空き家からまちづくりを考えるシンポジウム 西東京市民有志の会「アキヤラボ」お披露目

投稿者: カテゴリー: 市政・選挙環境・災害 オン 2018年11月20日

パネルディスカッションの進行を務めた価値総合研究所の小沢さん(右)。討論者のアキヤラボメンバー(左)

 西東京市の空き家からまちづくりを考えるシンポジウムが11月16日、市内田無町のコール田無・多目的ホールで開かれた。市内で空き家の利活用や相談に取り組む「ウエスト東京空家ラボ」(通称アキヤラボ)が、市の協力を得て、2018年度国土交通省の「地域の空き家・空き地等の利活用等に関するモデル事業」に応募し採択された。これを受け、東京都や有識者を招いて空き家対策と町の在り方を考えた。

 当日会場には、約100人のまちづくりに関心を持つ市民や宅地建物取引業者などが来場した。

 開演に先立ち、アキヤラボの代表で、農業振興に関わるコンサルタント業務などを行うユニココ代表取締役の若尾健太郎さんは、「みなさんとともに地域の空き家について考えアクションをするために、アキヤラボがみなさんとのつながりの場になることを目的として進めていきます」と挨拶した。

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 初めに基調講演が行われた。東京都都市整備局住宅政策担当部長の澁谷浩一さんは、全国、東京の空き家の現状、課題、対策、事例を説明した。

 総務省の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家の総数は1993年に448万戸、2013年では820万戸と20年で1.8倍に増加した。このうち2013年の東京都の空き家総数は82万戸。2018年3月の西東京市空き家実態調査報告書によると、市で空き家と想定されるのは669件市内住宅総数の1.7%だった。国や都は空き家対策に対する財政支援、税制措置などを実施している。

 続いて、日本政策投資銀行グループ、価値総合研究所主席研究員の小沢理市郎さんは、空き家対策の基本的な考え方を「用途×空間×時間」という概念で説明した。例えば2階建ての空き家をワークスペース・託児スペースという「用途」として定め、占有スペースと子どもたちでシェアする「空間」に分離。就業と託児の「時間」を共有させる。地域のニーズに合う条件を組み合わせることで持続可能な空き家の利活用ができる、という。

 活動報告として、アキヤラボ事務局をグループ会社に置く岡庭建設の専務取締役池田浩和さんは、「採択された国のモデル事業の調査経費一部支援で、空き家の所有者などの個別相談につなげるアキヤラボのホームページを作成中です。行政だけでなく、民間でも空き家対策の不足する部分を地域の声を拾いながら楽しい町づくりにつなげたい」と話していた。

 

FM西東京飯島千ひろさんの活動報告

 

 その他、ユニココの若尾健太郎さん、駄菓子屋ヤギサワベースを営むデザイナーの中村晋也さん、コミュニティラジオ局エフエム西東京の飯島千ひろさん、岡庭不動産課長の澤幡英城さん、三幸自動車代表取締役の町田栄一郎さんが各業種の立場からアキヤラボとの関わり方などを説明した。

 最後は価値総合研究所の小沢さんが司会進行し、アキヤラボメンバーが討論者となりパネルディスカッションが実施された。市内限定でそれぞれの仕事活動を通した空き家対策を論点に各自ができること、夢などが語られた。ディスカッションは約1時間に及び白熱した議論になった。

 

パネルディスカッションの討論者。左から、池田さん、澤幡さん、町田さん、中村さん、若尾さん

 

 アキヤラボは昨年、市民の有志で西東京空き家会議を発足。地域空き家の活用術を勉強し研鑽を重ねてきた。活動を発展させ信頼性ある取り組みにしたいとの思いから今年4月に改名し国のモデル事業に応募した。国土交通省土地・建設産業局不動産業課によると、「採択した理由の一つに地方自治体が連携していることがあります。市民にとっては空き家を利活用するのに安心感がありますから」と説明した。

 同市は不動産、建築、法律などの空き家等に関する地元6団体と、空き家等対策の推進に関する協定を結ぶなど対策を進めている。担当の住宅課は「今回のモデル事業の応募にも協力させてもらいました。空き家は民間の資産であり、利活用はマッチングが必要です。民間の意見を聞きながら空き家事業を進めていきたい」と話している。
(柿本珠枝)

 

【関連リンク】
・【地域の空き家・空き地等の利活用等に関するモデル事業】<H30年度> 当該モデル事業実施者(全54団体)選定事業者一覧(国土交通省、PDF
・アキヤラボ(旧西東京空き家会議)(facebook

 

【筆者略歴】
柿本珠枝(かきもと・たまえ)
 旧保谷市で育ち、現在西東京市田無町在住。1998年(株)エフエム西東京開局から携わり、行政や医療番組、防災、選挙特番など担当。地域に根差した記者としても活動している。

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