信」ページにアクセスすると、候補者がアイウエオ順に並び、名前をクリックするとユーチューブの画面に候補者が登場。名前と所属政党名を書いたプレートを前にして、立候補した動機や思い、実現したい政策などを語っている。

 

最初の画面

政見動画の最初の画面(ユーチューブから)

 

 現職の候補者は任期中の実績を語ることが多く、新人候補はまちづくりや行政への参加などの思いを訴えるケースが目立った。西東京市で実現したい政策のほか、市のイメージアップを訴えたり、所属政党の特徴紹介に時間を費やす人もいる。場慣れした候補者はカメラを見ながら身振り手振りを交えて話し続ける。視線を手元に落としても、話す内容をしっかり確認して訴える人も少なくない。手話で挨拶する人、まずは投票所に足を運ぶよう語りかける候補者もいた。予想を裏切る内容や語り口もあって、次から次と動画を見ようとクリックする手が止まらない。

 今回は候補者本人が9分間述べた内容を収録。ノーカット一発撮りなので、時間が足りなくなって映像が切れたり、早めに終了しりする場合もある。立候補予定者の意思を事前に確かめた自由参加方式。希望しなかった候補者6人の動画は載っていない。

 FM西東京は1998年1月に開局し、24年間活動してきた。このプロジェクトを進めてきた制作室長の飯島千ひろさんは「市選挙管理委員会にも相談しながら公正を心掛け、候補者の意思を確認した上で配信した」と説明した上で、同局として初めての試みについて「立候補者に一人一人の考え、めざすところを語っていただき、市内の多くの方に選挙に関心を持ち、投票の参考にしていただき、投票率が上がるようにキャンペーンしたい」と思いを語った。

 

投票率

 

 市議選の投票率は2018年12月の前回は、全体で36.84%と過去最低を記録した。年代別では20代が17.42%、年齢別では25歳が14.84%と、若い年代がきわめて低い数字に終始した。このため市議会でも、市政への関心を高め、市民参加のまちづくりを進める必要があるなどの声が度々上がっていた。

 市選管は「(FM西東京と)連絡は取っている」「東京都選挙管理委員会に確認した」とした上で「公平な動画配信に努めてほしい」と話した。都選管も西東京市選管から連絡が来ていることを認めながら「放送だと制限はあるが、ユーチューブ上での動画配信は可能」と言う。

 公職選挙法(第百五十条)によると、政見放送ができるのはNHKや民放のテレビと中波(AM)のラジオ放送局だけ。今年4月の同法改正でFM放送局もとりあえず可能となったものの、同条項の施行は2年以内に定めるとして、まだ現実にはなっていない。そのうえFM局で可能になっても、政見放送は衆院選(小選挙区)、参院選(選挙区)、都道府県知事選の候補者に限られる。同法に地方議会議員選挙の規定はないため、市議会議員の政見放送は無理だった。

 念のために選挙を所管する総務省選挙課に問い合わせると「ウェブサイト等を利用する方法による文書図画の頒布に関しては公職選挙法第百四十二条の三に規定があり、一般的には規定を遵守したうえで、期間中に選挙運動と認められる動画をSNS上で配信することは直ちに制限されるものではない」と回答。「他局の例は、統計をとっていない」と付け加えた。言い回しは堅苦しいけれども「やってよし」のゴーサインと受け取れる。

 最後に全国のFM局が集まる一般社団法人「日本コミュニティ放送協会」(JCBA )に聞くと、事務局のスタッフは「協会に加盟しているのは全国339局のうち12月1日現在、249局。個別局の活動は把握していない」と確認を避けた。そのうえで「総務省なども放送法上の活動なら把握していても、それ以外の活動だと分からないのではないか」と付け加えた。

 ネット上の選挙活動は2013年に解禁となった。公職選挙法に細かな定めがあり、解説文書も総務省のHPに載っている。候補者や政党は別にして、有権者は電子メールによる選挙運動は禁止されているが、SNS、動画共有サービスなどを利用して期間中、選挙活動が出来るようになった。

 FM西東京の政見動画配信は前例の有無を問わず、果敢な「チャレンジ」であることに変わりはない。若い人も含めて、政治への幅広い関心を広め、投票率の向上に結びいてほしいという担当者の願いの行方は、12月25日の投票で明らかになる。
(北嶋孝)

 

【関連情報】
・西東京市議会議員立候補者政見動画配信公開!(FM西東京
・西東京市議会議員選挙(西東京市Web
・西東京市議会議員選挙 立候補者一覧(西東京市Web
・25歳が14.84%、20代は17.42% 西東京市議選投票率は東京26市中最下位(ひばりタイムス
・執行経費基準法及び公職選挙法の一部改正について(総務省

 

北嶋孝
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  1. 1

    公職選挙法(第百五十条)の政見放送に関する段落を追加しました。(北嶋)

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