西東京市社会福祉法人連絡会が第2回フードドライブ 地域連携の新たな一歩に
西東京市社会福祉法人連絡会が実施する「フードドライブ」。「フードバンク」は専門団体が運営する例が多いけれども、それよりちょっとハードルが低い「食品一品持ち寄り運動」だ。昨年3月に市民会館でキックオフ集会が開かれ、7月に第1回が企画された。今回は第2回。1月17日に、食品を受け付ける会場の一つ、特別養護老人ホーム「福寿園ひばりが丘」に行き、18日と19日は食品の提供場所である障害者総合支援センター「フレンドリー」に出掛けた。現場でフードドライブの様子を体験すると、いろいろな立場の人がそれぞれに力を尽くしていること、この運動の目指す将来が見えてきた。
子ども支援に光を当てる
西東京市社会福祉法人連絡会の事務局は社会福祉協議会が担当している。社協の山田加弥江係長は「連絡会の地域公益活動分科会で議論を重ねる中で、今までの活動に子ども支援がなかったことに気がつきました。そこで今回は、フードドライブで集まった食品の行き先は、市内の『子ども食堂』と中学校の『放課後カフェ』、それに『食の支援が必要な市民』になりました」と言う。
フードドライブに参加する社会福祉法人は、保育園や高齢者施設、障がい者施設など22団体。西東京市内の25箇所の事業所で食品を受け入れた。集まった食品を届けにきた社会福祉法人睦月会の地域活動支援センター「ブルーム」のスタッフは「受け付け期間の前半に食品が来なかったのでどうしようと思ったんですが、最後の方に(地域の方が)バタバタといらっしゃた」と笑顔を見せた。
大変なのは賞味期限の確認
今回のフードドライブの受け渡し会場になったフレンドリーの会議室には、飲み物、お菓子、お米、とそれぞれに仕分けされた食材がぎっしりと並んでいた。
山田係長に、何が一番大変だったのか伺うと、「食材の消費期限の確認です」と言う。「二重三重にチェックしても漏れがあるんです」と付け加えた。消費期限が迫ったものを、ちょっと早めに支援物資として提供する。その仕組みを守るには、気の遠くなるような、地味な確認作業が必要だった。
お菓子集まったね!
フードドライブのチラシには、提供する食品の例として、乾物、飲料、調味料、缶詰、とあるが、お菓子とはどこにも書いていない。でも、子ども食堂や、中学校で開いている放課後カフェの利用者は「子ども」。寄付する市民がそこに気づいているのだろう。お菓子がたくさん集まっていた。スタッフが仕分けしながら「言ってないのにお菓子集まったねえ」と笑顔で話す姿が印象的だった。
1月19日は、集まった食材の引き渡し日。「西東京わいわいネット」と「放課後キッチン・ごろごろ」の子ども食堂の分をもらうために、田無公民館で開催していたわいわいネットの子ども食堂「わいわいわいクッキング」を抜け出して、私もフレンドリーに駆けつけた。お米や乾麺、調味料やお菓子、飲み物、たくさんの食品を段ボール2箱ずつ、ありがたく受け取った。
当日は丸山浩一市長が訪れ、「社会福祉法人連絡会が土壌作りを3年続け、社会福祉協議会が実質的につなぎをしてくれた。需要と供給がマッチングすればそれに越したことはない」と挨拶した。
もう一つの目的「地域連携」
社会福祉協議会の青木美佐子さんは、「1回目のフードドライブでは、よくわからないまま、食品を寄付してくれた方もいた。その後、西東京市が12月8日に行なった『ともに活きる!まちづくり キックオフ・フェス』のシンポジウムで、『フードドライブ』『子ども食堂』『放課後カフェ』の事例発表があった。そのとき参加した方に聞くと、なぜフードドライブを行うのか、誰がフードドライブの食品を受け取り、どう利用していくのかの話を聞いて、理解が深まったそうです」と話していた。
社会福祉法人連絡会では、今後も1年に2回のペースでフードドライブを実施したいと言う。寄付をする市民が、地域の社会福祉法人に出向くことで、その場所を知り、顔の見える関係をつくる。山田係長は「災害時には福祉避難所になるんですから、日頃からの地域のつながりが大事なんです」と言う。2016年(平成28年)から丁寧に積み重ねて来た西東京市社会福祉法人連絡会の思いが伝わってきた。
(石田裕子)
【関連リンク】
・西東京市社会福祉法人連絡会(西東京市社会福祉協議会)
【筆者略歴】
石田裕子(いしだ・ひろこ)
夫と長男と、猫2匹が現在の同居家族。PTAが大好きで、谷戸小学校では2回、田無二中でも2回のPTA会長を歴任。人生のテーマが「子ども支援」。育成会や遊び場開放で、子どもとふれあいなから、市内2カ所の子ども食堂に関わる。谷戸小学校施設開放運営協議会管理者、青少年育成会メタセコイア 副会長、西東京わいわいネット 事務局長、放課後キッチン・ごろごろ代表など。