編集強化と支援体制に課題 ひばりタイムス読者寄稿者懇談会

投稿者: カテゴリー: メディア・報道 オン 2017年3月23日

土曜夜の懇談会

 西東京市を中心に活動する地域報道サイト「ひばりタイムス」の読者寄稿者懇談会が3月18日、同市のコール田無会議室で開かれた。北嶋孝編集長が創刊2年の活動を振り返り、3年目以降の課題を提起。20人を超える参加者と共に、編集体制の拡充と支援組織の必要を話し合った。

 ひばりタイムスは2015年2月に創刊。西東京市の市民、住民を主な読者に想定し、地域(時には近隣)で起きた出来事、市民団体の活動、市・議会の動向などを掲載、報道してきた。

 編集長報告によると、ひばりタイムスの特徴は(1)ネットメディアに特化(2)編集部の記事と市民・住民の寄稿・報告が両輪(3)すべての記事、コンテンツの閲覧無料-だった。

 従来の「紙誌」メディアは広汎な読者に親しまれてきた。しかし制作と配布に多大な労力と費用がかさむ。ネットメディアはその点、費用と人員を割かなくても身軽に展開しやすい。フリーのブログソフト「ワードプレス」とグリッド方式のデザイン(テーマ)を採用してサイトを立ち上げた。

 パソコン、タブレット、スマートフォンなどでも見やすいフレキシブルデザインを採用し、Facebook やTwitterとも連携して、ネット空間を活用した双方向の発信を取り込むように努めた。

 報道する際、西東京市の施策や議会の審議状況を要所要所で伝えるように努めた。ミニコミ誌や市民団体の機関紙誌は特定分野の意見や主張が目立つ。そういう状況を踏まえたうえで、地域に大きな影響を与える情報をできるだけフラットに扱い、読者の判断材料を提供してきた。市政・議会報道は、地域活動紹介とともに、ひばりタイムス報道の2本柱となってきた。

 2年間の総記事数は3月半ばまで計630本。このうち寄稿・報告した市民ライーターは28人に上った。連載5本、特集2本、連載コラム、書評なども掲載した。記事や報告などとともに、地域の予定情報「これからカレンダー」にも力を入れた。掲載項目は開設以来約970本に上り、ほぼ毎日何らかの予定が書き込まれたことになる。2016年5月には、小平、東久留米、武蔵野3市の劇場・ホールの公演予定に絞った「近隣公演案内」ページも始めた。

 その結果、本サイトのアクセス数はこの1年で約15万ページビュー(pv)、月間ベース1万3000pv前後になった。Facebook の月間リーチ(pv相当)は約2000、年間ベースで2万5000前後になる。掲載記事を毎週まとめて発行するメールマガジン「週刊ひばりタイムス」も3月半ばで97号になり、4月に入るとちょうど100号を迎える。

 北嶋編集長は「このデータが多いか少ないかは判断が分かれるけれども、もっと増加・拡大の余地があり、多くの読者にニュースを伝えたい」と述べた。

 このほかひばりタイムスは文章講座、写真セミナー、講演会を開き、今回の読者寄稿者懇談会を含めると計8回のイベントを開催した。四季折々何らかのイベントを開いてきたことになる。これらはひばりタイムスの活動を広めるとともに、イベントを切っ掛けとして市民ライターや読者層の充実につながった。

 活動報告に続いて、3年目以降の課題を列挙した。
 まず編集体制。編集長と柿本珠枝記者の2人が編集のコアになった。柿本記者はメーンの仕事があるので、週1回ペースで出稿。ほかの方々の寄稿と併せて週4本前後を掲載してきた。しかし出稿量はまだ少ない。編集スタッフの充実、市民・住民ライターの参加が期待されている。

 もう一つは運営体制の確立。寄稿は少額の謝礼で支えられ、編集実態はボランティア活動に近い。その意義を押さえつつ、編集長の活動期間が限られ、積み立て資金も少なくなる「2020年問題」が提起された。自主・自律の活動を持続的に支える組織的財政的な枠組みは何が最適か。財政面では広告、寄付、助成金、有料会員制などが例示され、組織面では株式会社、特定非営利活動法人(NPO)、一般社団法人、任意団体などの選択肢が挙がった。

 この後、編集体制、組織・財政問題をめぐって活発な意見が飛び交い、懇談会は予定より30分近く延びて閉会した。

 自分が登場する記事を書く体験はそうあるわけではない。こそばゆいというだけでなく、書く本人にも違和感がある。記事スタイルの制約が窮屈で、実際の会合の雰囲気がうまく表現できていないと感じられてならない。ということで、最後にちょっとだけコメントを付け加えたい。

 ある参加者がひばりタイムスとの関わりを述べながら「何日もサイトが更新されず、同じ記事を何度も目にすることがあった。大変だろうが、これからも頑張ってほしい。期待しています」と話した。骨身にこたえる言葉だった。

 記事・情報を日々伝えてこそ報道サイトと言えるのだろう。身に余る励ましの言葉に感謝しつつ、焦らず急がず、着実・精確に、記事と情報の精度を磨き、地域報道サイトの役目を果たしたい。読者、寄稿者あっての地域メディアだと、あらためて身に沁みる時間だった。
(北嶋孝)

 

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編集強化と支援体制に課題 ひばりタイムス読者寄稿者懇談会」への4件のフィードバック

  1. 中川航一
    1

    懇談会では名案は出ませんでしたが、とにかく長続きしてほしいのは共通していると思います。それには基本収入を確立しない限り、無理でしょう。常識的な提案かもしれませんが、月額500円~1000円程度の購読料を集めてはいかがでしょうか。人数が問題ですが、当面1000人位の目標で。その他寄付、事業収入等を計画するとして。

  2. 2

    ご提案、ありがとうございます。地域報道サイトに購読料を設定する案ですね。有料化と言うことでしょうか。踏み切るには勇気が要る提案です(笑)。購読料かどうかは別にして、定額の寄付、あるいは会費を想定するプランも検討対象になりますね。いずれにしろ、運営基盤をしっかりしないと長続きしません。またお知恵を貸してください。(北)

  3. 3

    購読料金を設定すると会計に多大ナ時間が取られるので、まず、金額自由の寄付を募り、必要な人にだけ領収書を出し、その他は紙面に記載するということにしてはいかがでしょうか?
    匿名も受けて、金額だけ記載するということです。思いつきを書きました。

    • 4

      ご提案、ありがとうございます。現在さまざまな案を検討中です。無理なく、バランスの取れた仕組み、多くの方々が参加出来る制度にしたいと考えています。(北嶋)

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