赤ちゃんの一瞬を写真に 西東京市で撮影会が大人気
人見知りしてギャアギャア泣き止まずお母さんに抱き付いてしまう女の子。泣き止むまで、おもちゃで音を鳴らしたり、アンパンマンのゲームで気をそらしたり、キャベツの切れ端を「はいどうぞ」とあげて見たり…。写真を撮るまでが大変だ。
もともと子どもが好きで保育士をしてきた中村さんだからこそ、この泣き止むまでの時間も楽しんでいるようだ。泣きべそをかいている顔も、自分が写った写真をカメラ画面で見てびっくりしている顔も、泣き止んでやっと笑顔になった顔も、全部かわいいという。
中村俊平さん(33)は、母の実家のある田無で育った生粋の田無っ子。大学を出てすぐ保育士になり、9年ほど保育園で勤務したあと、赤ちゃんを主に扱うフォトグラファーに転身した。保育園では、記録のために写真を撮ることが日常的にあり、写真を撮るのが好きだったので、保育園の壁に写真を貼ったり、写真展を開いたりしていた。あるとき、本職のフォトグラファーの企画で「年長さんが親の写真を撮る」というのを実施した時、プロのカメラマンの仕事振りに憧れた。そこで、自分もフォトグラファーになりたいと転身を決めた。
会社の名前は、「CoccoloFoto」。イタリア語の【Coccolo:愛しい子ども、思わず抱きしめたくなるような】に写真のFotoを合わせた。日本はだかんぼ協会®の講習を受けて認定フォトグラファーとなった。「はだかんぼ撮影会®」(3~10カ月)と1歳~3歳を対象にした「テーマのある撮影会」の2つのメニューがある。
「テーマのある撮影会」では、私が訪ねた折の野菜を使った「べじふる撮影会」のほか「のりもの撮影会」などを企画している。はだかんぼ撮影会®は、4400円、テーマのある撮影会は、5500円で、それぞれ10枚写真を撮る。実際には、可愛らしいショットが撮れていると、それ以上差し上げてしまうことが多いそうだ。べじふるの時には、ユニークな商品を栽培していると評判の安田農園から、色が鮮やかだったり、形の変わっているものだったりと、いろいろな野菜を取り揃えてくる。デジカメで撮って、パソコンで編集し、お客さんに送る写真もデータ(スマホでも見れる)とのことで、郵送費などは掛からない。いま時の撮影サービスだ。
実際に撮影会を始めたのは、2022年10月から。「おさがりひろば」を主催している大倉育美さんが月借りている「多世代交流・地域の居場所どんぐり」2階を借りる形で、毎月3~4回開催している。一人に40分ほど時間枠を設け、一日6枠を目安にしている。毎枠、ほぼ埋まるほど人気だ。武蔵野市や所沢市など遠方から来るお客さんもあるとのこと。当初、西東京市で5カ所くらい撮影場所を見つけようと考えていたが、今は、他市に5カ所と広げた方が良いかなと思い始めているという。
赤ちゃんが好きな中村さんは、2021年には、男の子のパパにもなった。「保育園での仕事も楽しかったが、赤ちゃんフォトグラファーの仕事は、良い写真が撮れるとお客さんにも喜ばれ、自分もうれしい。転身して良かった」と満面の笑みがこぼれる。
(富沢このみ)
【関連情報】
・CoccoloFoto(facebook)
・多世代交流&地域の居場所「どんぐり」(HP)(facebook)
【筆者略歴】
富沢このみ(とみさわ・このみ)
1947年、東京都北多摩郡田無町に生まれる。本名は「木實」。退職、母の介護を経て、まちづくりに関わる。2012年より田無スマイル大学実行委員会代表。2019年より、多世代交流・地域の居場所「どんぐり」オーナー。2020年にフェイスブック仲間と「西東京市カルタ」完成。2020年より下宿コミュニティセンター管理運営協議会代表。2021年度より下宿自治会会長。