「高尾山ハイク」を楽しむ がん経験者とボランティアがともに
今年1月から始まったがんサバイバー(がん経験者)がオンライン配信による運動プログラムで体力づくりを行い、高尾山を目指す「ゆる2トレプロジェクト」。5月19日(金)に高尾山ハイクが行われた。当日は雨で、安全に配慮し山頂への登頂は中止となったが、参加者は中腹までケーブルカーで往復した後、周辺散策などをしながら交流の時間を持った。
仲間と新緑の高尾山を楽しむ
悪天候が予想されたため前日に山頂登山の中止が決定し、プログラムは散策とおしゃべり会に変更になったが、当日朝、がんサバイバーとスタッフ24名が高尾山口駅に集合した。遠くは滋賀や三重、茨城、千葉から前泊して参加した人もいて、このイベントへの期待の高さがうかがわれた。
雨が降り出す前に全員でケーブルカーに乗車。新緑のトンネルを抜ける急勾配のケーブルカーに初めて乗車した人も多く、高尾山の醍醐味は十分に味わえたようだった。
それぞれの山頂を目指す
参加者のひとり、茨城県在住の女性(50代)は車椅子で参加した。同じく地方から参加する仲間と一緒に前泊したという。「車椅子を使用するようになって初めてのホテル泊。シャワーを浴びるときに少し手助けしてもらったり、夜遅くまでおしゃべりしたり。もともと山頂へは登らず、ケーブルカー駅で待っているつもりだったが、参加して本当に良かった」と語る。
また卵巣がんサバイバーで千葉県から参加した女性(50代)は「決めることって大切だと思いました。参加すると決めたことで目標に向かって体力をつけるなど努力するから。普段は迷惑かけたくないなという気持ちもありますが、サバイバー同士だと言わなくてもわかるので、気持ちよく参加できました」と語った。
全員がケーブルカーで中腹まで登って記念写真を撮り、下山後はふもとで名物のそばを味わったり、おしゃべり会で交流を深めたりした。それぞれが高尾山を満喫した一日となった。
主催した支援団体「ReViv」の相澤美穂子さんは「高尾山ハイクを目標に行ってきたので、山頂を目指せなかったのは残念でした。まずはこの半年の活動をメンバーで総括して、今後の展開を検討したい」と語った。
がんサバイバーの運動、今後も一緒に
今回のゆる2トレプロジェクトはこれで終了となるが、がんと運動に関する活動は広がりを見せている。ボランティアスタッフで参加したがん専門運動指導士(50代)は「とても貴重な時間でした。この先、運動という手段でもっとたくさんのサバイバーの方々のケアに携わりたいと改めて思えた一日でした」と語り、今後の新たな運動指導やカウンセリングを考える良いきっかけとなったようだった。
(髙倉理恵)(写真:筆者提供)
【関連情報】
・ゆる²トレハイク at 高尾山(ゆる²トレ)
・ReViv(HP)
【筆者略歴】
髙倉理恵(たかくら・りえ)
西東京市在住。がんを経験した女性のコミュニティ Colorful Ribbons 代表。西東京市を拠点にがんサバイバー向けのイベント企画や情報発信を行っている。ひばりが丘団地内ひばりテラス118で定期的に「がんママカフェ・ひばりが丘」を主催。
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