「あなたの撮った写真を飾ります」展 居酒屋の参加型イベント開催中!

投稿者: カテゴリー: 暮らし オン 2017年8月20日

写真が飾られた店内

 店内の壁に、お客さんの撮った写真が所狭しと飾られている。名付けて「あなたの撮った写真を飾ります」展。西東京市・田無駅北口繁華街の居酒屋で8月いっぱい、こんなお客さん参加型のイベントが開かれている。スマートフォンのスナップショットもあれば、一眼レフで撮った本格的写真も。写真に隠されたエピソードもお酒の肴になって話が弾む…。

 写真展が開かれているのは田無町3丁目の居酒屋「ぐるぐる田無」。店主の大久保仁さん(48)は「お客さんのカメラマンが『やろうよ』と声を掛けてくれた。おもしろそうだね、と答えたのが始まりなんです」と言う。話はたちまち具体化した。

 

写真展を語る店主の大久保仁さん

 開催期間は8月の1ヵ月間。テーマは「夏」。スマホでもデジカメでも一眼レフでもOKだが、サイズは2L版(12.7×17.8㎝)に統一し、1人3枚までとした。8月半ばに訪れたときは約30枚が壁に飾られていた。と言っても、パネルや額縁が並んでいるわけではない。細長いヒモに、写真がクリップで留めてあるだけ。現像フィルムが吊された暗室を一瞬思い浮かべた。

 ナスやキュウリをアップで映した写真は「農業系の出版社編集者のお客さんが撮りました」。大久保さんがたばこを吸っている写真は「娘が撮りました」。波打ち際に砕けた泡の広がる1枚は、「いつか還って行く」との洒落たキャプション付き。生ビールのジョッキの向こうに海の風景が広がる写真も。キャプションは「BGMはサザン」。「昭和」の湘南海岸が浮かんでくる。多重撮影した映像に文字を載せ、冊子の表紙に仕立てた写真もある。

 

「BGMはサザン」(上)と「入りきらない!」(下)

 なかでも、花火を大写した1枚がひときわ印象的だった。撮影した池田努さん(49)は店主の大久保さんとは20年来の付き合い。今年4月に購入した一眼レフを持参して初めて花火撮影に出かけた。「尺五寸(直径約45cm)の花火が打ち上げられるというので、青梅市の花火大会に出かけて撮りました。花火が大きすぎて画面に入りきらなかった」と悔やむ。

 同席した田淵ユウジさん(58)の本職は写真の講師・アドバイス業。今回の写真展の切っ掛けを作った。その趣旨に花火写真はピッタリだった。「写真は撮る人の好みや感性が表れる。花火の写真は大胆でしょう。ねらったと言うより撮ったら(画面から)はみ出ていた。立ち向かう迫力が出てます」と意欲を評価していた。
 もちろん田淵さんも写真を展示した。タイトルは「夏空のモネ」。モネの「睡蓮」シリーズと美しく同期する。

 

「夏空のモネ」(田淵ユウジさん撮影)(クリックで拡大)

 

 写真展の参加者もバラエティに富んでいる。「最年少は17歳。20代、30代の女性もいるし、上は50代のおじさんかな」と大久保さん。「展示写真を挟んで、ワンポイント・アドバイスがあったり思い出が語られたりする。飾るだけの一方通行はおもしろくないでしょう」と言葉を継いだ。

 写真提出の締め切りは20日だが、「提出したい人がいたら延ばしますよ。展示期間も今月だけでなく、9月もやりましょうか」。打てば響く。お客本意の返答だった。

 写真を狭い空間に閉じ込めるのはもったいない。ネット空間に展示して、写真の感想を募る気はないのだろうか。答はすぐに返ってきた。「居酒屋はリアルのSNSです。写真を挟んで人と人が出会い、遣り取りしたりおしゃべりしたりする方が楽しいでしょう」。コミュニケーションを大事にする店主大久保さんらしい言葉だった。

 「次の写真展は秋に開きたい。テーマは『大好き』」と大久保さん。「いいね。みんなの『好きさ加減』が伝わるような写真をみたいね」と田淵さん。”コール&レスポンス”が盛り上がって、次回の企画内容が固まってきた。
(北嶋孝)

 

【関連リンク】
・ぐるぐる田無(facebook
・ぐるぐる田無(HP

 

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