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田無第四中で放課後カフェ始まる 地域が育むフラットな居場所

By in 子育て・教育, 交流・共生 on 2019年2月4日

放課後カフェ、オープン!

 「いらっしゃいませ。こちらの席にどうぞ」「コーヒーをお願いします」「お砂糖、ミルクはどうしますか?」-。冷たい風が吹く1月29日の午後、西東京市田無第四中学校の調理室でこんな会話が交わされた。紅茶、ミルクティー、緑茶などを提供するのは地域の大人。お客様は中学生。そう。この3年間で市内の中学校に相次いで誕生している「放課後カフェ」の一コマだ。

 

カフェに集う大人たち

 

 四中でのカフェ開催日当日、サポーターとして集まった大人は約30人。保護者、民生委員、社協ほっとネット推進員、お孫さんが在校するという女性、来年度入学予定のお子さんを持つ母親、児童館館長など、さまざまな立場の大人が生徒を迎え入れた。他校の育成会から応援に駆け付けたコーヒーマスターは、29年ぶりに母校を訪れたという卒業生だった。

 

集う大人たちの会話が弾む

 

 校長先生と副校長先生もカフェ開催の立役者だ。他校の活動実施例を丁寧に調べ、教職員の理解を得るため職員会議で周知を図ると同時に、懸念事項にどう対応するかの協議を重ねた。カフェ開催のお知らせを在校生全家庭に配布するなど、協力を惜しまない。当日も、アレルギー対策の確認や、部活の開始時刻に遅れる生徒が無いようにと、入念にサポートしていた。

 

気さくでフラットな関係づくり

 

 生徒は約60人が参加した。一杯ずつ丁寧に淹れたドリップコーヒーやミルクティーを何杯もお代わりする子、元素記号を組み合わせて化学式を作る原子モデルカードゲームに興じる子、まだ正式名称が決まっていないカフェの名前を考える子、イラストを描きながら先生とおしゃべりする子など、笑顔も多く寛いだ雰囲気だった。

 

元素記号を組み合わせて化学式を作る原子モデルカード

 

 10人ほどの教職員も来室。はじめは遠慮がちだった先生が閉会間際までサポーターや生徒と話し込む姿も見られた。保護者会や個人面談でない場で先生と話せる機会が嬉しかったという保護者もいた。

 親と子、先生と生徒、保護する-保護される、教える-教えられる…。そんな関係を取り払い、カフェ店員とお客様、地域のおじさん、おばさんと中学生、先生と地域の人びと、サポーター同士が、笑顔で会話を楽しんでいた。「普段は知り合う機会も少ない大人同士の交流も楽しい」という声もあがっていた。

 

みんなとても優しかった

 

 「ごちそうさま。おいしかったです」「またカフェを開催してください」「冷たい飲み物も増やしてください」と、素直に感想や要望を伝えていく生徒たち。使用した陶器のカップを洗い場に返却し「ありがとうございます」とお礼を述べる生徒に感激するサポーター。調理室の窓から運動場を眺めながら、「部活動の子どもたちを見ているだけで幸せだ」と言っていたスタッフもいた。

 

生徒らの感想、要望が集まった

 

 生徒はどう感じただろうか? 親や学校・塾の先生以外の大人と接する機会がどれくらいあるのだろうか。カフェでは、いろんな人がいるのだと感じる生徒もいるだろう。口うるさくめんどくさい大人も多いけれど、自分たちの話を遮らず聞いてくれる人もいるのだな。大人って意外に子どもっぽいな…。そう思ったかもしれない。

 書き残された感想には、「みんなとても優しかった」「上級生と交流することができてよかった」「こころがあたたまりました」などと綴られていた。

 

カフェで育つ地域の力

 

「我が子がお世話になった恩を返していきたい」と語った前年度の保護者。中学入学を控えた小学生と接する児童館館長は「中学校に放課後カフェという場所があることを、新しい環境を心待ちに出来るように伝えていきたい」と言う。

 誰かに頼まれた受け身の活動でなく、自らの意思で「放課後カフェ」に集う大人がいる。地域・学校というフィールドで自分に何ができるのかを常に考え、行動に繋げていく大人がいる。子どもと積極的に関わろうと協力し合う大人がいる。いろんな関係が生まれている。

 世代を超え、開かれた関係性を結べるカフェのような場が、地域の力を育んでいくのではないだろうか。

 

西東京市のカフェのスタイルとこれから

 

 授業や部活動、塾、習い事で忙しい中学生がほっとできる場を作りたいと、地域の大人が集まり、田無第一中学校で「放課後カフェ」の活動が始まったのが2015年。2016年には市民グループ「西東京こども放課後カフェ」が立ち上がった。学区の垣根を越え市内全域から活動を担う運営メンバーが集い、子どもの居場所づくりを推進するため情報交換を行う。行政関係機関と連携を図りながら新たなカフェ立ち上げを支援し、実施校に必要な飲み物の調達や寄付を募る。

 西東京市の放課後カフェは、地域の団体や個人の協力を仰ぎながらも運営主体はさまざまで、それぞれに特徴がある。青嵐中学校では児童委員や民生委員が中心となり、図書室を利用したブックカフェを開催。柳沢中学校ではおやじの会の活躍が欠かせない。月に複数回実施するカフェもあれば、1学期に数回程度と頻度も異なり、それぞれの学校および地域の人びとの実施可能なスタイルに任せられている。

 「西東京こども放課後カフェ」の後押しもあり、昨夏、田無第四中学校の立ち上げメンバーが「放課後カフェ応援団」を結成。市内9校のうちの7校目の取り組みとなった。学校との交渉、実施中学校のカフェ見学、サポーターの募集および説明会、資金繰り、当日までの準備と奔走し、第一回カフェ開催に漕ぎつけた。道本利子団長は「カフェを通してさらにお互いの信頼関係を深め楽しく活動を継続していきたい」と語った。
(卯野右子)

 

【関連リンク】
・西東京こども放課後カフェ(HPfacebook

 

【筆者略歴】
 卯野右子(うの・ゆうこ)
 西東京市新町在住。金融会社勤務。仕事の傍ら「アートみーる」(対話型美術鑑賞ファシリテーター)と「みんなの西東京」の活動に携わる。東京藝術大学で「アート×福祉」をテーマに、アートがいかに福祉の分野で貢献できるかを勉強中。

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