ビッグデータ活用で地域づくり提案 西東京RESASカフェ開催

投稿者: カテゴリー: 文化 オン 2015年12月3日
まちづくりに約40人が集まった(西東京市・コール田無)

平日夜の「まちづくり」ワークショップに約40人が集まった(コール田無)

 RESAS(リーサス、地域経済分析システム)というビッグデータ・システムを活用して地域活性化の政策アイデアを民間から広く提起してもらおうと、「地方創生☆政策アイデアコンテスト 2015」(内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局主催)が企画された。西東京のグループが応募した提案「『さらに良質なベッドタウン24』をめざして」が、11月末に最終選考の10編に選ばれた。その企画提案の牽引役を務めたFM西東京のメディアアドバイザー有賀達郎さんに、このほど地元で開いたワークショップ「西東京RESASカフェ」のようすと企画の内容を併せて寄稿してもらった。コンテストの最終審査会・表彰式は12月13日(日)だ。(編集部)

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 RESASデータ・システムを活用して、まちづくりを一緒に考えようというワークショップ「西東京RESASカフェ」が11月26日(木)午後7時から西東京市のコール田無で開かれた。

 RESASを使ってみる

 会議はまず、多摩信用金庫価値創造事業部長の長島剛さんが、RESASを活用した多摩エリアの取り組みを紹介した。
 次に、RESASを運営している「まち・ひと・しごと創生本部」事務局のビッグデータチーム長代理、早田豪さんが登場。RESASを作るに至った経緯、国の施策を説明し、実際にパソコンの画面を動かしながらRESASの使い方や考え方を披露してくれた。

 

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RESASを実際に使ってみる(写真はいずれも筆者提供)

 

 RESASは、地方創生を図ろうと国が今年4月から公開したビッグデータのシステム。自治体の施策立案にデータの裏付けが得られるようするのが役割だった。データをグラフやマップに落とし込み、ビジュアルで状況がわかるように作られている。産業マップ、農林水産マップ、観光マップ、人口マップ、自治体比較マップと5つのジャンルがあるが、今後ジャンルや情報量が増えていくことになっている。使えるデータが次々に投入され、行政だけでなく、民間や市民がデータも活用出来るようになった。特に地域づくり、総合戦略策定などに威力を発揮している。

 まち・ひと・しごと創生本部事務局からの説明の後、西東京市在住の集団「チーム24分ですむまち」が実際にビッグデータを使って企画した「まちづくりプラン」を説明した。

 「吉祥寺エクスプレス」と「ターミナルマルシェ」

 この企画は、西東京市の利点を活かして「良質なベッドタウンを形成する」のがポイント。
 RESASを使って人の流れを分析すると、多くの西東京市民は休日などに隣接する武蔵野市に出かけることが分かった。そこで吉祥寺地域へ直行するバス「吉祥寺エクスプレス」を計画することからアイデアが広がった。

 まず商店街の空き店舗をリニューアルして地元産の野菜や半加工品を販売する。次に店の近くに吉祥寺エクスプレスの発着場(駐車場)を確保する。働く母親や父親が安心して、顔の見える地元野菜や半加工品、「一店逸品」などをその広場で手に入れることが出来れば、マルシェ(市場)が創出されて地元の起業や雇用も生み出せると考えた。

 「食の安全」「地産地消」「女性や若者の起業」「協働」などの観点から都市型農業と市民のマッチングを促進するマルシェと、休日の市民生活に刺激や楽しみ、潤いを与える観点から吉祥寺へのアクセス向上とを組み合せた複合プランを提案し、その実現へ向けて3段階のロードマップを提案した。

 最後には、駆けつけた西東京市企画政策課長の小関俊典さんから、RESASなどのデータを活かして策定している「西東京市総合戦略(案)」について、11月27日から12月28日までパブリックコメントを募集しているとの案内があった。会議は予定時間を少しオーバーして21時10分頃終了した。

 当日は、およそ40人の市民が参加。グループの話し合いが続き、今後関心のある方々とともに情報交換や意見交換することになった。交流の場としてFacebookを立ち上げ、活発な意見交換が始まっている。

 「まち・ひと・しごと創生本部」事務局の早田さんは、これまで行政の会合などに出席して説明してきたが、今回のように市民独自で開催する会合への参加は初めてと語り、一般の市民がこれだけの会合を開き、参加者が一生懸命聞いている様子に驚いていた。

 RESASの動きを追っているNHKの記者が、TVカメラを持って会合の様子を最後まで取材。参加者へのインタビューも撮影していた。

 「チーム」の活動は続く

 西東京市は、ほぼ20分程度で市内全域を移動できるコンパクトで便利なまち。新宿、池袋、吉祥寺にも電車なら20分余りで行ける。当初は「チーム20分ですむまち」と名付けた。「すむ」は「住む」と「済む」の両方の意味を含んでいる。その後、西東京の「西」は「24」(にし)、市外局番はかつて「04[24]」だった、さらに23区のすぐ西側にある「24区!」などを結びつけて「チーム24分ですむまち」を名乗ることになった。

 まち・ひと・しごと創生本部事務局が各地の民間版まちづくりを後押しする狙いで主催した「地方創生☆政策アイデアコンテスト 2015」にも応募し、全国900件を超える応募の中から最終選考の10件に残った。12月13日に東大の伊藤謝恩ホールで最終審査会が開かれる。

 RESASカフェは今年6月、エフエム西東京と株式会社ユニココ主催で第1回が開かれた。この会合が切っ掛けとなり、運輸会社や建築会社の経営者、地域振興コンサルタント、子育てNPO事務局長、ネットセキュリティーの専門家、子育て真っ最中の母親らが今年の夏に集まった。仕事が終わる平日の夜や休日に会合を開き、Facebookなどを利用して情報交換しながら企画を練ってきた。コンテストの最終審査会は、その集大成の場になるはずだ。
(有賀達郎)

 

【関連リンク】
・「西東京RESASカフェ」(facebook
・「まち・ひと・しごと創生本部」(内閣官房
・「地方創生☆政策アイデアコンテスト 2015」 
・まちづくりグループ[ニシトウキョウのミライ](facebook) 

 

【筆者略歴】
有賀達郎(ありが・たつろう)
 1950年(昭和25年)東京生まれ。東京都立大学卒業後、文化放送に入社。営業、制作、報道の放送現場を16年間体験。その後自営業を経て1997年9月よりエフエム西東京の開局準備に携わる。2007年6月から代表取締役、2015年6月からメディアアドバイザー。地域づくりの集団「チーム24分ですむまち」代表。

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