「放課後カフェ」立ち上げの一歩目は 西東京市の「つどい」に市外からも
部活や塾通いに忙しい中学生に、地域の大人が力を合わせて“もう一つの居場所”をつくる試みが広がっている。 授業が終わった後、図書室や調理室などで開く「放課後カフェ」だ。 西東京市では公立中学9校のうち3校で 「カフェ」が実現した。 そのノウハウや体験を分かち合う「放課後カフェのつどい」 が9月24日、田無公民館で開かれた。 参加した市内ひばりが丘4丁目の梶原美佳さんが、この会合のようすを報告した。(編集部)
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「放課後カフェのつどい」 が田無公民館で開かれた。 7月9日に開催された講演会 「中学校にカフェをつくろう!」 の第2弾!実践編だ。 中学校放課後カフェを実際につくるためにはどうしたらいいのか? 主催は西東京市立中学3校ですでに活動を始めている「西東京子ども放課後カフェ」(古林美香代表)。 主催者の実際の活動を参考に、意見交換や交流をしながら、参加者がこれから立ち上げたい中学校カフェの姿を話し合った。
まずは、主催者から最近の放課後カフェの報告を聞いた。
田無一中「カフェを始めたころは、生徒たちはそこでの過ごし方を模索しているような様子もあったが、今ではそれぞれの過ごし方を見つけ、心地よい居場所としてくれている」
青嵐中・ひばり中「青嵐中は全12クラス、ひばり中は全16クラスの大きな学校。 前回の参加者はそれぞれ170名と250名。 2校とも生徒数が多く、てんやわんやであるが、楽しくなんとか開催している。他校での放課後カフェ開催のうわさを聞いているようで、子供たちにもカフェは認知されている。ひばり中では前回児童センター職員がスタッフとして参加し、小学校時代にお世話になっていた子供たちは職員に久しぶりに会えたと喜んでいた。その数日後、生徒が久しぶりに児童館に来てくれた。児童館としても放課後カフェを積極的に支援していきたいと考えているとのこと。新教育長も個人的に見学に来た。今後は市からも追い風が吹くのではと、おおいに期待している 」 との報告だった。
その後、4グループに分かれ 「これから立ち上げたい中学校カフェ」の姿を話し合った。20分というあまり長くない時間だったが、参加者は積極的に各自の思いを出し合い、各グループ理想のカフェの形をまとめた。
発表では、「ぬるま湯カフェ」「ゆるっと」などのネーミング提案があった。 いつも忙しくしている中学生たちにカフェでくつろいでほしい、肩の力を抜いて過ごせる場を提供してあげたいとの参加者の思いがにじみでる名称だ。ほかにも「体を動かせるように体育館やピロティなどの広い場所で開催」「音楽室で歌ったり楽器演奏したり」「足湯」などの楽しいアイデアも出された。 (実際の壁が高いことは承知)
中学校カフェ立ち上げに意欲的な参加者が集まったが、「いかにして中学校にカフェ開催を認めてもらうか」はやはり一番の課題となる。既に実施している人たちからは「すでに学校との信頼関係のある学校関係者とともに活動を始めるのが一番。カフェが生徒たちに良い影響を与える、と学校に認識してもらうまでは時間がかかる。まずは書面を作成し学校と交渉し、一度開催させてもらうことが第一歩」と経験が伝えられた。中学校の「壁」を乗り越えられると信じ、粘り強く交渉を続け、その一歩を踏み出した主催者の方々の熱意に感服した。
実際のカフェ開催ノウハウについての質問も多数あり、主催者から話を聞いた。「資金について。 最初は社会福祉協議会の補助金(2万円程度)でポットなどの備品を購入した。 カフェ開催には1回3000円程度の飲料費がかかる。 学校で配布したカフェ開催案内に、飲み物・漫画などのカンパお願いを記載。中学校PTAや各学区内育成会にも今後補助金をお願いしていく予定」「カフェ開催のスタッフは10名程度」「備品のうちカップなどは学校の家庭科室にスペースを確保し置いてもらっている」 など参考になる意見を聞いた。
最後に主催者から 「立ち上げの時に目的をまとめ、参加者が自覚することがとても大事。 カフェ運営の途中から参加する人も多く、目的がしっかりしていないと、方向がだんだんぶれてくる」「まずは今週中に初めの一歩を踏み出してほしい!」と活を入れられた。
参加者は約20人。 PTA役員、おやじの会のメンバー、民生委員、マンションの自治会役員、住職、児童センター職員、学校の避難所運営協議会メンバーらも。 国分寺市でカフェを開きたいとやって来た数人、三鷹市の市民団体、神奈川県大磯町の町議会議員ら市外の参加者もいた。 参加者の大多数は、わが子が今中学生ではないが「中学校にカフェをつくる」というこの「つどい」に時間を作って参加。「忙しい日々に息の詰まった中学生」を応援したい大人はけっこういるようだ。世の中まだまだ捨てたもんじゃない。参加者の次の一歩が楽しみだ。
私は、参加している市内地域協力ネットワーク活動の一つとして、地域のカフェを開催したいと思い今回の集いに参加した。そちらは学校内で開催するわけではなく、そびえる「壁」はないことが判明。 資金の問題や、スタッフ集め、参加者集めは、それに比べればどうということではない。 中学生を応援する大人はこんなにいる。 きっと私たちのカフェも応援してくれる大人はいるはずだ。今は皆日々忙しそうで、カフェ開催はまだまだ先か、と二の足を踏んでいたが、予定より早く開催できる気がしてきた。 皆さんありがとう。
(梶原美佳)
【関連リンク】
・ 西東京こども放課後カフェ
【著者略歴】
梶原美佳(かじわら ・ みか)
東京生まれ。千葉県育ち。 現在西東京市ひばりが丘在住14年。 建設業で建築士として勤務後、専業主婦。 マンションの自治会役員として西部地域協力ネットワーク準備会に関わる。