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性暴力のない社会求めて「フラワーデモ」 毎月11日、優しさと怒りと強い意思

毎月11日に、東京駅前の行幸通りで行われるフラワーデモ東京(2020年3月まで続く)

 「フラワーデモ」をご存じでしょうか。性被害の裁判で相次ぐ無罪判決に、怒りを、思いを、抑えきれなかった人たちが、性暴力のない社会を求めて声を上げました。4月11日に東京で始まり、以後毎月11日、社会と未来を変えようとするうねりが各地で起きています。8月11日、東京駅頭の集まりに参加した石田裕子さんの報告です。(編集部)

 

 

 猛暑が続く8月の初め、気になる新聞記事に出会った。性暴力からの救済と刑法改正を求める「フラワーデモ」だ。今年の4月から毎月11日に開催されていて、東京では東京駅丸の内口から皇居にまっすぐ向かう行幸通りで行われている。

 8月11日午後7時から始まる2時間のデモ。筆者が着いた午後6時過ぎは、まだ少し明るかった。花を持ったり、花柄の洋服を着たり、そんな市民が、ふんわりと集まってくる。みんなオシャレで、優しい温かみのある雰囲気をまとっていた。

 

 

参加者が持参し、思い思いに飾ったメッセージ

 

語り始める声が止まらない

 

呼びかけ人の一人、松尾亜紀子さんが司会・進行

 フラワーデモ呼びかけ人の一人、松尾亜紀子さんがまず、同じく呼びかけ人の北原みのりさんのメッセージを読み上げた。

 北原さんはメッセージの中で「フラワーデモが性暴力被害を語る場として始まったわけではありませんが、多くの性暴力被害の現実が語られてきました。これまで誰にも言えなかった、言っても信じてもらえるわけがない、言ったところで何もならない。そのように沈黙してきた過去を、やはり無かったことにはできないと、語り始める声が止まらないのです」とフラワーデモの原点を語った。

 そのうえで「フラワーデモの目標の一つは、性犯罪刑法改正です」と続け、「たった4カ月前に生まれたムーブメントです。あげられた声は届く。そのことを信じながら現実を変えていきましょう」と訴えた。

 

刑法改正を

 

「『菊』は『聞く』でもある」と、菊の花束を抱いて話すSpringの山本潤さん

 性被害当事者が生きやすい社会の実現を目指す市民団体「Spring」代表理事の山本潤さんは、話の前半で、叔母さんの半生を涙ながらに語った。PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみ、49歳の若さで亡くなった彼女は、小学4年生の時に近所のお爺さんから性虐待を受けていた。「1958年に、叔母が近所のお爺さんから受けた被害。2019年の現在、状況が変わったでしょうか」と訴える。

 これまでは「『親子でも(性行為に)真摯な同意があるかどうか』と議論されていました。大人から子どもへの性交に同意などあり得ない。その基本的な前提すら共有できていない人達の議論を、私は強く拒否します。刑法を見直すかしないか、このフラワーデモであがる皆さんの声を届けていきたい。Springは今、一人一人の声で刑法を改正する広域キャンペーン(One Voice キャンペーン)も実施しています。この声を聞いてもらい、一緒に変えていきましょう。皆さんの力を今後も貸してください」と結んだ。

 

小鳥が口に含んで運ぶ水

 

 先月の名古屋で行われたフラワーデモでスピーチした、弁護士の岡村晴美さんのメッセージを、司会の松岡さんが代読した。

 岡村さんは「中学2年生から繰り返し強姦されても加害者無罪か。どんな国だよ、これが先進国かよ。恥ずかしいって思いました」と判決に憤りを隠さない。その一方でこんな思いも湧いてくる。「(日本は)ジェンダーギャップ指数149カ国中、110位の国だったわ。こんな判断が出ても世界は驚かないかもしれないな。女だからって理由で、入試も差別されるような国だったわ。そんな自虐めいたことを言ってみても、涙が頬を伝うのです」

 それでも言わなければならない。「感情的だ、ヒステリックだと言う批判は甘んじて受けましょう。でも感情を無くした論理的な議論は正義なのでしょうか。子どもを繰り返し強姦しても、無罪になるのが法治主義なら、そんな治安の悪い国に住みたくない」

 長年相談を受け、性暴力被害の実態に触れてきた体験から、多くの人に知ってほしいことがある。伝えたい思いがある。岡村さんはこう続けている。

 「幼い頃から、性的虐待を受けてきた子どもは、世間が思っているよりたくさんいます。私は司法に正義があると信じて、性被害や性虐待事件と闘ってきました。山火事を消そうと、小鳥が口に水を含んで運ぶようなことかも知れないけれども、私は私の持ち場でこれからも頑張っていきたいと思います」

 

デモが終わって日も暮れて(東京駅)

 

 

集って、語って、共有して

 

 

応援 Tシャツを販売予定。4000円。スタッフの相川さんがニッコリ撮影に協力してくれた

 初めて参加したフラワーデモ。参加者は約150人だった(主催者発表)。
 2時間かけて、たくさんの人達が語った。笑顔も泣き顔も怒りもあった。
 白い一輪の薔薇を震える手で抱きながら、涙で語る大学生は「次の世代のために」と言った。 「顔を出して発言することが怖くてたまらない」と震えつつ、12歳の被害者に心を寄せる声もあった。

 辛く苦しい経験を聞く時間も多くあったが、それはその思いを精一杯受け止めたい、と言う気持ちをみんなで共有した時間であった。

 「こんなに拍手をいただけるなんて、生きてて良かった」と言う発言に、心がほんのりと温かくなった。泣きじゃくる参加者に「また、ここで会おうね」と背中を撫でる人の声に、私も少しうなづいた。

 

筆者が持って参加した赤い薔薇

帰宅してワイングラスに

猫も熱烈応援!

(石田裕子)(写真:筆者撮影)

 

【関連リンク】
・FLOWER DEMO(HP
・One Voiceキャンペーン(一般社団法人Spring
・弁護士 岡村晴美さんのメッセージ(7.11 2019 名古屋フラワーデモで)(FLOWER DEMO

 

【筆者略歴】
石田裕子(いしだ・ひろこ)
 夫と長男と、猫2匹が現在の同居家族。PTAが大好きで、谷戸小学校では2回、田無二中でも2回のPTA会長を歴任。人生のテーマが「子ども支援」。育成会や遊び場開放で、子どもとふれあいなから、市内2カ所の子ども食堂に関わる。谷戸小学校施設開放運営協議会管理者、青少年育成会メタセコイア 副会長、西東京わいわいネット 事務局長、放課後キッチン・ごろごろ代表など。

 

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