多摩子ども食堂交流会が西東京市で 「わいわいネット」などが取り組み報告

投稿者: カテゴリー: 暮らし子育て・教育健康・福祉 オン 2019年2月11日

クリックで拡大

 子ども食堂が広がる西東京市で2月初め、多摩地域11市の子ども食堂関係者が集まってそれぞれの活動を報告、交流しました。「顔の見える関係」を深めた交流会の模様を、西東京市で最初の子ども食堂を始めた「わいわいネット」事務局長で、次にオープンした子ども食堂「放課後キッチン・ごろごろ」代表の石田裕子さんが報告します。(編集部)

 

 

 第5回「多摩地域の子ども食堂交流会」が2月3日、西東京市役所田無庁舎の会議室で開催された。西東京市で子ども食堂を運営する「西東京わいわいネット」が自分たちの活動を発表したほか、西東京市の子育て支援課が子ども条例と子ども食堂の関連を、社会福祉協議会がフードドライブの取り組みをそれぞれ紹介した。参加者は56人。多摩26市中11市の子ども食堂団体が集まった。

 

「TAMAGAKU」の若者たちが仕切る

 

 主催したのは、多摩地域の子ども食堂の交流を進めてきた「多摩子ども食堂ネットワーク」。代表の伊藤由子さんは30歳の弁護士。開会の挨拶で「2016年に開かれた全国子ども食堂サミットで多摩地域の子ども食堂の人たちが出会い、法律事務所の会議室で情報交換を始めたのがネットワークの始まりです。交流会でいろんな情報を共有し、顔の見える関係を作りたい」と話した。

 

TAMAGAKUの若者

お揃いのTシャツで受付に立つTAMAGAKUの若者たち

 

 この交流会の特徴は「TAMAGAKU」の存在だ。15人から20人ほどのグループで、伊藤さんをはじめみな若い。児童福祉や子どもに関心がある学生のほか、公務員や会社員、福祉関係者や弁護士ら。幅広い分野の若者部隊である。今回の参加者は10人だった。

 交流会の準備は「TAMAGAKU」のメンバーが進め、当日の司会役は、調布子ども食堂スタッフの志村光さんだった。志村さんはTAMAGAKUのメンバーでもある。伊藤さんはサポート役に回り、今回出席した子ども食堂17カ所のうち10カ所に参加した経験をフル活用しながら、会場で多くの人の声を聞き、質疑を盛り上げた。

 

司会の志村さん(手前)と話す伊藤さん

 

全国こども食堂支援センター「むすびえ」も参加

 

 全国こども食堂支援センター「むすびえ」も参加した。昨年12月、こども食堂ネットワークの支援部門から独立したNPOで、代表は法政大学教授の湯浅誠さん。協力する企業との連携や、各都道府県で支援するネットワークの育成、調査・研究を行う。

 当日参加した学生ボランティア窓口の代表の加藤さんが、学生派遣の話をすると、その後あちこちの子ども食堂担当者から「うちにも来てください!」と声が上がった。
(1月に小平市で行われた、湯浅誠さんの子ども食堂の講演会の様子を報告したひばタイムスの記事も参考に配布した)
 *「湯浅誠さんが語る『子ども食堂の現状と課題』 意外な人たちが全国で始める」(2019年1月16日掲載

 子ども食堂を開くには、保健所への相談も必要とされることが多いが、各地域の保健所で対応がまちまちとの意見も聞かれる。「むすびえ」は、保健所の調査も現在進行中とのことだった。報告が待ち遠しい。

 

西東京市と子ども食堂

 

 今回、市の子育て支援課は交流会開催に協力。渡邉暁生課長補佐兼係長が挨拶し、昨年10月に施行された子ども条例の内容に触れ、「第3章の『子どもに優しいまちづくりを目指す』の中では特に、子どもの貧困・居場所・心と身体の健康、と言う部分が子ども食堂さんに大きく関連するのかな、と思っています」と話した。

 市内の子ども食堂との連携については「平成29年(2017年)2月に初めて意見交換会を開き、今まで4回行いました。子ども食堂同士の横のつながりを強化するきっかけを作り、行政や厚労省の情報を提供するなど、良い活動が続くように、と考えています」とのことだった。

 

これから西東京わいわいネットの活動報告が始まる

 

 西東京わいわいネットは、「西東京わいわいネットのあゆみ」として、パワーポイントを使いながら、筆者が以下を報告した。

・西東京わいわいネットは、2015年4月から始まった西東京市で第1号の子ども食堂。
・その年の2月に、田無公民館の社会問題講座「子どもの貧困に向き合う地域をつくる」を受講したメンバーが立ち上げた。
・翌2016年3月には、さらに子ども食堂「放課後キッチン・ごろごろ」がオープンし、その後も続々と市内に子ども食堂が広がっていき、現在は市内9カ所に子ども食堂がある。
・行政とのつながりとして、子ども食堂情報交換会が2017年から始まった。2018年には「子育てハンドブック」に子ども食堂の一覧表が記載された。
・学習支援が、わいわいネットの事業として昨年2018年から始まった。
・フードドライブが昨年から西東京市社会福祉法人連絡会の手で始まり、子ども食堂に食品を寄付してもらっている。

 

フードドライブと社協

 

 フードドライブについては、社会福祉協議会の妻屋良男課長が詳細を説明した。

・2016年12月23日に西東京市社会福祉法人連絡会が設立され、三つの分科会ができ、その中の「地域公益活動分科会」が意向調査や勉強会を行った。
・2018年3月25日に「食が地域をつなげる」講演会を開催。同年7月7日に、第1回フードドライブ開催。
・2019年1月19日に第2回フードドライブを実施した。

 妻屋さんは「地域の福祉の担い手である社会福祉法人と共に、子ども食堂さんに側面的な支援を行っています」と結んだ。(ひばりタイムスに掲載されたフードドライブの記事も印刷して配布した)
 *「西東京市社会福祉法人連絡会が第2回フードドライブ 地域連携の新たな一歩に」(2019年1月27日掲載

 その後の質疑では、「市と連携して良かったことは」との質問が出た。「わいわいネット」代表の岸田久恵さんが「情報交換会で、市からどんなことを望むかと聞かれ、子ども食堂をたくさんの人に知って欲しいと答えたら、その後『子育てハンドブック』に一覧を載せてもらえた。また市が行なったひとり親へのアンケート結果(子どもに学習する習慣をつけたい)を受けて、わいわいネットが学習支援を始めた。お互いの求めるものが上手く実現できている」と語った。

 

グループに分かれて情報交換

 

 5つのグループになって行われた情報交換を、各グループに入っていたTAMAGAKUののメンバーが報告した。

・府中市にあるモランボン株式会社では、子ども食堂に餃子を作るワークショップを行なっている
・子ども食堂を行う空き家を探す検索サイトがある
・学生が子ども食堂に参加するためにかかる交通費の負担が課題
・学生が農家を手伝って、子ども食堂の野菜をもらうケースがある
-などの意見や情報提供があった。

 多摩子ども食堂ネットワーク代表の伊藤由子さんは「子どものことに関わりたいと、弁護士になりました。でも法律事務所に子ども自身が電話をかけてきたり訪問したりすることはありません。皆さんが、何が気になったり話しを聞いてみたいことがあったら、遠慮なくすぐにご連絡ください。トラブルになってからではなく、気になったら弁護士を使うくらいのイメージでご連絡ください」と締めくくった。
(石田裕子)

 

【関連リンク】
・西東京わいわいネット(西東京市市民協働推進センター「ゆめこらぼ」)
・多摩子ども食堂ネットワーク(facebook
・全国こども食堂支援センター・むすびえ(facebook

 

【筆者略歴】
 石田裕子(いしだ・ひろこ)
 夫と長男と、猫2匹が現在の同居家族。PTAが大好きで、谷戸小学校では2回、田無二中でも2回のPTA会長を歴任。人生のテーマが「子ども支援」。育成会や遊び場開放で、子どもとふれあいなから、市内2カ所の子ども食堂に関わる。谷戸小学校施設開放運営協議会管理者、青少年育成会メタセコイア 副会長、西東京わいわいネット 事務局長、放課後キッチン・ごろごろ代表など。

 

(Visited 2,030 times, 1 visits today)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA